2023年度の新種牡馬からは、芝の活躍馬だけではなくダートの活躍馬も多く登場しました。ブリックスアンドモルタルからは兵庫ジュニアグランプリを制したイーグルノワール、モーニンからは雲取賞を制したブルーサンらが送り出されています。

2024年から羽田盃や東京ダービーがJRA所属馬や他の地方競馬所属馬に開放されました。他にも北海道スプリントカップが3歳限定戦になるなどダート路線の充実化が図られています。ペーパーオーナーゲームでも交流重賞をポイント対象レースにしているところはダートを主戦にする馬も重要視されそうです。

今回は現役時代にダートで結果を残した馬を3頭、G1レースは芝のレース制覇のみでしたが、血統配合からダートを走ってもおかしくない馬を1頭の合計4頭を取り上げたいと思います。なお、セリ市での落札価格は税込価格です。

ルヴァンスレーヴ

父:シンボリクリスエス 母:マエストラーレ
血統登録された産駒数:149頭

2024年に初年度産駒がデビューする新種牡馬のうち、最も種付け頭数が多かったのは2018年のチャンピオンズカップなどダートのG1級競走を4勝挙げたルヴァンスレーヴの223頭でした。このうち血統登録をしたのが149頭です。

今年の2歳ではノーザンファーム生産馬が16頭と最も多く、続いてルヴァンスレーヴ自身の生産牧場である白老ファーム生産馬が8頭、社台ファーム生産馬と追分ファーム生産馬がそれぞれ3頭と社台グループの牧場の生産馬が合計30頭と、全体の2割弱を占めています。

セレクトセール等で出されたルヴァンスレーヴ産駒は高評価を受けているようで、落札価格が1億円を超えた馬こそいませんが、2022年のノーザンファームミックスセールで池谷誠一オーナーが7,260万円で落札したプリンセスロックの2022(牡 母:プリンセスロック 厩舎:未定)や2022年のセレクトセール当歳馬部門で宮崎俊也オーナーが4,950万円で落札したベルエアキング(牡 母:パンデイア 栗東:西村厩舎)など、高額で取引された馬が多く出ました。

一口クラブのルヴァンスレーヴ産駒を見ますと、やはりダートを意識した馬が多い印象です。 G1サラブレッドクラブ が総額3,200万円で募集したルグランヴァン(牡 母:カラフルデイズ 美浦:高木厩舎)は母が2011年の関東オークスを制覇。同じくG1サラブレッドクラブが総額2,000万円で募集したヌチバナの2022(馬名はシュドゥンを予定 牝 母:ヌチバナ 栗東:上村厩舎)は、半兄にアンタレスステークス勝ち馬ミッキーヌチバナがいます。

ルヴァンスレーヴ産駒は父と同様、ダートで結果を残しそうなイメージが強いです。ルヴァンスレーヴ自身が2歳の8月にデビューし、全日本2歳優駿を制したことから、早い時期から走る馬が出てくると想定されます。距離に関しては1600m前後の距離から2000mまでの距離が得意な産駒が多いのではないでしょうか。

ルヴァンスレーヴ自身が古馬になってから勝てなかったのが気になりますが、脚部不安に伴う長期の離脱で満足な調教過程が踏めなかった事や血統背景を踏まえると、古馬になっても成長が見込めるでしょう。

ゴールドドリーム

父:ゴールドアリュール 母:モンヴェール
血統登録された産駒数:142頭

2024年の新種牡馬で血統登録された産駒数がルヴァンスレーヴに次いで多いのが、2017年のフェブラリーステークスなどダートのG1級競走を5勝したゴールドドリーム。サートゥルナーリアと並ぶ2位タイの142頭です。

セリ市で最も高値が付いたゴールドドリーム産駒は、ジンジャーミストの2022(牡 母:ジンジャーミスト 栗東:友道厩舎)。2022年のノーザンファームミックスセールで株式会社キーファーズが4,510万円で落札、その後一口馬主のインゼルレーシングが総額4,800万円で募集しています。母方の祖母のジンジャーパンチはブリーダーズカップ・ディスタフなどアメリカのG1レースを6勝挙げた名馬。ジンジャーパンチの代表産駒には2022年の大阪杯を制したポタジェや2015年のきさらぎ賞など重賞4勝を挙げたルージュバックがいます。

一口クラブで募集されたゴールドドリーム産駒を見ますと、ルヴァンスレーヴ産駒と同様ダート競馬に狙いを定めた馬が多く見られます。キャロットクラブが総額3,200万円で募集したヴィータアレグリアの2022(牡 母:ヴィータアレグリア 美浦:高柳瑞樹厩舎)は母が2016年のマリーンカップを制覇したダートの活躍血統。ユニオンオーナーズクラブが総額1,200万円で募集したエンパイアシティの2022(牝 母:エンパイアシティ 美浦:田島厩舎)も、叔父にはダートで結果を残したエスポワールシチーなどがいます。

ゴールドドリーム産駒も、父と同様ダートの競馬に強いでしょう。ゴールドドリームは2歳の12月にデビューし、その後3歳2月のヒヤシンスステークスまで3連勝を飾っていますが、2歳の早い時期から活躍馬を送り出すよりも3歳や古馬で結果を残す傾向があると想定しています。ゴールドドリーム自身はダートの短距離は走った事はありませんが、配合次第によっては短距離をこなせる馬が出てくるのではないでしょうか。ただ、ベストは1600m〜2000mだと思います。

モズアスコット

父:Frankel 母:India
血統登録された産駒数:105頭

2018年の安田記念と2020年のフェブラリーステークスを制したモズアスコット。世界的名種牡馬Frankelの血を引くこと、芝・ダートのマイルG1レースを制覇した実績など、馬産地での需要が高い馬です。

初年度の種付け価格が200万円という事もあって、日高地方の牧場生産馬が多いのがモズアスコット産駒の特徴のひとつ。馬主別に見ると、モズアスコットの馬主であったキャピタル・システムが18頭と最も多く、ノースヒルズが3頭と続きます。

モズアスコット産駒で、セリ市における最高価格となったのは2023年の北海道セレクションセールで藤田晋オーナーが3,740万円で落札したミライヘノカギ(牡 母:セラミックアート 美浦:上原佑紀厩舎)。半兄のルーカスミノルはダートで3勝を挙げています。上原佑紀調教師は開業して2年目の若手ですが、3歳馬からアレグロブリランテ(スプリングステークス2着)など早くも結果を出していますので、今後とも目が離せない存在です。一口クラブ所属のモズアスコット産駒は広尾サラブレッド倶楽部が総額5,400万円で募集したシンボリバーグの2022(牡 母:シンボリバーグ 栗東:矢作厩舎)など6頭います。

モズアスコット自身は体質的な弱さもあってデビューは3歳の6月と遅いデビューでした。ただ、フランケルの産駒が2歳時からG1レースを制覇した馬を送り出している点、また母の父が早熟型のヘネシーである事を踏まえると、2歳の秋ごろから本領を発揮し始めると見られます。母親次第によって、芝のレースが得意な産駒、ダートが得意な産駒が出てくるはずです。モズアスコットと同様芝・ダートの二刀流で活躍する馬が出てもおかしくはないでしょう。モズアスコットはマイラーでしたが、ヨーロッパでのフランケル産駒を見ると芝2000m〜2400mのクラシックディスタンスを得意とする馬も出ているので、距離は意外と持つのではないかと考えられます。

ミスターメロディ

父:Scat Daddy 母: Trusty Lady
血統登録された産駒数:81頭

2019年の高松宮記念を制したミスターメロディも、今年の新種牡馬。

ミスターメロディが同じスプリント路線で活躍したタワーオブロンドンと違う点はノーザンファームなどの社台グループ系牧場での生産馬がいる事です。これはミスターメロディの父であるスキャットダディ(Scat Daddy)の血を持つ馬の需要が世界的に高い事も影響していることでしょう。

スキャットダディの代表産駒のジャスティファイが2018年にアメリカ牡馬三冠を達成。同じくスキャットダディ産駒のノーネイネヴァー(No Nay Never)はヨーロッパのスプリント路線で活躍馬を次々と送り出しています。スキャットダディ産駒のカラヴァッジオ(Caravaggio)は阪急杯を制したアグリを送り出し、2023年からは日本で種牡馬として導入されました。世界的に需要が高いスキャットダディの血ですが、スキャットダディが2015年12月に急逝して以降さらに需要を伸ばしています。

一口クラブにおける注目のミスターメロディ産駒が、ターファイトクラブが総額1,800万円で募集したメジェルダの2022(牝 母:メジェルダ 栗東:寺島厩舎)です。半兄に昨年の韋駄天ステークスを制したメディーヴァルがいます。メジェルダの競走馬時代はファンタジーステークス2着の実績がありますが、これまでの子供は全てJRAのレースで2勝以上挙げるなど繁殖牝馬としても高いポテンシャルを持っているはずです。

ミスターメロディは高松宮記念など芝のレースで結果を残した馬です。ただ、デビューしてから暫くの間はダートのレースで走り、デビュー戦では2着の馬に9馬身差の圧勝を演じています。またミスターメロディの母方の血統を見るとダートで結果を残した血統ですので、芝・ダートの二刀流の種牡馬になることでしょう。スキャットダディの代表産駒を見ると、3歳の早い時期に結果を残した馬が多いので、2歳の早い時期から走る馬が出てくることでしょう。距離適性はミスターメロディと同様、スプリント戦に強い馬が多いと思いますが、配合次第によってはマイルまでこなせる馬が出てくるのではないかと想定されます。

著者:おかの ひろのぶ