夜間の初期救急について、山梨県内は市町村単位での夜間救急の維持が困難になり、5月17日から山梨大学医学部附属病院に一本化されることになりました。



背景にあるのは医師の高齢化です。

山梨県 長崎幸太郎知事 去年12月の会見

山梨県 長崎幸太郎知事:
「山梨大学医学部附属病院に、軽症患者を広域的に受け入れる初期救急医療センターを設置致します」

去年12月、夜間の初期救急を山梨大学医学部附属病院に集約することが発表されました。

3つに分かれる救急体制のうち、今回見直される初期救急は軽症患者が対象で、地域の開業医が中心となって当番制で診療にあたっています。

共同会見で市長や医師らが訴えたのは、この初期救急の窮状でした。

南アルプス市 金丸一元市長:
「休日夜間の医療体制については、市町村単位での体制確保が極めて困難であります」

山梨県医師会 鈴木昌則会長 去年12月の会見

山梨県医師会 鈴木昌則会長:
「開業医師の高齢化などの理由で、救急センターへの勤務や在宅型救急当番の維持も厳しい状況になっています」

現在、夜間にけがや病気をした軽症患者に対し、地域の医師が中心となって当番制で診療にあたっています。



協力する医師が減少して高齢化も深刻となり、県によりますと60歳以上の当番医が半数余りを占めるまでになっているのです。

甲府市医師会 星野和實会長:
「高齢化して、なおかつ協力医がだんだん減ってくる」

「医者の犠牲のもとに成り立っていた救急医療でもある」



甲府市医師会は救急医療センターで夜間の診療にあたっています。

この日も、けがや病気で次々と患者が訪れていました。

受診した患者の家族:
「とても助かった」
「良かった」

昨年度の診療件数は約2800件。医師が日中の勤務をこなしながら夜間も診療にあたっています。

しかし、かつて35人ほどで回せていた協力医が今は20人余りに減っているといいます。

​甲府市医師会 星野和實会長

甲府市医師会 星野和實会長:
「医師の確保が一番難しい」
「勤務表を作るのが最近大変になっている。1人の先生が1か月に3回やる。そういう現実があるわけです」
「これは持続可能な医療体制ではない」



夜間の初期救急を「市町村単位」で維持するのは限界にきているのです。

大学病院に軽症患者を集約する新しい体制に移行するのにあわせ、甲府市の救急医療センターの内科と外科は5月16日でその役割を終えます。(*小児と歯科は継続)

甲府市医師会 星野和實会長:
「甲府市医師会で48年間やってきたセンターを閉める」
「寂しい、無念もある」

一方の山梨大学医学部附属病院。
重症患者を診察する病院が軽症の初期救急も受け入れることについては…

山梨大学医学部附属病院 木内博之病院長

山梨大学医学部附属病院 木内博之病院長:
「初期救急が県内で大変疲弊している状況」
「県の医師会から要請があって、それを県民の医療に貢献するためにお引き受けしたという形です」
「常に一本化されているので、患者さんとしても初期救急は大学に行けばいいと利点はあると思います」



大学病院のセンターには国中地域の医師約40人も当番制に加わり、引き続き夜間診療に携わる予定です。

甲府市医師会 星野和實会長:
「医大におんぶに抱っこ、全部やらないというわけにはいかない。できる範囲で全面的に協力していかないといけない」

山梨大学医学部附属病院 木内博之病院長:
「(教育面では)これまで長年にわたって救急担当していたベテランの先生方が大学病院に来ることで一緒に診療できますよね。」
「初期救急の中にも怖い病気が隠れているかもしれないという診察の仕方とか、色々なことを学べるいい機会になるのかと」



全国的にも極めて珍しい夜間救急の新たな仕組み。
新体制は5月17日からで、毎日午後6時から午後11時までです。

UTY

国中地域にお住いの方は17日以降は山梨大学医学部附属病院の専用電話(055‐273-1122)に事前に連絡し、病院に向かうようにしてください。

また受診するか悩んだら#7119(救急安心センターやまなし)に相談してください。