こちらのオリーブオイル、世界最大規模の品評会で金賞に輝いたんですが、実は山梨県笛吹市産のオリーブだけで作られたものなんです。

オリーブオイルを作ったのが活動休止中のバンド レミオロメンのベーシスト、前田啓介さん。音楽とはまさに「畑違い」の分野でも挑戦を続けています。



黄金色に透き通るオリーブオイル「ミッション」

ニューヨークで開かれた28か国から1244品が出品されたオリーブオイルの国際品評会で金賞に輝きました。



前田啓介さん:
「これ、わかりますかね。まだちっちゃいけれどこれがオリーブ」



金賞に輝いたオリーブオイルを作った前田啓介さん。

2013年から笛吹市御坂町で県内では珍しいオリーブの栽培を始めて、およそ10年での快挙です。

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前田啓介さん:
「ソリッドな鋭いオイルというイメージがあって苦み辛味がしっかりある。凛としたオイルというか、そういうふうに感じていますね」
「どういうものを自分らは作れているかというのが気になっていたもので、金賞に値すると評価していただいたことがすごく自信になりましたね」



前田さんは現在活動休止中の人気バンド レミオロメンのベーシストとして活躍しました。音楽から農業の分野へ挑戦の場を移したのには山梨への思いがあります。

前田啓介さん:
「山梨って色々美味しいものがあるし、美味しいワイン、お酒、肉もあるし、それをつなぐ食材、調味料みたいなものを作れると面白いよねって話を、(音楽活動をしていた)20年くらい前からしていて」
「お店を回っていく中で日本のオリーブオイルに出会って、それがとにかくすごくおいしくてこれを山梨でできないかというのが最初」


100本の苗木から始めたオリーブの栽培は現在およそ600本となり、年間のオイル生産量はおよそ500㎏にまで成長しました。

前田啓介さん:
「どう考えてもクレイジーですよね。10年前にオリーブ100本植えて。近所のおじさん、おばさん『啓介、バンドの次はオリーブか?』って絶対思ったと思いますよ」

県内では前例のなかったオリーブオイル作り。

苗を植えてからオイルが絞れるようになるまでは試行錯誤の3年間が続きました。

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前田啓介さん:
「何も、だれもいなかったので近くに。イタリアに聞いてみたり(国内産地の)小豆島に聞いてみたり、自分で行って経験して学んで帰ってきたものを持ち込んでみたり、ずっとそういう繰り返しでしたね」

オリーブオイルは作物を育てるだけでなく油に加工する部分でも難しさがあります。



最後の行程で遠心分離機で分けた油と果汁、果肉からうまくオイルを抽出するにはミリ単位でストローの深さを調節する必要があります。

前田啓介さん:
「できるだけ果汁とオイルのぎりぎりのところをとっていく作業、これはもう経験です。何回も失敗して、農業の部分もすごく重要な一部だし、こういう搾油のところもすごく重要な一部で、重要なピースが連なってオリーブオイルメーカーなので、色んな立場とか目線で見ていないと失敗してしまいますよね」



音楽とオリーブオイル、全く違うように見えますが…

前田啓介さん:
「例えば音楽は僕らが作ったものが人の耳から入って心が反応していく、オリーブオイルも僕らが作ったものが口から入って心で判断するもの。(具体的な作業が)全然違うなということはいっぱいあるけれど、基本的には作るベクトル、思いのベクトルはすごく似ているんだなと」



クリエイターとしての姿勢はどんな分野でも変わりありません。

前田啓介さん:
「レミオロメンがなければ今こういうふうにやっていられないと思う。人に選ばれるものを作らないと作るだけじゃ意味がないと思うんです」
「作って誰かの手に取ってもらった瞬間に、もう一回あの曲を聴きたいとか、もう一回食べてみたい、そういう風に思わせるものを作っていかないと」
「自分の中から湧き上がる『なんだこの楽しさ』みたいなものだけで乗り越えているので。いつか枯れるんですかね。わからないですけれど楽しくてほんとしょうがないですね」

ここから生まれたオリーブオイルが食卓で奏でるハーモニーを前田さんは楽しみにしています。

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前田啓介さん:
「あくまでもオリーブオイルって『部品』だと思っていて、名脇役ってやつですよね。すばらしい技術を持っていないと主役を支えられない。そういうオイルでいたいですね」

問い合わせ先
インターネット販売:
笛吹オリーブオイル前田屋 電話:080-9693-0911
平日9:00‐17:00

店頭販売:
パモニルパフ 笛吹市御坂町尾山195 月曜定休
Yショップ御坂有野店 笛吹市御坂町栗合186-6

※現在の取り扱いは「ミッション」と「ブレンド」のみ
 今年度分の発売は12月中旬予定