2022年12月、3年ぶりに若洲アウトドアセンターで開催された「Columbia TAKIBI CLUB(焚火クラブ)」。そのメインプログラム「試焚火」でVAGUE取材班が心惹かれた焚き火台を「ソロ」「グループキャンプ」「こだわり」の3カテゴリに分けて紹介。今回は、焚火をアウトドアのメインテーマに考える“こだわり派”をもうならせる5つのモデルを“焚火台のプロ”とともに語ります。
●自分の好みを知ればもっと個性的な焚火台が欲しくなる
話しを聞いたのは、焚火クラブのメインコンテンツ「焚火クラブ」をオーガナイズした若洲アウトドアセンターのマネージャー・金丸隼士さん。イベントの名物コンテンツ「試焚火」では、常時火入れした焚火台74機種でファンを魅了。そんな焚火のプロにVAGUE焚火部が気になったモデルをチェックしてもらうことに。
百花繚乱の焚火台シーン。中にはごく一部の特徴に特化したピーキーなモデルも登場しています。そんなモデルを金丸さんは「ある程度バランスを度外視することも辞さない“こだわり派”の焚火台」として注目。万人受けはしないものの、刺さる人からは熱烈に支持されるこだわり系の焚き火台をチェックします。
●sherry's「焚き火台 B-1」
VAGUE:「東京・下町にある金属加工工房の逸品です。個性は控えめですが、造り手のクラフトマンシップを感じさせます」
金丸さん:「ステンレススティールプレートを組み合わせ、6枚、5枚、4枚と、徐々に用途に応じてサイズをコンバートできます。上方向への燃焼効率が高まる4枚ではクッキング向きのストーブとしてなど、その日の用途に応じて組み替えて使用します」
VAGUE:「パネルの枚数を増減できるモデルも増えてきましたよね」

金丸さん:「この焚火台のユニークな点は、3枚合わせだと2つの小さな焚火台の“分身”を生み出せるということなんです。デザインや素材の選定はもちろん、レーザーカットや仕上げまで自社でフィニッシュできるブランドです。新鋭ゆえに、次期モデルを模索している様子なので、『こんな焚き火台が欲しい』というリクエストをすれば、アイデアが反映されるかもしれませんよ!」
●FIRESIDE「ファイヤーサイド焚火台」
VAGUE:「メリハリのある直線と優雅な曲線が美しいモデルです」
金丸さん:「黒く煤けてなんぼの焚き火台を、どうしてこんなに精巧に仕上げちゃったのかと思わずにいられないシルエットに惹きつけられます。見た目の趣きを最優先していると思いきや、煙や使用後の燃えかすが少ないことに驚かされました」
VAGUE:「見た目だけでなく、機能もしっかりしてる」

金丸さん:「仕事柄、給排気のベンチレーション性能が気になります。このモデルでは側面と底面にインテークを設けることで、2次燃焼タイプ並みの煙突効率を実現しているようです。煙突効果を持つ筒状の焚き火台は、地面にそのまま設置すると地面を丸焦げにしてしまうモノも多いです。しかし、このモデルは標準でフロアプレートもついているので安心です」
VAGUE:「造作だけでなく、アウトドアのマナーへの配慮も忘れていない」
金丸さん:「そうなんです。まさに日本のフィールドを見て日本で生まれた焚き火台だと強く感じます」
●belmont「フォールディンググリルHIGATAMI」
VAGUE:「チタニウムなど金属加工を得意とする、燕三条のベルモントの焚火台。日本酒を温める“ちろり”を楽しむことができるようです」
金丸さん:「2023年春発売予定のプロトタイプで、火の入った状態で一般公開されたのは焚火クラブが初。人気定番モデルとなった同社の『TOKOBI』も、2018年の焚火クラブでテストモデルとして初公開されたんです」
VAGUE:「フル装備状態の『TOKOBI』によく似ていますね」

金丸さん:「『TOKOBI』よりサイズは一回り小さく、ウインドシールド等がデフォルトで搭載され、火床の下部をオーブンとして使う事もオプション不要でしっかりこなせるのが嬉しいポイントです。名称に『グリル』とあるように、本来はBBQグリルのようですが、シールドを外して『TOKOBI』と同じようにオーソドックスに焚火を楽しむことも可能な模様、発売がいまから楽しみです!」
●Petromax「アタゴ」
金丸さん:「普通の焚き火台の形でやれる事は全部できる! と言えるほどの屈指の万能性を誇るスグレモノなんですが、今回の焚火クラブでは比較対象になるモデルが不在だったため、その魅力が伝わったのか今ひとつ心配でならないモデルです」
VAGUE:「本国ドイツでは『普通の焚き火台』として売られているのでしょうか?」

金丸さん:「どうなんでしょうかねぇ。ただ、焼き網つきでBBQは可能だし、持ち上げるだけで脚が出るので展開スピードもトップクラスと基本スペックは高いのが特徴です。
珍しいのが、火力調整可能なベンチレーション操作レバーがついていること」
VAGUE:「初見では“大きくていいなぁ”くらいにしか思いませんでしたが、案外機能重視なんですね」
金丸さん:「売りにしている様子がないんですが、筒状構造で二次燃焼を起こすことで高火力を実現し、燃え残りの灰や煙も超少ないという機能だけでも十分高級モデルと呼べるレベル。価格は比較的高めですが、それに見合った能力を確実に備えたえているお化け焚き火台です」
●M-BROWN「M9030」
金丸さん;「以前開発者と話した際、『一番重い焚き火台を目指した、これでもまあソロ向けなんですが』と聞いて、何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。しかし、M9030の前にドカッと座ってみると、なるほどたしかにグループキャンプというより、腰を据えて一人で手の届く範囲でなんでもやってしまうクッキングベースにぴったりだなと感心しました」
VAGUE:「火入れされた実機があると説得力ありますね」

金丸さん:「バックパックにすっと収まる小さな『ソロ用』ではなく、オートキャンプで一人ゆったりと時間を楽しむのもまたソロなんだと納得。使いこなすためには覚悟も戦場(フィールド)も選びますが、“これでしか体験できない世界がある”を体現した焚き火台だと思います」
●製品仕様
■sherry’s「焚き火台 B-1」
・価格(消費税込み):2万2000円
・展開サイズ:高さ22.5cm、開口部最大39.5、開口部33.5cm(6枚組時)
・重量:約2.6kg
■FIRESIDE「ファイヤーサイド焚火台」
・価格(消費税込み):
・展開サイズ:285×285×330(H)mm
・収納サイズ:Φ300×90mm ※収納バッグ含む
・重量:4.7kg
■belmont「フォールディンググリルHIGATAMI」
参考出品のためスペック不明
■Petromax「アタゴ」
・価格(消費税込み):4万2900円
・展開サイズ:φ42×28cm
・収納サイズ:φ42×15cm
・重量:約6.1kg
■M-BROWN「Board M9030」
・価格(消費税込み):3万1000円
・展開サイズ:約900x306x453mm
・収納サイズ:約930x320x50mm
・重量:約14kg