国産のラージミニバンにラインナップされているリムジン仕様は、海外でも人気のようです。アメリカでは、メルセデス・ベンツ「メトリス(Vクラス)」をベースに、標準のラインナップには存在しない“マイバッハ”仕様に仕立てた1台がオークションに登場しました。
ミニバンをリムジンやラグジュアリー仕様に仕立てた
先日、アメリカの自動車オークションサイト「Bring a trailer」に、オリジナルには存在しない“マイバッハ”仕様のメルセデス・ベンツ「Vクラス」が出品されていました。
ミニバンの高級仕様といえば、個人的にはシボレー「アストロ」をベースに高級な内外装に仕立てた「スタークラフト」が最初だと思っています。本革張りシートはラウンジチェアのようなしつらえで、ウッドパネルがふんだんにおごられ、天井のライトがゴージャスだったことを記憶しています。
スタークラフトに触発された、とは、いい過ぎかもしれませんが、1998年に日産の初代「エルグランド」に「ロイヤルライン」という4人乗りのいわゆるリムジン仕様が登場しました。
標準のリア2列シートは1列に削減され、マッサ―チチェアのような独立式シートが2脚備わっていました。フロントとリアのシートを隔てる場所にパーテーションこそありませんでしたが、PCスタンドやテレビ台になる“キャビネット”のようなものが設置されていました。
3代目となる現行のエルグランドには、「VIP」とグレード名を変えたロイヤルラインを思わせるリムジン仕様が存続しています。なおVIPには、3列シート、7人乗りモデルもラインナップされています。
エルグランドのライバルであるトヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」にも、「ロイヤルラウンジ」と呼ばれる2列、4人乗りモデルが投入されました。現行のアルファードにも継続展開されるロイヤルラウンジですが、直近のものはフロントとリアのシート間にパーテーションを備えた、本格的なリムジンとなっています。
ただし、現行モデルはすでにオーダーストップの状態。海外で展開されているレクサスの高級ミニバン「LM」の日本導入タイミングを見計らっているのではないか、ともウワサされています。
そんな高級ミニバンのブームが、いつしか海外にも伝染している様子です。
3列シートをあえて2列にしてリアの広いキャビンを2名のためだけに使ったり、3列シートのまま内装を贅沢に仕上げたり、といった差別化が流行っています。個人的には、7人乗りであるはずのメルセデス・ベンツのVクラスを、3人乗り(リアに乗れるのはひとりだけ)に改造しているクルマを目撃したこともあります。
そんなVIP仕様のミニバンが、「Minivan VIP Conversion」というキーワードでインターネット検索するとゴロゴロと出てきます。
●マイバッハがミニバンをつくったらこうなる!?
そんな中、先日、アメリカの自動車オークションサイト「Bring a trailer」に出品されていたのが、2021年式のVクラスをベースとするVIP仕様車です。
なんと、オリジナルには存在しない“マイバッハ”仕様に仕立てられた1台で、フロントグリルやオーナメントもマイバッハのそれに変更されています。同様のカスタムが施されたモデルを東京都内でも目撃することがあります。
とはいえ、今回の出品車両のカスタムはそれだけにとどまりません。なかでもスゴいのは、徹底的に手が入れられたインテリアです。3列シートという配列こそオリジナルのVクラスと同じですが、キルティング加工が施されたシート生地やドアの内張りなどリアキャビンがとにかく贅沢で、写真を見る限り「マイバッハのVクラスはきっとこうなるだろうね」と思わせるクオリティです。
リアのフロアはカーペット張りではなくタイル風。2列目シートはVクラスに用意される“エクスクルーシブシート”をさらにゴージャスにした雰囲気で、フロントシート後方の頭上には巨大な横長モニターが、頭上には障子のようなライトがおごられています。
当該車両、新車時に登録されたのはカリフォルニア州で、オークションに出品される前はハワイ州で過ごしていたようです。気になる落札価格は、まだまだ新しく走行距離わずか1400マイル(約2253km)だったこともあってか、18万1000ドル(約2350万円)と思っていた以上に跳ね上がりました。本物のマイバッハより安く、Vクラスよりも高級な仕立て、というのがウケたのでしょうか? 高級ミニバンに対する需要と供給のヒントが見え隠れする気がしてなりません。