「スーパー耐久シリーズ2023 富士24時間レース」が開催された富士スピードウェイにおいて、1台のスポーティセダンが世界初公開されました。カーボンパーツが目を惹くド迫力の「ミライスポーツ」は、スタンダードな「ミライ」と何が違うのでしょうか?
突如公開された「ミライ」のスポーティバージョン
「スーパー耐久シリーズ2023 富士24時間レース」が開催された富士スポーツウェイにおいて、トヨタは新しいスポーティセダン「ミライスポーツ」のコンセプトカーを世界初公開しました。
その名の通り、ベースモデルとなったのは、トヨタのFCEV(燃料電池車)であるラージセダンの「ミライ」です。
ミライは2014年に初代モデルが誕生し、2020年に現行モデルとなる2代目がデビュー。現行ミライは、走りを予感させるダイナミックさとエモーショナルな美しさを併せ持つ1台で、TNGAプラットフォームなどの恩恵で、低重心で伸びやかなスタイリッシュフォルムを実現しています。
ミライのボディサイズは、全長4975mm、全幅1885mm、全高1470mm、ホイールベース2920mmで、ドライバーズカーとしてはもちろんのこと、VIPを後席に乗せるショーファーカーとしての人気も高いモデルとなっています。
●ドライバーズカーとしての個性を先鋭化
そんなミライをベースとするスポーティセダン・ミライスポーツの誕生には、まもなく発売予定である「クラウン・セダン」の存在が大きく関係しているといいます。
新型クラウン・セダンはミライと同じGA-Lプラットフォームを採用しており、パワートトレインにはハイブリッドのほかにFCEVも設定。つまり新型クラウン・セダンは、ミライをベースにつくられたモデルといえるのです。
その上で新型クラウン・セダンは、ホイールベースをミライ比プラス80mmとなる3000mmへと延長。リアシート乗員の快適性を一段と重んじた仕立てとなっています。
こうした2台の関係性から、「ミライはもっとドライバーズカーとしての個性を強めてもいいのでは?」との考えが、開発陣の間で広がったのだとか。その結果、従来のミライとはキャラクターの異なるコンセプトカー、ミライスポーツが誕生したのです。
●ボンネットとトランクリッドはカーボン製
今回、世界初公開となったミライスポーツで目を惹くのは、水平のスリットが複数刻まれた特製のフロントバンパー。ライト類の形状は同じと思われますが、これだけでもスポーティな印象がグッと高まります。
さらにボンネットは、「MIRAI SPORT」のロゴがあしらわれたカーボン製フードに置き換えられていました。これはデザイン上のアクセントになっているとともに、車体の軽量化にも貢献。ひいては、航続距離の延長も期待できるとのことでした。
ボディサイドに回ると、「FCEV」のロゴがあしらわれたデカールや、21インチへと拡大されたタイヤ&ホイールが目に飛び込んできます。ブレーキキャリパーはベースモデルと同じもの、とのことですが、赤くペイントすることで足元をスポーティに引き締めます。
またミライスポーツは、サイドウインドウ下端にあしらわれたアクセントパーツの色合いを、ベースモデルのクロームメッキからブラッククロームへと変更。スポーティな印象を強めています。
そしてリア回りのポイントとなるのは、カーボン製のトランクリッド。こちらも軽量化と航続距離の拡大を期待できるパーツで、このコンセプトカーのために製作された「MIRAI SPORT」のエンブレムが装着されていました。
なお足回りは、ベースモデル比で車高を20mmダウン。また全長は、バンパー形状の変更で20mmほど長くなっているとのことでした。
対するインテリアは、ホールド性の高そうなスポーツシートを採用。ステアリングやセレクターレバーの表皮をディンプルレザーに変更するなど、派手さはないもののスポーティモデルらしいテイストにまとめられています。
* * *
マットブラックのボディカラーをまとったミライスポーツのコンセプトカーは、全身のコーディネートと相まって迫力満点。各部の質感も高く、そのまま発売されてもおかしくない完成度でした。
なお会場で、トヨタはミライスポーツに対する感想などを来場客にリサーチしていましたが、その反響次第では、市販化の検討もありえるとのこと。近い将来、公道でド迫力の姿を見られる可能性もありそうです。