2023年10月で誕生から14年を迎えるレクサス「LFA」は、国産車としてはめずらしく、海外オークションで1億円超えの常連となっています。
年々高騰するLFAの相場
RMサザビーズやボナムスといった有名海外オークションでは、希少なクラシックカーやスーパーカーが1億円を大きく超える価格で取り引きされることがめずらしくありません。
ただ、国産車でそれほどの価格が付いたケースはごくわずかです。
日本は欧米に比べて自動車メーカーの誕生が遅かったことにくわえ、高度経済成長によって急速にモーターリゼーションが進んだことから、むしろ経済性に優れた大衆車が発達したために、希少性の高いクルマが生まれにくかったことなどがおもな理由とされています。
一方、そうしたなかでも、近年オークションに登場するたびに1億円を超える価格で落札されているモデルがあります。
それは、レクサス「LFA」です。
2009年の東京モーターショーで世界初公開されたLFAは、レクサスのフラッグシップスポーツカーとしてわずか500台限定で販売されました。
搭載されるV10エンジンはヤマハとの共同開発によって専用チューニングが施され、最高出力560馬力、最高速度325km/h以上というスーパースポーツカーとして申し分のないパフォーマンスを発揮します。
さらに「天使の咆哮」とも評される官能的なエキゾーストサウンドは多くのファンを持ち、史上最高のエンジンサウンドのひとつに挙げられることもめずらしくありません。
レクサスの威信をかけて発表されたLFAは、3750万円という国産車としては異例の高額車であったにもかかわらず、発売後ほどなくして完売することとなりました。
いわゆる「リーマン・ショック」によって経営面に大きな打撃を受けた当時のレクサスにとって、高コストのスーパースポーツカーを継続生産することが難しかったことは想像に難くありません。
しかし、豊田章男社長(当時)の強い熱意もあり、LFAは予定通り販売されることになったと言われています。
世界限定500台のスーパーカー オークションに登場するのはほぼ北米仕様
生産された500台のLFAのうち、日本国内へは約200台、北米へは約180台、そして残りの地域で120台あまりがデリバリーされたようです。
海外のオークションで高額落札されるLFAのほとんどは北米仕様のものです。

たとえば、2021年にアメリカのオークションに登場した個体は、走行距離わずか177マイル(約285km)という極上のコンディションが評価され、78万1800ドル(約1億1540万円)という価格で落札されました。
また、2023年9月には、同じくアメリカのオークションで「パール・レッド」の個体が登場し、70万5000ドル(約1億400万円)で落札されています。
これらはいずれも北米仕様の個体であり、LFAがおもにアメリカで高い人気を誇っていることがうかがえます。
一方、レクサスのブランド力が相対的に低いとされる欧州では、LFAの価格もやや落ち着いているようです。
2023年11月にドイツ・ミュンヘンで開催されるRMサザビーズによるオークションには、2011年製の走行距離約6100kmの個体が出品される予定です。
カタールで新車として販売された後にスイスへと渡ったというこの個体は、ドイツ・ケルンのトヨタ・ガズー・レーシングで整備されるなど抜群のコンディションを誇る1台です。
ホワイト×ブルーでコーディネートされたこのLFAが、1億円超えで落札されたほかの個体と同等以上のコンディションを持っていることは一目瞭然ですが、RMサザビーズによる想定落札価格は、意外にも50万〜60万ユーロ(約7900万円〜約9470万円)とやや控えめです。
もちろん、想定落札価格通りにならないことはしばしばありますが、少なくとも現時点では1億円超えとなる可能性は低いと見られています。
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それでも、LFAが非常に希少なモデルであることは言うまでもありません。
国産車で安定して1億円超えを記録するモデルは、LFA以外ではトヨタ「2000GT」などごくわずかです。
LFAの相場は今後さらに高騰することが確実視されており、将来的には、2022年3月に2000GTが記録した253万5000ドル(約3億7440万円)という、国産車における最高落札価格を更新する可能性もありそうです。