アメリカで200台が限定販売されたトヨタ「GRカローラ“モリゾウエディション”」の1号車がチャリティオークションに出品され、その収益がNPOへと寄付されました。出品したのはアメリカのロンゴ・トヨタ、“世界最大のトヨタディーラー”とは、果たしてどんな店舗なのでしょうか?

「1号車」は新車価格の約2倍で落札

 2023年10月、世界最大のトヨタディーラーであるロンゴ・トヨタが、新車の「GRカローラ“モリゾウエディション”」をチャリティオークションに出品しました。

 アメリカで有名なオンライン自動車オークションサイト「Bring a Trailer」にて開催された同オークションには51件の入札があり、9万8500ドル(約1446万円)で落札されました。

 参考までに、ロンゴ・トヨタが掲げていたGRカローラ“モリゾウエディション”の新車時価格は、オプション込みで5万2929ドル(約777万円)でした。つまり、新車時価格の約2倍で落札されたというわけです。

 ただし、今回出品されたのはアメリカで200台限定、日本では70台限定だった“モリゾウエディション”の1号車だっただけに、もっと評価されるのでは? と思っていました。

 参考までに、現在、日本の某中古車サイトに流通している“モリゾウエディション”の価格は、走行距離2000kmの個体で約1300万円のプライスタグを掲げています。

 今回のオークションの手数料はロンゴ・トヨタが負担し、オークションでの落札額に同社の寄付分をプラスして計15万ドル(約2201万円)の寄付金を手渡したのだとか。

 ちなみに今回の売り上げは、ロンゴ・トヨタの所在地であるアメリカ・カリフォルニア州エルモントの公立学校、そして、低所得者層へ無料で視力検査とメガネを提供するNPOへと寄付されるそうです。

“世界最大のトヨタディーラー”は約160店舗分の販売力!?

 そんな太っ腹なロンゴ・トヨタは、“世界最大のトヨタディーラー”といわれています。

“世界最大のトヨタディーラー”であるロンゴ・トヨタ(C)Google Maps

 どんなところなのか気になってGoogleマップで検索してみると、約500m×400mと広大な敷地に、トヨタとレクサスのディーラーを併設していることが確認できました。敷地面積は実に東京ドーム4個分だそうです。

 広大なだけに、駐車場の台数も尋常ではありません。巨大ないわゆる自走式立体駐車場が2棟あるように見受けられます。アメリカの自動車ディーラーは在庫販売ですから、おびただしい数の新車が並んでいそうですね。

 なお敷地内には、ロンゴ・トヨタがフランチャイズ加盟しているスターバックス、サブウェイ、エンタープライズ・カー・レンタル2店舗、そしてオートモーティブ・クラブ・オブ・アメリカの南カリフォルニア州支部が存在しています。ちょっとした“自動車の町”ですね。

 ちなみにロンゴ・トヨタは、2006年に最高月間販売数2710台という記録を樹立しています。そして同年の総販売台数は、2万5070台だったとか。これは日本における新車登録台数の1%分に相当する数です。

 日本には約1万6000の新車ディーラーがありますから、単純計算するとロンゴ・トヨタはその約160店舗分の販売力がある、ということですね。あまりのスゴさに思わず笑ってしまいます。

 1967年にドミニク・ロンゴ氏が設立したロンゴ・トヨタが、1985年にロンゴ氏が亡くなって以降、ペンスキー・オートモーティブ・グループの傘下に収まったそうです。ペンスキー傘下に収まってからもロンゴ氏へのリスペクトから、ディーラー名は変更してないそうです。

 なお、ペンスキー・オートモーティブ・グループは世界的に自動車ディーラーを営む巨大企業。BMW、ミニ、トヨタ、レクサス、メルセデス・ベンツ、スプリンター、スマート、アウディ、フォルクスワーゲン、ベントレー、クライスラー、ジープ、ダッジ、ホンダ、アキュラ、フェラーリ、マセラティ、ポルシェ、ジャガー、ランドローバー、ランボルギーニ、日産、インフィニティ、キャデラック、シボレーそして商用トラックなどを世界338店舗で販売し、2022年の売上高は278億ドル(日本円換算で4兆円強)でした。

 どんなメディアよりも、どんなインフルエンサーよりも、自動車メーカーへの影響力がありそうですね。いやはや、世の中にはいろいろな会社があるものです。