2023年12月7日、ホンダは最上級ミニバン「オデッセイ」の復活をアナウンスしました。2021年に販売を終了していたホンダの最上級ミニバンは、どのような経緯で再販されることになったのでしょうか?

なぜ「オデッセイ」は2021年に販売を一時終了したのか?

 2023年12月7日、ホンダは最上級ミニバン「オデッセイ」の復活を発表しました。

 グレードラインナップは、「e:HEV アブソルート」、「e:HEV アブソルートEX」、「e:HEV アブソルートEX ブラックエディション」の3種類で、価格(消費税込)は480万400円〜516万4500円。駆動方式はいずれもFF(前輪駆動)のみとなっています。

 今回、再びホンダのラインナップに名を連ねることになったオデッセイですが、同モデルはなぜ、2021年に販売終了となったのでしょうか?

 初代オデッセイは1994年に誕生。背の低いスマートなデザインとセダンライクの走りと快適性により、ミニバンの概念を覆すモデルとなりました。

 その後、モデルチェンジを繰り返す中、2013年11月に登場した5代目でコンセプトを一新。日本仕様のオデッセイで初めて高い車高を採用し、ボディの両サイドにリアスライドドアを採用するなど、ボディサイズを大型化させてキャビンの居住性を高めました。

 このコンセプトチェンジと連動し、エクステリアデザインの方向性も一変。メッキでデコレーションした大型のフロントグリルを装備し、押し出しの強い顔つきとなりました。

 併せて、インテリアも上質感の高いものに。オットマンを備えたセカンドシートを装備するなど、快適性の高い上級志向のミニバンへと生まれ変わりました。

 5代目はその後、2020年11月に大規模マイナーチェンジを実施。フロントマスクは押し出しがより強まり、インテリアの質感も一段と向上。また、先進安全支援装置である“ホンダセンシング”の機能向上も図られました。

 このように完成の域に達した感のあった5代目オデッセイですが、大規模マイナーチェンジからわずか1年後の2021年末、突然、販売終了がアナウンスされます。ホンダの狭山工場が閉鎖されるのに伴い、同工場で生産していたオデッセイの国内生産と販売が終了したのです。

 そうした経緯を持つオデッセイですが、今回、2年ぶりの復活を果たしました。

 現在ホンダは、ミッドサイズの「ステップワゴン」、コンパクトな「フリード」とふたつのミニバンをラインナップしていますが、同社にはオデッセイの生産終了直後から、復活を求めるユーザーの声が殺到。また、全国のディーラーからも、同様の意見が寄せられていたそうです。

 そして、ブランド誕生30周年を迎えたこともあり、ホンダはより車格の高いミニバンを求めるユーザーに対して、長い歴史と唯一無二の価値を持つオデッセイの再投入を決定したといいます。

 では、新しいオデッセイはどのような進化を遂げたのでしょうか?

セカンドシートの快適性が格段にアップ

 今回、日本市場に復活したオデッセイのエクステリアは、フロントマスクのデザインを小変更しています。

2年ぶりに待望の復活を遂げたホンダ「オデッセイ」

 フロントグリルの開口部を一部拡大したほか、5つの水平基調のバーに突起状の意匠を施すことで、ワイド感と高級感をアップさせています。

 インテリアでは、セカンドシートに4ウェイパワーシートを標準装備。オットマンやリクライニングといった快適機能を電動で調整できるようにし、乗員の好みに応じてきめ細かに調節できるようにしています。

 さらに、シートヒーターや折りたたみ式センターテーブル、専用の急速充電つきUSBチャージャー(2個)を装備するなど、セカンドシートの快適性を格段に高めています。

 新しいオデッセイのパワートレインは、2リッターエンジンにふたつのモーターを組み合わせた独自のハイブリッド“e:HEV”のみのラインナップとなりました。

 シフトセレクターには、ホンダのハイブリッド車に多数採用されているスイッチ式の“エレクトリックギアセレクター”を初採用。また、アクセルオフの際の減速度合いを調整できる“減速セレクター”を新たに装備し、前走車との車間距離調整などがおこないやすくなりました。

 先進安全支援装置のホンダセンシングは、最新フェーズのものへと進化。フロントカメラを広角化して衝突被害軽減ブレーキの検知対象を拡大したり、交差点右折時の対向車や横断自転車、夜間の歩行者検知を可能にしたりと、さらなる安全性能の向上を図っています。

 そのほか、“ホンダコネクト”と呼ばれるコネクテッド機能にも対応。エアコンやドアロックなどの操作や緊急通報、ロードサービスなどを利用できるようになりました。

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 そんな新しいオデッセイの注目グレードは、フロントグリルやドアミラー、リアコンビネーションランプなどをブラックアウトし、インテリアにも専用のブラックルーフライニングやブラック加飾を採用したe:HEV アブソルートEX ブラックエディション。

 精悍さをプラスした新グレードは、高い注目を集めそうです。