2024年もスイス・ジュネーブにて開催されたウォッチズアンドワンダーズから注目の新作をご紹介。まずはグランドセイコー「Evolution 9 Collection 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」をお届けします。

●セキレイがついばむかのような巻上げ機構

 世界最大となるスイスの時計見本市「ウォッチズアンドワンダーズ」への3度目となる出展を果たしたグランドセイコー。

 並みいるヨーロッパ勢のブランドがひしめくなか、今年も「和」を強調したブースと新作への注目を集めています。

 そしてW&W 2024にてセイコーから発表されたのは新世代の手巻きムーブメントを搭載したグランドセイコーの「エボリューション9 コレクション」。

 搭載されるムーブメントは2020年に登場した「キャリバー9SA5」をベースに改良を加えた「キャリバー9SA4」。

 毎秒10振動の高い振動数、80時間ものパワーリザーブ、デュアルインパルス脱進機やグランドセイコーフリースプラングの採用による高精度を継承しつつ、手巻きムーブメントならでの官能性を追求し、より心地よい巻き心地を目指して約40%もの構成部品を新たに設計しました。

注目してもらいたい「こはぜ」。盛岡の鳥であるセキレイからインスピレーションを得ている。

 巻上げ時の感触と音を追求すべく、特に「こはぜ」「こはぜばね」の形状を大きく変更。

 こはぜのパーツ形状のデザインでは、鳥の「セキレイ」から着想を得ており、まさに鳥の横顔を思わせるチャーミングなこはぜをシースルーバックから眺めることができます。

 セキレイは、実際にメカニカルウオッチが作られるグランドセイコースタジオ雫石の敷地内にも姿を見せる盛岡市の市鳥というストーリー性も。巻上げのたびに、香箱の角穴車とこはぜが嚙み合い、まさに鳥のついばみような微笑ましい動きを楽しむことができます。

 その周囲のストライプ模様では、岩手県を流れる雫石川の流れを表現しており、本来無機質なメカニズムの中にも、日本人好みの一片の風流を感じ取ることができるでしょう。

 ダイヤルにおいても白樺の樹皮を思わせる型打パターンを施しており、雫石と同じく岩手県に位置し、日本一の白樺林とされる平庭高原を思わせ、ウォッチ全体から岩手の美しい自然を感じさせます。

 今回、試しにりゅうずを巻き上げてみたところ、「カチカチカチ」と小気味の良い音が。コミカルな「こはぜ」の動きに、ひと目見て愛着が湧いてしまいました。高振動のハイビート仕様に手巻き、そして命を与えられるかのような「こはぜ」の楽しさはまさに“エモい”高級時計としてかなりの注目を集めているのも納得。

 限定モデル(「SLGW002」/605万円 消費税込)も展開し、こちらは通常モデルのケースと中留がブリリアントハードチタンであるところを、18Kピンクゴールドに置き換え、ストラップもブラウンに。一段と優美な気品を漂わせるモデルで、世界限定でわずか80本、国内50本という希少なモデル。

 巻上げの感触と音をさらに磨き上げ、手巻き時計を身につける意味と喜びを再認識させてくれる「Evolution 9」新作。ぜひその指先で“腕時計との対話”を楽しんでみてください。いずれも8月9日より、グランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロンにて発売予定です。

●製品仕様
「Evolution 9 Collection 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」
・SLGW003(レギュラーモデル)/SLGW002(限定モデル)
・価格(消費税込):145万2000円/605万円
・ケース :ブリリアントハードチタン/18Kピンクゴールド
・ストラップ・中留:クロコダイル ・ブリリアントハードチタン/クロコダイル・18Kピンクゴールド
・ガラス:ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)
・防水性能:日常生活用防水(3気圧防水)
・ケースサイズ:外径 38.6mm(りゅうず含まず)、厚さ 9.95mm
・限定数量(SLGW002):世界限定80本(うち国内50本)