事前に申し込みをすると高速料金が大幅に割引されるETC周遊割引が、NEXCO各社から販売されています。NEXCO中日本で販売されているETC周遊割「速旅」には、長野県を思う存分楽しめる「信州めぐりフリーパス」というプランがあります。どんな内容なのでしょうか。実際に使ってみました。

NEXCO中日本のETC周遊割「信州めぐりフリーパス」を使ってみた

  観光を目的とした泊まりがけのドライブで高速道路を使う場合、自宅から観光地の往復に加え、複数の目的地を巡る利用が多くなります。

 そうした周遊ドライブに便利なのが、一定のエリアでの高速道路が定額で“乗り降り自由”となる、NEXCO各社のETC周遊パス(NEXCO東日本「ドラ割」/NEXCO中日本「速旅」/NEXCO西日本「みち旅」)です。

 今回は「速旅ドライブプラン 信州めぐりフリーパス2024(以下信州めぐりフリーパス)」を使い、高速道路料金を大きく節約しながら、信州を土日の1泊2日で巡るドライブを楽しんできました。

 以下、その使い勝手、さらには利用上の注意点をご案内したいと思います。

 信州めぐりフリーパスの周遊エリアは、長野県内(中津川ICのみ岐阜県)の高速道路のIC(中央道諏訪南IC〜中津川IC、上信越道碓氷軽井沢IC〜信濃町IC、長野道岡谷JCT〜更埴JCT)で、「首都圏エリアから出発(2日間/3日間)」「名古屋エリアから出発(2日間/3日間)」「長野県内から出発(2日間)」の3つのタイプを用意します。

 今回利用したのは、このうち首都圏エリアから出発する2日間の商品で、価格は8700円(普通車)です。

 利用にあたっては、NEXCO中日本のサイトから事前に申し込みが必要です。

 申し込み期限は利用当日、最初の出口ICを出るまでとなっていますが、申し込みのミスなどを防ぐ上でも、時間にゆとりのある前日までに済ませておいたほうがいいでしょう。

 さて初日は早朝4時30分に東京23区北部にある自宅を出て、関越道練馬ICから関越道に流入、まずは長野道松本ICを目指します。

 東京から松本ICまでは、中央道経由が高速道路料金が割安となりますが、信州めぐりフリーパスでは関越道〜上信越道経由も同料金で利用可能で、中央道調布ICまで一般道を走る時間ロスをなくすことができます。これは大きなメリットです。

 練馬ICから松本ICまでは約3時間。出口料金所ではETC休日割引の4510円が表示されますが、実際の請求時には信州めぐりフリーパスの料金に調整されます。

 まず最初の目的地は、開門前からインバウンドの観光客が列を作る「松本城」です。

 天守閣に上り、松本平やまだ雪をいただく美ヶ原、北アルプスの景色が一望できました。さらに城内の散策を楽しみ、つぎの目的地、「阿寺渓谷」に向かいます。

 松本ICから伊那ICまでは40分ほど、そこから国道361号で中央アルプスを貫く権兵衛峠を越えます。街道沿いのドライブインで昼食をとったあと国道19号を南下、大桑村で木曽川を対岸に渡ると、そこが阿寺渓谷の入口です。

 水の美しさで知られるこの渓谷は、ゴールデンウィーク、夏休み期間はマイカー規制が行われるため、クルマで訪ねることができるのはそれ以外の期間に限定されます。駐車場にクルマを止め、渓谷を散策し、美しい水と新緑のコントラストに癒やされました。

通常の高速料金1万8570円が8700円と半額以下に

 この日の締めくくりの観光スポットは、さらに国道19号を南下した中津川市にある「中津川市鉱物博物館」です。展示のメインは、さまざまな美しい鉱物と、その成り立ちについて。テレビ番組「ブラタモリ」のファンだった筆者には、満足の内容でした。

 存分に観光を楽しんだあとは、中津川ICから中央道に入り、塩尻市内にとった宿に向かいます。

 明日の観光の目的地は長野市ですが、たまたまこの日は「長野マラソン」と重なり、市内の宿は混雑で宿泊費が高騰、ちょっと手が出ない価格帯になってました。そこで周遊エリア内で比較的割安な塩尻市内に宿泊することにしたのです。

 こうした混雑を避けた宿泊地へ“途中下車”しても、高速道路料金が余計にかかることがないのはうれしいところです。

NEXCO中日本「信州めぐりフリーパス2024」の申し込みサイト

 2日目は塩尻ICから長野道北上し上信越道長野ICで流出、マラソンコースの交通規制の準備が進む長野市内を国道18号で通り抜け、バードラインで「戸隠神社」に向かいます。

 まずは宿坊を抜けた坂道の上にある戸隠神社中社を参拝、そこからさらにクルマで進み、奥社へ。戸隠山中腹にある奥社は駐車場から往復1時間半ほどのトレッキングルート、参道に立ち並ぶ杉並木に厳かな雰囲気を味わい、まだ左右に雪残る石段を注意して上ります。

 参拝のあとの昼食は名物の「戸隠蕎麦」に舌鼓、そして来た道を戻り、最後の観光スポットは長野市内の「善光寺」です。

長野市にある善光寺

 門前町の仲見世で買い物を楽しみ、国宝の本堂にお参りし、「お戒壇巡り」でご本尊との結縁を果たしました。

 さて、目的としていた観光地をすべて回り、長野ICから一路自宅へ。ただあちこち歩き回ったためか、お腹が空きました。そこで東部湯の丸ICで上信越道を出て、「もつ煮定食」がリーズナブルで美味しい「道の駅 雷電くるみの里」で、早めの夕食タイムとしました。

 夕食後は小諸ICであらためて上信越道に流入。もし関越道の渋滞が激しいようであれば、碓氷軽井沢ICで流出し、「軽井沢プリンスショッピングプラザ」で買い物しつつ渋滞解消を待つ作戦でしたが、この日の渋滞はそれほどでもなく、小諸ICから関越道練馬ICまで、2時間ほどのドライブでした。

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 今回使ったルートの高速道路料金を単純に合計すると、休日割引で1万3430円、もし平日であれば通常料金1万8570円となります。これが8700円になるわけですから、信州めぐりフリーパス2024のお得感は素晴らしいものがあります。

 ただ利用にあたっては、注意点もあります。

 今回の商品は、首都高速や外環道との連続利用が可能ですが、それぞれ別途料金がかかります。

 また東北道川口JCT〜羽生IC、常磐道三郷JCT〜桜土浦ICからの利用も可能ですが、周遊エリアへの行き来には圏央道を利用する必要があります。

 さらにお盆や年末年始など、繁忙期には利用できない日が設定されています。

 このほかの注意点については、NEXCO中日本の「ドライバーズサイト」をご覧ください。