トランスミッションの新機構「Honda E-Clutch(ホンダ・E-クラッチ)」が発表されました。SNSではどんな反応があるのでしょうか。

ホンダはバイク用ATを推進

 本田技研工業(ホンダ)はすでにバイク用のオートマチックトランスミッションを開発し量産しています。

 スクーター用の無段変速機(CVT)は除き、「DCT」(デュアル・クラッチ・トランスミッション)というシステムを大型二輪を中心に搭載しています。

 四輪車のようにクラッチなしで油圧でギアを噛み合わせるものとは違い、2組のクラッチを使用して1速・2速と素早くギアを繋いでいくシステムで、クラッチはあるものの、人間がクラッチを操作する必要がありません。

 発進・停止・半クラッチの操作を全てDCTが担当してくれるため、ライダーはより運転に集中することができます。

 マニュアルモードもあり、手元のスイッチや従来のように左足元のレバーを操作して手動変速が可能。ギア自体は従来の有段式のため、バイクらしいダイレクトな加減速は健在です。

 2010年に大型ツアラー「VFR1200F」にDCTを初採用して以降、「NCシリーズ」「CRF1100L アフリカツイン」「ゴールドウイング」などに搭載しています。

 DCTは、欧州の四輪車によく見られる機構ですが、二輪車用に専用開発し市販しているのはホンダのみとなります。

クイックシフターに代わるメジャーな機構となるか

 そしてホンダはまた新たな自動変速機構を2023年11月に発表しました。「E-Clutch(E-クラッチ)」という名称で、クラッチ操作のみを機械が担当するというシステムです。

 さらに、それを搭載したスポーツモデル「CB650R E-Clutch」「CBR650R E-Clutch」が4月11日に発売されました。

2024年4月11日に発売されたロードスポーツモデル「CB650R E-Clutch」

 ホンダ・E-クラッチは、2つのモーターとギアを内蔵した小型のユニットをギアボックスの右側のクラッチケースに搭載。

 ギアボックス本体やクラッチは従来のまま、ユニットのみを後付けしたような格好です。

 変速操作自体はライダーが行いますが、クラッチ操作のみを機械が代行するというのがホンダ・E-クラッチの考え方。

 従来のクラッチレバーの機構はそのまま残しており、クラッチ操作を自動にするか手動にするかを任意に切り替えることができます。必要があれば人間の操作を強制介入させることも可能です。

 現在、発進・停止時にクラッチ操作の必要はあるものの、走行中の変速はクラッチの必要がないクイックシフターが、世界的にメジャーなシステムとなりました。ホンダの大型二輪「CB1300シリーズ」にも搭載されています。

 しかしホンダ・E-クラッチは、バイクの状態や人間の操作状況も監視をしているため、クイックシフターのように変速ショックのない違和感のないスムーズな変速を可能としているとのことです。

 SNSでもホンダ・E-クラッチへの反応があります。

「まったり走りたい時は自動にすればいいし、やる気がある時は手動にすればいい、いいじゃん!」「(バイクだけではなく)全MT乗りが渇望するシステム。車でも渋滞対策に有効」とポジティブな意見が散見されます。

 また、「手動のクラッチの重さに影響は出るのかな?」「従来のバイクにも後付けできたらうれしい」という気になる点や要望の意見もありました。

2024年4月11日に発売されたロードスポーツモデル「CBR650R E-Clutch」

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 ホンダのクラッチレス車の歴史はかなり古く、多くの人が知っているホンダの代表選手「スーパーカブ」は初代から自動遠心クラッチを採用した立派なクラッチレス車です。

 現在は生産終了となりましたが、大型クルーザー「DN-01」には、スクーターのそれとは違ってベルトを使用しないCVTが採用されていました。

 そして現在はDCTが代表的なポジションですが、ギアボックスが専用となるので相応のコストがかかります。内部の機構も複雑となります。

 しかしホンダ・E-クラッチであれば、従来のギアボックスに大がかりな改造の必要がありません。つまり、車両のコストを抑えることに繋がります。

 今後搭載車種が増え、改良も進んでいくことでしょう。