1967年の登場以来、日本を代表するショーファーセダンとして君臨し続けるトヨタ「センチュリー」。2023年にはSUVスタイルの新モデルが追加されて話題となりましたが、果たして年収はいくらあれば入手できるのでしょう?

個人で「センチュリー」を入手するのは不可能!?

 数ある高級車の中でも、国産最高峰の呼び声が高いのがトヨタ「センチュリー」です。

「センチュリー」が誕生したのは1967年。この年がちょうど明治時代が始まって100年目だったことと、トヨタグループの創設者・豊田佐吉が生誕100年を迎えたことから、その名が与えられたといいます。

 以降、日本を代表するショーファーセダンとして君臨し続ける「センチュリー」ですが、2023年にはSUVスタイルの新モデルが追加され話題を集めました。

 その結果、SUVスタイルの新モデルが「センチュリー」と呼ばれ、従来のモデルは「センチュリー(セダン)」と呼ばれるようになっています。

 こうしてボディタイプに変化が生じても、「センチュリー」が国産最高峰の1台であることに疑いの余地はありません。では、そんな「センチュリー」を手に入れるには、いったいどの程度の年収が必要なのでしょうか?

 2023年に登場した新スタイルの「センチュリー」は、新車価格が2500万円(消費税込)となっています。これはあくまでベースとなる金額で、実際にはオーナーの求める仕様次第で価格は青天井となりますが、まずはこの2500万円をベースに考えてみましょう。

 一般的な目安とされる「購入するクルマの価格は年収の半分」という考え方を当てはめてみると、「センチュリー」を購入するのに必要な年収は5000万円となります。

 5000万円もの年収を稼ぐ人は極めて少ないのはもちろんのこと、仮にそれだけの収入がある場合には、節税の観点などから法人を設立する人が多いのが一般的です。

「購入するクルマの価格は年収の半分」という目安は、会社勤めをする年収数百万円の人を想定したものであるとすると、そもそも同じ尺度で考えるべきクルマではなさそうです。

 実際、「センチュリー」のようなショーファーカーのほとんどは、個人ではなく法人による購入がメインとなっています。

 つまり、経費として計上することになるわけですが、経費で「センチュリー」を購入するにも、一定以上の利益をあげている企業でなければなりません。

 法人は節税や経理処理の観点からクルマをリース利用することが一般的で、「センチュリー」においてもリース利用することが原則とされています。

 契約内容にもよりますが、「センチュリー」の場合、3年(36回)で契約した際の月々のリース料はおよそ40万円になると見られます。

 この額を継続して支払えないと判断されると、そもそもリース契約の審査がとおらないおそれが濃厚です。

 とある税理士さんは、「社用車にかける費用は営業利益の10%程度以下とすることが望ましい」と話します。

 これを当てはめると、「センチュリー」をリース契約するためには、少なくとも毎月400万円以上の営業利益が見込まれる企業である必要があります。

 いわゆる大企業の多くはこの基準を満たしている場合が大半なので、「センチュリー」を手に入れることはそう難しくはないでしょう。

●「センチュリー」なら専属ドライバーとの契約も必須!?

 しかし昨今、大企業の多くは株主や社員などへの配慮から、「センチュリー」のような超高級車を社用車とすることに対して消極的なのも事実です。

 そうなると、実際に「センチュリー」を手にすることができるのは、代表取締役自身が株式の大半を所有するオーナー企業であると考えられます。

 しかし、オーナー企業の多くは一般的に中小企業であることが多く、毎月400万円以上の営業利益が見込まれる企業はさほど多くはありません。

 さらに「センチュリー」のようなショーファーカーは、専属のドライバーと契約することが一般的。その費用は月額数十万円ともいわれます。

 こうした点を総合すると、「センチュリー」を手に入れることができ、さらに専属ドライバーと契約できるのは、毎月1000万円程度の営業利益が見込まれる企業のオーナー、というのが最も現実的といえそうです。

 いうまでもなく、そうした人はごくわずか。「センチュリー」の月産台数がわずか30台であることを考えても、このクルマのオーナーになれる人は日本でもほんのひと握りであることは間違いありません。

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 一方、日本には多くの富裕層が存在しており、その意味では「センチュリー」のオーナーになり得るユーザーは少なくないのも事実です。ただ実際には、お金さえあれば誰でも「センチュリー」を手に入れられるわけではなさそうです。

 例えば、都内のトヨタ販売店では、「センチュリー」の購入に対して“面談”を必須としています。事前に提出する資料を元にした事前審査があるとされ、「審査結果によりましてはご要望に沿えない場合もございます」とも明記されています。

 このように、お金だけでは手に入れられないクルマという点においても、やはり「センチュリー」は唯一無二の存在であるといえそうです。