かつて一斉を風靡したバイク「TW」を、素材のよさを活かして今風にカスタムしたらどうなるのでしょうか。デウス・エクス・マキナがつくりあげた「TWストリート・カスタム・ウラハラ」を紹介します。

「TW」のカスタムの可能性にチャレンジ

 ヤマハ「TW」は、カスタムの素材としてよく使われるバイクだ。1987年に初代モデルとなる200ccエンジンの「TW200」がデビューし、2002年には225ccエンジンへと換装された「TW225」が発売されたが、排ガス規制の強化に対応するのが難しく、2008年に国内仕様車の生産が終了している。

 このTWが知られているのは、風間深志氏による北極点チャレンジのベースマシンとなったということと、カスタムされたTWが木村拓哉主演のドラマに登場したということだろう。なかでも人気だったカスタムのスタイルは、スカチューンだった。

 スカチューンというのは、スカスカに見える、ということからそう呼ばれるようになったものだ。ダートトラッカー的なスタイルを基本に、スイングアームを延長し、バッテリーやサイドカウル、エアクリーナーボックスなどを外し、シートも極力小さいものにするなどして、すっきりとしたスタイルとしているのが特長となる。マフラーはダウンタイプを装備するのが、基本となっていた。

 今回紹介するのは、そんなTW225をベースに、Deus ex Machina(デウス・エクス・マキナ)がつくりあげた「TWストリート・カスタム・ウラハラ」というカスタムマシンだ。

 デウス・エクス・マキナは、オーストラリアで2006年に誕生したクリエイティビティブランドだ。単にオートバイをカスタムするだけではなく、サーフィンやスノーボードなど、さまざまなスポーツと融合したアイテムを開発し、アパレルやグッズなども展開している。現在はシドニーのほか、パリやロサンゼルス、ミラノ、そして東京・浅草に店舗を持ち、世界的な活動をしている。

 このTWストリート・カスタム・ウラハラは、デウス・エクス・マキナ・ジャパンの添田智之氏がつくったものだ。もともと添田氏はTWのことを、数あるヤマハの名車のなかでも一番の存在だと考えていた。サイズ感や機能性に優れていて、ちょい乗りの足として所有するならこれしかないと高く評価していたのである。

オリジナルのパーツは現物合わせで製作しているものも多い

 そんな添田氏の元に、TWのオーナーからカスタムのリクエストが届く。そのリクエストのキーコンセプトは、街中と山道のどちらも軽快に走れること、そして、タンデム走行が可能なこと、というふたつだけだった。

 そこで添田氏は、オーナーの身長や体重を確認した上で、シートポジションやハンドルポジションを決定。それをベースに、スイングアームの長さなどを決定していった。ほぼすべて手作業によって製作されている。世界で1台のバイクを作るために、パーツを現物合わせで製作している個所も多い。

●細部に宿る職人の技

 でき上がったTWストリート・カスタム・ウラハラは、一見するとスカチューンのようでありながらも、オリジナリティが感じられるものとなっている。シート下から出るマフラーは、すっきりとしたイメージをより強くしていて、タンデムシートの長さを感じさせない。小型薄型化したヘッドライトは倒立式フロントフォーク間にきれいに収まっており、ミラーは右側グリップ内側下にセットすることで、正面から見たときのスリムさが強調されている。

 生産中止からすでに10年以上が経過したTWだが、いまだ市場での人気は高い。新車価格は、たしか30万円強だったように記憶しているが、現在の中古車市場では、ノーマル状態なら新車価格と同等で買えればラッキーという感じだ。また、カスタムしてある個体がそのままの状態で販売されている例も多い。

 このようにカスタムするのがあたり前のTWを、2021年のセンスでつくりあげたのが、このTWストリート・カスタム・ウラハラなのである。さまざまな機能を持ち、非常に高いレベルに仕上がっている現代のオートバイと比べると、原始的といっていいほどのシンプルさに魅力を感じてしまうのは、細かく繊細に作り込まれた職人の技が感じられるからなのだろう。