ランボルギーニが自社のヒストリックモデルをバックアップする「ポロストリコ」を立ち上げた時期を前後して、ランボルギーニのクラシックカーは急騰していましたが、それもひとまず落ち着いたようです。最新オークションに登場した「350GT」を例に検証してみましょう。

ランボルギーニの初めてのプロダクションモデル「350GT」とは

 ランボルギーニのファースト・プロダクションモデルとなった「350GT」が、RMサザビーズが2011年11月19日にフランスのポールリカール・サーキットで開催した「ザ・ギュイカス・コレクション」に出品された。

 350GTは1964年5月から1966年にかけて、トータルで130台以上(140台程度まで諸説あり)が生産されたとされるが、今回出品されたのは、RMサザビーズの調べによれば50台ほどが製作されたという、アルミニウム製ボディを持つモデル。このボディはもちろんカロッツェリア・ツーリングの手によるものだ。

●ランボルギーニの歴史がスタートしたクルマ

 350GTのベースとなったのは、1963年のトリノ・ショーでデビューを飾った「350GTV」だが、フェラーリという直接のライバルを意識するあまり、ロードカーとしては扱いにくく仕上がったそれは、社長のフェルッチオ・ランボルギーニにとっては満足のいくモデルではなかった。

 フェルッチオはショーの途中でその展示を中止すると、即座に350GTVとともにサンタアガタ・ボロネーゼの本社に戻り、より快適なGT(グラン・ツーリスモ)に改良するように、ジャンパオロ・ダラーラ、パオロ・スタンツァーニといったエンジニアに指示したのだった。

 結果、契約エンジニアとしてジョット・ヴィッザリーニによって設計された3リッターV型12気筒エンジンは、よりマイルドな特性へとデチューンされ、270psの最高出力をスペックシートに掲げることになった。

 さらに独立懸架方式のサスペンション、4輪パワーディスクブレーキ等々にも改良が施され、ホイールベースも2+1のシートアレンジを実現するため、そしてコーナリング時の挙動をよりスムーズなものにするためにホイールベースが100mmが延長された(出品車のように、2シーターとして製作されたモデルもある)。

 今回出品されたS/N:0114(ボディナンバー:17015、エンジンナンバー:116)は、350GTとしては初期型ともいえる1964年式だが、そのディテールにはさまざまな特徴がある。たとえば二分割された前後バンパーなどはその典型的な例。

 ランボルギーニの記録によれば、1965年1月15日に、このモデルはスイス・チューリッヒのガレージ・フォイテック社に新車で販売された後、1974年にアメリカのオーナーと2年間を過ごし、さらにインディアナ州ブルーミントンのリチャード・リヒター氏によって、43年間所有し続けられたという。

 この40年以上の所有の間には、2017年から2019年にかけてのワークショップによるレストアもおこなわれた。担当したのはバージニア州ノーフォークのオートモーティブ・ファントム・ワークス社で、その内容は搭載されるV型12気筒エンジンを始めとするメカニカルな部分から内外装に至るまで、金額にして当時のレートで約1000万円に迫る非常に大がかりなものだった。

 内装ももちろん完全な仕上がりで、さらにスペシャルメイドのセンターコンソールなど、独自のフィニッシュも見られる。

1963年のトリノ・ショーでデビューを飾った「350GTV」はプロダクションモデルではなかったため、「350GT」が実際に販売されたファーストランボルギーニとなる「350GT」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 RMオークションは、このランボルギーニの歴史のなかでももっとも初期にあるモデルに、55万−80万ユーロ(邦貨換算約7000万−1億200万円)という幅広いエスティメート(予想落札価格)を掲げていたが、実際のリザルトは47万7500ユーロ(邦貨換算約6100万円)というエスティメートを大きく下回るものであった。

 ランボルギーニがポロストリコを立ち上げてからというもの、ランボルギーニのクラシックカーは軒並み価格が上昇していた感があったが、ついに落ち着いてしまったということだろうか。今後のオークションマーケットでの推移に注目したい。