ランボルギーニが1990年に製造した「ディアブロ」。そのレース車両を公道仕様にした限定モデルが「ディアブロGT」です。元メジャーリーガーのホセ・カンセコは、そんなディアブロGTのレプリカをホンダ「NSX」ベースで製作していました。現在、eBayに出品されているそのレプリカの完成度は、秀逸のひとことです。

大金をかけてわざわざレプリカを作った意味は?

 1991年式ホンダ「NSX」をベースにしたランボルギーニ「ディアブロGT」のレプリカが、アメリカのeBayに出品され、2022年4月26日に12万6100ドル(邦貨換算約1625万円)という価格で落札された。高価値が維持されやすいマニュアルトランスミッションということもあって、昨今のNSX相場から見ると“妥当”な価格といえるだろう。ただ、過去のオーナー数は12人と多めで、走行距離は10万4000マイル(約16万7000km)を超えている。

●元メジャーリーガーのホセ・カンセコとは

 ディアブロGTは、レース用車両(GT2カテゴリ:排気量5992cc)を公道仕様にした世界限定80台(最終的には83台生産された)のRWDモデル。前後のトレッドを拡大し、とくに前のトレッドは110mmも拡大したため、オーバーフェンダーを装着することになったというスペシャルモデルだ。日本には、正規輸入こそされなかったが、数台ほど並行輸入されている。

 そんなディアブロGTのレプリカをNSXで作ったのは、なんと元メジャーリーガーのホセ・カンセコであった。ホセは、近鉄バッファローズに在籍したことがあるオジー・カンセコの双子の弟である。生涯獲得年俸4500万ドルともいわれているので、本物のディアブロGTを購入することも容易だろうに……。なぜNSXベースのレプリカを作ることにしたのかはミステリーだ。

 実作業をおこなったのは、映画『スーサイド・スクワッド』に登場したジョーカーが乗る「ヴェイドール」(日産スカイラインクーペベースの車両)を作ったデザイナーだ。そしてディアブロGTのレプリカでは、NSXの外板パーツを取っ払い、装着できるものはランボルギーニ純正パーツを使用、装着できないものは新たに外板パーツをワンオフして製作されている。

「ディアブロ」ではなく「NSX」をベースにした理由は「信頼性」?

 本物のディアブロGTが全長4430mm×全幅2040mm×全高1115mmであるのに対し、NSXは全長4430mm×全幅1810mm×全高1170mm、と実は似たようなサイズだったのは、改めてスペックを比較するまで気づかなかった。

 NSXと比べるとディアブロのほうが圧倒的に大きいというイメージを抱いていたが、どうやらエキゾースト音やエクステリアの存在感によって勝手に誤解していたようだ。

一見、本物の「ディアブロGT」にしか見えない「NSX」ベースのレプリカ(C)eBay

●ほぼ同サイズゆえの見事な仕上がり

 なお、ホイールベースはディアブロGTが2650mmなのに対して、NSXは2530mmである。レプリカのリアホイールアーチ部に若干違和感を覚えるのは、この差が影響しているのだろうか?

 いずれにせよ仕上がりは……、写真を見るかぎり「見事」の一言に尽きる。

 どうやらホセ・カンセコは、長らく所有していたNSXに飽き始め、レプリカ製作を決断したようだ。完成したのが1999年というのを考えると、個人的には中古車相場が今ほど上昇していなかったディアブロを購入して、ディアブロGTを作ったほうが楽だったであろうと思ってしまう。

 現オーナーの手元には、レプリカ製作時の明細の一部が残っているらしく、彼の推測によると20万ドルほどの費用がかかっているそうだ。要はいかにお金がかかっているクルマかアピールしたいようだが、ますますディアブロをベース車にGTのレプリカを作ったほうがはるかに安かったであろう、と考えてしまう。

 現オーナーは、毎日の移動にこのレプリカを用いたそうで、何の問題もなく走るという。そればかりかどこを走っても、周囲からは注目の的になる、とも。

 ホセ・カンセコがNSXをレプリカのベースに選んだのは、NSXならではの“信頼性”が理由なのかもしれない。