フォルクスワーゲンのコンパクトハッチバック「ポロ」がマイナーチェンジ。内外装の高級感をグッと高めてきました。日本でもこれまで約30万台のセールスを記録した輸入コンパクトカーの定番モデル。その人気は最新型でも安泰なのでしょうか?

どことなく「ゴルフ」に近づいたルックス

 VW(フォルクスワーゲン)のコンパクトハッチバック「ポロ」が先ごろマイナーチェンジ。ここ日本にも待望の上陸を果たした。

 ポロはVWの看板モデルである「ゴルフ」の弟分に当たるモデルで、Cセグメントのゴルフよりひとクラス下のBセグメントに属している。日本車でいえば、トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」、日産「ノート」などと同じクラスだ。

 1975年にヨーロッパでデビューしたポロは、これまで全世界で2050万台(派生モデルを含む)を販売。日本でも1996年の本格導入以降、累計約30万台のセールスを記録している人気モデルだ。

 そんなVWのベーシックモデルの最新型を見て、多くの人が「ゴルフっぽくなった?」と感じるのではないだろうか。ルックスの雰囲気はどことなくゴルフに近づき、より見栄えがよくなった。パッと見ただけで、高そうに思える。

 具体的に、どこが変わったのか? まずはフロントマスクだ。フロントバンパー形状が刷新されたことで質感がグッと高まっているが、高級感という視点から見れば、ヘッドライト回りの変更が大きい。

 LEDマトリックスヘッドライト“IQ.LIGHT”の採用により、LEDヘッドライトとデイタイムランニングライトそれぞれのLEDストリップがヘッドライト下縁に沿って縁取られ、印象的な目つきを表現している。加えて、ラジエターグリルを左右に貫き、両サイドのヘッドライトを結ぶライン状のLEDクロスバーを採用。現行ゴルフと同様の演出によって顔つきのプレミアム感が増し“夜の表情”が個性的になった。

 リアスタイルも高級感が増しているが、なによりインパクトが大きいのはリアコンビネーションランプのデザインだ。従来モデルは車体の両サイド部だけで完結していたが、新型のそれは内側へと広がり、リアゲートにまで組み込まれるようになった。

 このようにリアコンビネーションランプが横に広がることで、リアから見たときの安定感が増している。その上、“ダイナミックターンインジケーター”と呼ばれる、いわゆる流れるウインカーも搭載。これも新型ポロの高級感を高める要素となっている。

フォルクスワーゲン新型「ポロ TSI Rライン」

 実はBセグメントのコンパクトカーで、リアゲート部分にリアのコンビネーションランプが組み込まれるクルマは多くない。なぜならその分、コストがアップするからだ。しかし新型ポロは、あえてそこに踏み込んだ。その背景には、「コストアップしても見栄えをよくしたい」というねらいがあったことは明白だ。

 対するインテリアも、質感アップが図られている。たとえばメーターパネルは、従来モデルでは一部のグレードにしか設定されていなかったフル液晶パネルを全グレードに採用。ステアリングも現行ゴルフとおなじ新世代のものへとアップグレードされた。また、一般的なスイッチ式だった空調操作パネルは、タッチセンサーを組み合わせたVWの新世代のものへと進化。先進性が大きく増し、「これがBセグメントなのか?」と驚くほどの見栄えのよさを身につけた。

資料にはないものの乗り心地もしなやかに

 しかし、新型ポロで変わったのは見た目だけじゃない。心臓部となるエンジンが最新タイプへと進化しているのだ。

フォルクスワーゲン新型「ポロ TSI Rライン」

 新型に搭載される排気量999ccの3気筒ターボは、最高出力95ps、最大トルク175Nmと、スペックなどを見る限り従来モデルと変わりないが、実は圧縮比が10.3から11.4へとアップ。また、燃焼効率に優れるため燃費を向上させられる“ミラーサイクル燃焼”を新採用するとともに、ターボチャージャーに低速域からすばやく過給圧が立ち上がる“バリアブルターボジオメトリー機構”を導入するなど、大幅な進化を遂げている。

 実際にドライブしてみると、最新スペックのエンジンにより運転がしやすくなったことを実感できる。その理由は、低回転域でのトルクが増しているからにほかならない。最大トルクの数値自体は従来モデルと同じだが、それが、これまでよりも400回転低い1600回転から発揮されるようになった。そのため、発進直後の速度の伸びがかなり良化している。

 ちなみにこのエンジンは、現行ゴルフに搭載されているものと基本的には同じだが、ポロ用にスペックが若干低められ、ゴルフ用のユニットに備わるマイルドハイブリッド機構もつかない純粋な内燃機関となっている。

 もうひとつ、新型ポロに乗って気づいたのは、乗り心地がしなやかになったこと。フォルクスワーゲン ジャパンに確認したところ「新型の資料にはどこにもサスペンション変更に関する記述はないが、数値に現れない部分で改良が施されているようだ」とのこと。これはインポートカーでしばしば見られる“輸入車あるある”だが、いずれにせよ、乗り心地がよくなっているのだからユーザーにとっては大歓迎だ。

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 このように、マイナーチェンジといいながら、かなり大がかりな変更が加えられている新型ポロは、どんな人に向いているクルマなのだろうか? ひと言でいえば「大きなファミリーカーは必要ない」という層だ。全長4085mm、全幅1750mm、全高1450mm、ホイールベース2550mmというボディサイズの新型ポロは、日常的なシーンにおいても非常に運転しやすい。

 また、前後シートやラゲッジスペースも、過大な期待をしなければ必要にして十分のスペースを確保。なかでも荷室容量は、ゴルフのそれより29リッター少ない351リッターにとどまるか、スーツケースを多く積み込むような状況でなければ困ることはない。

 しかもプライスは、税込257万2000円〜とリーズナブル。見た目の高級感がグッと増した新型ポロは、実用性に優れた手の届きやすい欧州コンパクトハッチバックの定番として、この先も多くの人々に愛されることだろう。

●Volkswagen Polo TSI R-Line
フォルクスワーゲン ポロ TSI Rライン
・車両価格(消費税込):329万9000円
・全長:4085mm
・全幅:1750mm
・全高:1450mm
・ホイールベース:2550mm
・車両重量:1190kg
・エンジン形式:直列3気筒DOHC+ターボ
・排気量:999cc
・駆動方式:FWD
・最高出力:95ps/5000〜5500rpm
・最大トルク:175Nm/1600〜3500rpm
・燃料消費率(WLTC):17.1km/L
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)トレーリングアーム式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ドラム
・タイヤ:(前)215/45R17、(後)215/45R17