いかにもヤンキーという風体の毒山(ぶすやま)ゴン。ギャンブル好きで、仕事が続かず無職だったが、主夫として家事育児に励むことになる。しかし、妻子のためにお金を稼ぎたいという思いから、「電話をかけるだけで月100万円稼げる」という誘いに乗ってしまう。出向いた先にいたのは、読者のほとんどが予想したであろう通り詐欺グループ。



ゴンは「こーいうヤツら(サギ師)が一番嫌ェなんだよ…」と詐欺師相手に大暴れ、警察に詐欺グループもろとも連行されてしまう。動揺する妻の海(マリン)にゴンの母は「ウチのバカ息子と別れた方がいいんじゃない…?」と提案してくる。本作「どちらかの家庭が崩壊する漫画」について作者の横山了一さんをインタビューした。

■夫婦の信頼関係をどこで作り上げていくか?対等であることの難しさ

マリンは義母から離婚を勧められても断っている。この判断について横山さんは「ゴンは基本的に子煩悩なので、貧乏でも信頼感が強かったのかなと思います」と解説。「うちも息子が小さい頃は似たようにお金がない状況でしたが、育児を通して夫婦で信頼感があったので、なんとかここまで続いたのかも…」と笑顔で答えてくれた。

一方、ママ友のユイは「義母と距離を置きたい」と夫のシュウに伝え、それに対してシュウも一度はわかったと答えたが、結局は同居の話を勝手に決めた。シュウにとって、ユイの意見というのはどういう位置付けのものだったのか。横山さんは、「妻の意見は一応聞くけど最終決定権はない」という関係性だと教えてくれた。「同じような家庭は結構多いのではないかと…。この頃のシュウは仕事も上手くいっていて自信に満ちふれていて、折れるということができないんですよね」と話した。

家族とはいってもあくまで他人。お互いの“違い”を認めつつすり合わせができなければバラバラになってしまうもの。どこで折り合いをつけるのか…。その話し合いができる夫婦が長く家族でいられる条件なのかもしれない。



取材協力:横山了一