コロナ禍によって全国の花火大会が中止を余儀なくされた2020年に続き、今年も6月時点でいくつかの花火大会がすでに開催中止を発表している。今夏も夜空に輝く花火を楽しむことは難しいかもしれない。そこで注目したいのが、「プライベート花火」。一般的に”プロポーズのための花火”など、人生の特別な時に依頼するイメージが強いが、近年では企業や団体から”仲間内だけで楽しむための気軽な依頼”も増えているという。

今回は、プライベート花火に力を入れている「株式会社 元祖玉屋」(千葉県八千代市)の中嶋望さんに、その魅力や依頼方法などを聞いてみた。

■プライベート花火は20年以上前から存在していた!?
「株式会社 元祖玉屋」は、1915年に「中嶋煙火店」として創業した老舗。1961年、打ち上げ花火の掛け声「たまや」「かぎや」でおなじみの玉屋の暖簾で経営していた煙火店の閉業にともない、当時取引関係にあった中嶋煙火店がその暖簾を引き継ぐことに。その後、屋号を「元祖玉屋」に変更。古くから地元の夏祭りや花火大会などを担当している。

──プライベート花火には、いつごろから取り組んでいるのですか?

「元祖玉屋に初めてプライベート花火の依頼があったのは、今から20年以上前になります。私が元祖玉屋に勤める前の話なので、詳細は把握していないのですが、間接的に弊社とお付き合いのある方からの問い合わせだったようです。プロポーズのためだったと聞いています。当時はまだ、プライベート花火という言葉もなかったでしょうから、プロポーズ花火としてもおそらく先駆けですね」

──そこから徐々に需要が増えていった、という感じでしょうか。

「最初こそ20年前ですが、それをきっかけに依頼が増えたわけではありません。プライベート花火を弊社でPRをしたり、定期的に依頼をいただくようになったのは、今から10年くらい前のことです。とはいえ、いまだに”個人依頼で花火を打ち上げられる”というと驚かれることがあるので、認知度はまだまだ(笑)。昨年からプライベート花火の依頼数は増えてはいますが、もっと広めていきたいと思っています」

■プロポーズ、記念日のプレゼント、サプライズと目的はいろいろ!
──プライベート花火ではどういった種類の花火を楽しめるのでしょうか。

「いわゆる花火大会で見るような『打ち上げ花火』はもちろん、ご希望の文字を浮かび上がらせる『仕掛け花火』や、『ナイアガラ(滝花火)』なども数メートルから可能です。依頼内容にあわせて、それらを組み合わせることもあります。運動会やお祭り、ゴルフコンペなどの開催を知らせる『信号花火』もご用意していますよ」

──「プライベート花火=個人依頼」と思い込んでいたのですが、企業や団体からの依頼もあるんですね。

「そうですね。イベントが実施できない状況が続いていることもあり、学校関係の方から『子供たちに花火を見せてあげたい』というようなお話もいただいています。その他にも、結婚記念日のプレゼントだったり、企業さまの創立記念式典のための花火や社員の方々へのサプライズだったり。年代もシチュエーションもさまざまです。直近でいうと、今年はすでに2月と5月にプロポーズ花火を担当させていただきました」

■花火師が考える、プライベート花火の魅力とは
──これまで受注されてきたなかで最も印象的だった依頼はありますか?

「高校時代からお付き合いされていた奥さまへのプロポーズのために、お二人の思い出の場所である出身高校のグラウンドで演出させていただいたプライベート花火ですね。個人的にも、依頼者が高校の先輩ということもあり、感慨深いものがありました」

「プロポーズの場合は、ご依頼者さまのために協力していただける友人や先輩・後輩の方々が多くいらっしゃいます。そういった信頼関係や、プロポーズ成功後のご依頼者さまやご協力者さまの素敵な笑顔から、幸せや感動を分けてもらっています」

──最後に、「プライベート花火の魅力」とは何だと思いますか?

「自分のために花火が上がることって、おそらく滅多にないことですよね。それを体験できる、特別な思い出ができる、というのは大きいのではないでしょうか。これは友人から『プロポーズ花火』の依頼を受けたときの話なのですが、奥さまのご両親ともお話できる機会があったんです。そのときに、『娘のために花火を上げてくれることがうれしい』とおっしゃっていたのが印象に残っています」

「花火を見た方から、『元気をもらえた』『勇気をもらえた』と言っていただくことがあります。そういった声を聞くと、花火には人の心を動かす力があるんだなと思えるのです。それが"自分のための花火"となれば、本人だけでなく、周りの人にも特別なものになるのかなと。ご依頼者さまの大切な思いが込められた時間をご一緒できるので、花火師としてもやりがいを感じています」

■申込み方法は意外と簡単?
「花火師に発注」と聞くとなんだか敷居が高く感じるかもしれないが、申込方法は案外簡単だ。例えば、今回取材に応じていただいた「元祖玉屋」なら、ホームページ上で発数と金額の目安などを紹介しており、申込みも同ページ内の問い合わせフォームで受け付けている。

細かな内容については打ち上げ地域や花火業者によって異なるが、花火の目的や予算などを伝えればそれに応じたプランを提案してくれる場合もあるので、気軽に相談してみよう。

多くの花火大会が中止に追い込まれてしまっている今だからこそ、”自分たちだけの花火大会”の需要に期待が高まる!