フォロワーから寄せられた体験をもとに、リアル過ぎるホラー作品で人気を集める漫画家のしろやぎ秋吾さん(@siroyagishugo)。以前、ウォーカープラスでその作品を紹介したところ、「絵が怖い…」「リアルでぞわっとする」など、読者から大反響を受けた。

今回は、しろやぎさん作品の中でホラーと同じく人気を集める「10代の話」シリーズをご紹介。フォロワーから投稿された、思わず胸が熱くなる淡くて切ない青春時代のエピソードを漫画化したものだ。

読めばあの時代をふと思い出す…そんな作品を5つセレクトし、しろやぎさんの解説と共にお届け!

■ずっと打ち明けられなかったこと。「10代の話 その4」
日本でも少しずつ理解が深まってきたといわれる「LGBTQ+」。この投稿者も子供の頃から自身の性に悩み、親や友達にもその思いひた隠しにしてきたという。しろやぎさんはこの話題を作品化するにあたり、いつもよりも細部まで配慮しながら描いたそう。

「いつも漫画を描く時は自分の経験を思い出しながら作るのですが、この話は調べないとわからないことが多くて。このセリフで合っているか、この表情で合っているのか、ずっと不安でした。公開した時、主人公と同じ悩みを持っている人に共感してもらえたのがうれしかったです」

■いけないとわかっていても。「10代の話 その7」
読者からも賛否が巻き起こったという作品。男子生徒が国語の女性教師に思いを寄せるようになり、いつしか2人は交際するように。10代の男の子が体験した社会の厳しさと、一途な思いが表現されている。

「最初はこの先生をもっと悪女っぽく描こうと思ったけど、10代のこの子が見た彼女は、きっとそうではなかったのだろうなと。投稿した時はやはりかなり批判の声が多くて、別の媒体で担当してくださった記者の方にも『この内容は記事にできないっす』と言われましたが…。個人的には、こんな主人公の話を描けたことは満足です」

■聴こえなくなって見えたものとは?「10代の話 その9」
中学生の頃から徐々に耳が聞こえなくなってきた少女。周囲の反応が怖くなり、ギャルの格好をして武装をしたり友人たちと騒いだりする日々の中で、女性の聴力はどんどん失われていく。そんな時、女性はある教師との出会いで人生が変わり始める。

「美術部のスケッチブックってやたら落書きだらけで、その中で普通に会話をしていて『そこにこの主人公がいたらこんな感じかな』と、いろいろ思い出しながら描きました。イヤーマフの男の子もいたなあ。実際にやってみて、こういう肌で感じたがるやつ」

■いじめの経験が、人生を変えた。「10代の話 その11」
周囲の環境に流されて、知らず知らずのうちに「いじめ」に加担するようになった女の子が主人公。悪いことをしていると感じながらも、大人へと成長する中でその経験が人生を変える大きなきっかけとなっていく。いじめ加害者の心境をリアルに描ききった作品。

「いじめの加害者側の話は、だいたい批判されます。投稿者の方もそれを覚悟で体験談を送ってくれたと思うので漫画にしました。面倒ごとに巻き込まれたくない、自分だけは安全な位置にいたい。自分だったら、流されずにいられるか自信がありません」

■幕を閉じるための行動が生きる理由に。「10代の話 その14」
家庭環境が理由で、人生を終えることだけを心の支えにしていた少女。その思いを実現させる準備としてアルバイトを始めたところ、仕事を通して人の愛情に触れていく。少女が「生きたい」と感じるようになった表情に、思わず涙があふれ出す。

「冬の深夜、車数も少ない静かな道を自転車で走っていたら、冷たい空気が鼻に入ってきてツーンとして涙が出そうになって。周りのなんでもないような景色がすごく愛おしく感じるみたいな感覚。主人公がバイトメンバーに出会えてよかったって、心から思います」

もがきながらも懸命に生きようとする姿に、胸を突き動かされる作品の数々。今後も、切なくて温かい気持ちになる作品を期待したい。

取材・文=橋本未来