気軽にイタリアンを楽しむことができる店「サイゼリヤ」。さまざまなイタリアの地域料理が食べられるが、エスカルゴなどメニューを見て「おっ」と思う料理もある。

なかでもここ数年話題のメニューが「アロスティチーニ」(400円)。羊肉の串焼きにスパイスを振りかけて食べる、イタリア中部・アブルッツォ州の名物料理だ。

このメニューの特徴は、羊肉に馴染みがない日本人でも食べやすいようにクセの強くない子羊の肉(ラム)を使っているところ。そしてこの料理に欠かせないのが、横に添えられた「やみつきスパイス」。アロスティチーニの販売当初、SNSでやみつきスパイスの”やみつき具合”が話題に。今や「ヤバい粉」「魔法の粉」など、さまざまなあだ名がついている。

まだ一度もアロスティチーニもやみつきスパイスも味わったことがなかった筆者は、「これはぜひ食さねば!」とウォーカープラス編集部員とともにサイゼリヤへ。さらにやみつきスパイスは300円で購入もできると聞いたため、実際に購入し、家でいろんな料理に振りかけて「どんな料理でも“やみつき”になるのか」を検証してみることに。

そして「なぜこんなにやみつきになってしまうのか」という疑問を解決すべく、株式会社サイゼリヤ 総務部広報の儀間智さんにインタビュー。世間をとりこにするやみつきスパイスの開発秘話を聞いた。

■まずは「アロスティチーニ」を食べてみた!
そもそも羊肉があまり得意ではなかった筆者だが、その理由はやっぱり「クセが強い」からである。羊肉を食べたことがある人ならわかると思うが、牛肉や豚肉とは異なる独特な匂いと味がある。この“クセ”と言われるものの正体は「グラス臭」と呼ばれるもので、羊たちが草を消化吸収する過程で出てくるものなんだとか。

これまで羊肉のクセが原因で口に運ぶのを拒んでいた筆者だが、「今回こそは克服したい!」と思い、いざサイゼリヤへ。編集部員と一緒に席につき、早速アロスティチーニを注文。しばらくして出てきた皿の上には、羊の串焼き2本にお目当ての「やみつきスパイス」が添えられていた。

スパイスをひとつまみ振りかけて口に運ぶと、スパイスの香りが口いっぱいに広がって、羊肉のクセと絡まりおいしさが倍増。そもそものクセも少なく感じたのだが、それ以上にスパイスと肉の旨味の相性が抜群で、口に運ぶのが止められない。思わず「おいしい!」と叫んでしまうほどに感動。もともと羊肉が大好きという編集部員は筆者の感動を気にも留めず、「このスパイスやばくない?」と言いながら次々に口に運んでいた。

結局、あまりのおいしさに名前通り「やみつき」になってしまった2人。「してやられた」と感じながらも、羊肉とスパイスのコラボレーションに完敗し、おかわりを注文。ただ、肉単体で食べるとやはり少なからずクセを感じてしまうので、気になる人はスパイスをたっぷりかけて食べるのがおすすめだ。

■「やみつきスパイス」は本当に「ヤバい粉」だった
アロスティチーニとやみつきスパイスをお腹いっぱい味わった編集部員と筆者は、「これって他の料理にも合うのでは?」と思い、早速試してみることに。会計時にレジでやみつきスパイスを購入し、それぞれ好きな料理にかけて「どんな料理に合うか」に挑戦してみた。

今回編集部員がチャレンジしたのは、たこ焼き、トースト、トマトと柿のサラダ、そしてチョコレート。筆者は鶏肉、寿司、柏餅、そしてバニラアイスクリームだ。

結果、たこ焼きやサラダをはじめとしたおかずやおつまみ系のメニューにはぴったり!特に筆者が試した鶏肉は、やみつきスパイスに1日つけ置きしたものを焼いたため、スパイスが馴染んで焼いている最中の香りからたまらない。もちろんビールのお供にも最適。

しかし生魚を使用する寿司との相性は微妙。後日、焼き魚にかけて食べたらおいしかったので、生ものより火を通したもののほうが相性が良いということも判明した。ただ、編集部員いわく「生野菜には全然OK!むしろドレッシングみたいに使えば、野菜をもりもり食べられちゃうかも」とのこと。

そして意外にも相性が良かったのがチョコレート。16世紀のヨーロッパではカカオと砂糖と香辛料を使った「ショコラトル」という飲み物が飲まれていたそうで、それを知っていた編集部員は「たぶんおいしいと思うよ」と言いながら挑戦。やはりおいしかったそうだが、「かけすぎるとチョコレートのほうが負けちゃうから、負けない程度に少しずつかけるのがおすすめ」と話す。

では筆者は和菓子にもかけてみようと、柏餅にスパイスをパラパラ。控えめなあんこの甘さとスパイスの辛味が合わさり、意外とイケる。やはり甘味と辛味の相性は良いようだ。

「いろんなものに挑戦しましたが、どれもとってもおいしかったです!特にチョコレートが私のお気に入りでした。ビールやホットワインなどの飲み物にもかけてみたいですね。でもとにかく香りがよくて味も濃いので、逆にスパイスをアテに飲んでやろうとも考え中です」と、もともと酒飲みの編集部員はすでにやみつき状態。

食塩やガーリック、ハーブミックス、パプリカ、クミンなどがブレンドされたこのスパイス。小さめの袋に入っていてチャックもついているため少量から使うことができ、キャンプやバーベキューなどに持って行くのにも最適。だいたい何にかけても味がハッキリするので、自炊デビューしたばかりの人にもおすすめしたい。料理の可能性が広がるスパイスだ。

ちなみに、甘いものもいけると信じて試したバニラアイスクリームだけはおいしくなく、バニラとガーリックの味が口の中でぶつかり合ってしまい、どちらも主張が激しいために舌が混乱してしまう結果に。残念ながらバニラや生クリームなど、こってり甘いものとは相性が良くないのかもしれない。最後まで食べ進めても、結局「うーん」と唸る結果になった。

■担当者に聞く!アロスティチーニのおいしさの秘密
アロスティチーニは2019年の発売当初から大人気で、材料不足のため販売が一時休止となってしまったほどだ。羊肉はそのクセの強さから人を選んでしまうため、お店側も当初はそこまで人気が出るとは考えていなかったとか。

しかし販売を始めるや否や、羊肉とやみつきスパイスの相性が文字どおり”やみつき”になると評判になり、今では定番メニューとなった。

「一見、日本の焼き鳥みたいな串焼き料理ですが、牧羊が盛んなイタリア・アブルッツォならではの羊肉を使った料理です。現地ではパーティーやバーベキューなどの集まりで『これでもか!』というくらいたくさん焼いてみんなに振る舞われます。当店では、羊独特の匂いが控えめで肉質が柔らかいラムを使用していますので、羊肉が初めての方でも食べやすく風味を味わうことができます」と儀間さん。

イタリアでは伝統的に、成長した羊の肉を使うのが一般的。子羊を使うのは日本人の味覚に合わせた工夫の1つだ。また、日本では羊肉が食べられるお店が少ないこともあり、サイゼリヤでこのメニューが生まれてからは羊肉好きがこぞって来店するようになったとか。

そして人気の理由のもう1つがやみつきスパイス。このスパイスはサイゼリヤがアロスティチーニ専用に開発した特製スパイスで、ラム肉との相性が良くなるよう試行錯誤の末に出来上がったものだ。

「ラムの風味を引き立てるように、さまざまなスパイスとハーブをミックスしています。風味が若干強いラムを、より多くのお客様が食べやすくなるように開発しました。辛味を抑えてあるので、辛いものが苦手な方やお子様でも楽しむことができますよ」

アロスティチーニが大人気となったのは、「羊肉を気軽に食べられる」という希少性だけでなく、このスパイスとの相性がクセになったことも大きな理由。誰でも訪れやすいサイゼリヤは、羊肉を誰でも食べやすいようにと工夫に工夫を重ねていたのである。

■やみつきスパイスは「どこでも使える万能調味料」
アロスティチーニが販売されて以来、店舗で販売している持ち帰り用のやみつきスパイスも大好評だそうだ。サイゼリヤにはいくつかテイクアウト商品があり、「辛味チキン」(1.5キロ/2200円)に次ぐ販売数という人気ぶり。実際に家で料理にかける人も増え、なかにはSNSでやみつきスパイスを使ったオリジナルのレシピを公開している人もいるという。

「肉料理だけでなく、パスタやピザ、野菜料理やポテトなどとも相性が良い、万能調味料です。また、店舗で販売しているテイクアウト商品の『骨付きももの辛味チキン』(2ピース入り・1100円)に振りかけると、チキンの味付けとスパイスの風味が合わさり、食欲をそそる香りがたまらないですよ!お子様から大人の方までみんな大好きな味わいになり、おすすめです」

また、サイゼリヤのメニューの中にもやみつきスパイスをかけてほしい料理があるそう。儀間さんは「肉料理に合うので、『若鶏のディアボラ風』は間違いないおいしさ。その他『フリウリ風フリコ』や『カリっとポテト』にかければワインのお供に抜群です!」と、おすすめメニューを教えてくれた。

やみつきスパイスは、店内で食べる用の単品(50円)も注文が可能。さまざまな料理に振りかけ、ワイン片手に今までとひと味違うサイゼリヤを存分に楽しんでみよう。

■感染対策で見えたサイゼリヤの本気
2020年以降のコロナ禍で打撃を受けたのは、サイゼリヤも例外ではない。ソーシャルディスタンスなど飲食店は感染対策に追われ続けているが、サイゼリヤはいち早く伝票での注文を取り入れたりと、飲食業界でもトップクラスのスピードで感染対策を実施した。

「注文を紙に書いていただくシステムを導入し、価格の末尾を『00円』『50円』に揃え、個別会計件数の削減やレジでの受け渡し回数を大幅に削減できるようにしました。また、全店にキャッシュレス決済も導入しました」

注文だけでなくお金の受け渡しすらも改善し、徹底的に感染対策をおこなっている。また、サイゼリヤは飛沫感染対策にも取り組んでおり、食事をしながらおしゃべりが楽しめるナフキン「しゃべれるくん」を開発。こんな状況でも食事を楽しんでほしいという、サイゼリヤの思いが詰まっている。

「普段は飛沫飛散防止のためにマスクを着用していると思いますが、食事中はマスクを外します。飛沫が飛散するときは、ほとんどが食べている間の会話のときですので、その時にナフキン(しゃべれるくん)で口を覆うことで飛沫の飛散を少しでも防止できるようにしました。『しゃべれるくん1号』は自分のマスクにナフキンをぶら下げる形でしたが、食べづらいということで食事中の会話の時だけ口を覆う扇子タイプで提案させていただきました」

このような徹底的な感染対策ができるのも、すべては「多くのお客様に食事を楽しんでほしい」というサイゼリヤの信念があってこそ。「これからも安心できる環境作りに努めてまいります」と儀間さん。

「ヤバい粉」と呼ばれるやみつきスパイスが大ヒットした背景には、「クセの強い羊肉をおいしく味わってほしい」という、サイゼリヤの強い思いと細やかな工夫があった。ぜひ一度、こだわり抜かれたアロスティチーニを味わってみてほしい。そして一度口にすれば夢中になるやみつきスパイスが、多くの人にとって日々の食事になくてはならないものとなることに期待したい。

取材・文=福井求

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