「〜人生、山あり谷あり〜」のコピーで始まるテレビCMでお馴染みの、株式会社タカラトミーから発売されているボードゲーム「人生ゲーム」。ゲーム内には時代を反映したワードが数多く登場し、子供はもちろん大人でも十分に楽しめる要素が詰まっている。

今回は「すごい人生ゲームがある」という噂を聞きつけ、2021年7月に発売した「大逆転人生ゲーム」を編集担当・三浦と、筆者・西脇、そしてライター・福井の3人でプレイしてみることに。小さい頃にプレイして以来、ボードゲームにほとんど触れてこなかった3人は、久々のプレイにワクワクが止まらない。

「大逆転人生ゲーム」は、通常盤とは違い盤面に“4つの歯車”が配置されており、特定のマスに止まった際にその歯車が回転。すると歩んでいた人生がガラリと変わり、誰かが住んでいる家を自分のものにできたり、誰か1人と全ての財産を入れ替えることができるなど、文字通り「大逆転」要素が多いのが特徴だ。

そんなスリルが新たに追加されているとは知らず、あくまでほのぼのと懐かしみながら進行していくつもりだった3人。徐々に私利私欲に溺れて醜態を晒していくことになるのを、この時はまだ知る由もなかった。

■大金を目の前に、興奮気味でゲームスタート!
まず、人生ゲームを始めるにあたり1番最初にすることは「銀行役」の決定。ゲーム中は常に高額の紙幣が飛び交い、最後は最もお金を持っている人が優勝するルールであるため、お金の管理は几帳面なタイプが担うのが理想だ。ちなみにルールブックには、「ルーレットを回して決める」と書かれている。

しかしそんな重要な役も「元証券マンやし銀行役な!」という三浦のひと言により、筆者が問答無用で銀行役に。「年上だからリーダー」などと役割を決めていくのは“子供同士では”あるあるだ。こうしてすっかり初心に戻っている3人は、ワイワイとコミュニケーションを取りながらゲームを進行。

最初に配られる5000ドルという大金を前に、「めっちゃもらえるやん!現物もほしい!」とさっそく欲望を丸出しにする3人。たとえゲームだとしても、お金に対する熱い思いは現実と変わらない。

ゲームを始めるとすぐに、職に就くか就かないかのマスに。「ゲームだからこそぶっ飛んでみたい。しかしフリーターは給料が不安定…ゲームとはいえ簡単に億万長者にはなれないし…」と葛藤を抱くも、筆者は結局「フリーター」を選択。「夢は億万長者で週末はもっぱら宝くじを購入するのが習慣」という個人的なキャラクター設定をつけ、銀行役のイメージからはおおよそかけ離れている道に進むことになった。

対して、ギャンブラーになりたくない堅実な福井は「会社員」になることに。現実では同じライターである筆者とは対照的にコツコツ生きることを誓うが、その決意とは裏腹に波瀾万丈な運命を辿ることとなるのを、この時はまだ知らない。そして三浦は「伝説の料理家」に。「伝説やのに給料安くない?」と文句を垂れていた。

■ドキドキ?コツコツ?性格が出るコース選択
だんだんゲームに慣れてきたところで、筆者はさっそく「大逆転」の洗礼を受ける。「時を戻そう」のマスに止まった筆者はまさかの振り出しへ!だがもともとフリーターのため、あまりダメージを受けず第二の人生を楽しむことに。ここから「天気ギア」「職業ギア」を回すと人生の歯車が変動するという、これまでにない大逆転要素にこれから振り回されていくことになる。

転生後の筆者は「画家」に。給料はなんと4万ドルで、一気に高給取りに転身!つい「よっしゃ!日本円で400〜500万円じゃ〜!」と豹変したように叫んでしまった。ゲームとはいえ、やはりお金は人の性格を変えるようだ。

そして結婚ができるコマに止まり、波瀾万丈な人生を歩めるドキドキコースと堅実な人生を歩めるコツコツコースの選択になったが、迷わずドキドキコースへ。「高給取りのギャンブラー」の人生を歩むことにした。このように、数名で楽しむ場合はそれぞれキャラクターを設けながら楽しむのもおすすめだ。

結婚後はただ1人コツコツコースに進む福井だったが、直後に「会社員」から「政治家」になり、なんと副業まで選べるマスに止まる。選んだ副業は「動画クリエイター」。令和ならではの職業も選べるのが最新と言える。大金持ちになった福井は、「世の中これが全てなんだよ!」と稼いだ札束で筆者の頬を叩く始末。大金を手にして本性を露わにしていく福井を見て、さっきまで自分もこんなふうだったのかと恐怖すら感じた。福井はこの後、3人のなかで1番の子だくさんにもなり「子供は全員私立に通わせるんや!」と妄想子育てを始めていた。

現実では“アラサー独身OL”を名乗る三浦も、ついに結婚マスにストップ。コース選択の際は「結婚してもドキドキしたいし、結婚が安定とはかぎらないから…」とやたらリアルなコメントを残し、ドキドキコースへ。その矢先、コマである車が勢い余って転倒し、旦那を車外へ振りおろしてしまう“事故”が発生。結婚できたことが相当うれしかったらしい。現実とゲームが絡み合う会話で盛り上がるのも、大人になってからプレイする醍醐味と言える。

■最終局面でも「大逆転」が発生!これぞ人生!
ゲームは佳境に突入し、3人は真剣モードに。株で大損したり、事故に遭って自動車保険に助けられたり、一文なしになって借金を重ねてしまったりして一喜一憂する姿は、まるで本当に自分の人生をかけて挑んでるかのようだ。「ゲームでよかった」と心から感じている。

そしてゴールに近づくにつれて、ほかのプレイヤーの借金を全額肩代わりする「恩返し!」マスや、プレイヤー同士の財産を全て交換可能な「大どんでん返し!」といった、大逆転要素のあるマスが多くなっていく。まさに一発逆転を狙える千載一遇のチャンスであり、このゲームならではの仕組みだ。

後半、食べ歩き好きの旦那を持ってしまったことで借金まみれになり、約束手形の量だけ増えていく三浦は、たとえ誰かが住んでいても好きな家にタダで住むことができる「タダで住めマス」のマスに止まることに成功。政治家・福井の豪邸を強奪し、一瞬で勝ち組に大逆転!しかしその直後、家を失う「アドレスホッパー」マスに止まった三浦は、また一瞬で家なき夫婦に逆戻り。人生、一筋縄ではいかないことを思い知らされた。

もちろん、三浦が家を失ったとしても福井の元に豪邸が戻るわけではない。「どけ!出て行け!」と、興奮気味の三浦によって投げ捨てられた無惨な福井家の旗。人生の残酷さを感じながら、さらにその後お宝まで奪われる始末。「これはゲームや…うん…」と必死に言い聞かせる福井の姿にはどこか哀愁が漂っていたが、政治家と動画クリエイターで荒稼ぎをしていたこともあり、手元にはまだまだ大量の札束が。家はなくとも勝ち組だったことに変わりはなかった。

一度は悲劇に見舞われたものの、ゲーム開始時から1人絶好調の福井は、なんと1番最初にゴールイン。浮き沈みも大逆転もほとんどなく勝ち抜けてしまったため、ある意味1番おもしろくない人生になってしまった。しかし、現実世界ならうらやましい人生だ。

一方で、大逆転マス「大どんでん返し」に止まった筆者。職業やお金、株券などを1番成功しているプレーヤーと全て交換できる本物の大逆転が可能なマスだが、成功者の福井はすでにゴール済み。

ボロボロの人生を歩む三浦しか相手がいない。でもよくマスを見ると、「交換することが『できる』」と記載されている。現実で言葉を扱う仕事をしている2人は、「『できる』ってことは『しろ』ってことじゃないよね?ただの選択肢やもんね?」と、自分たちの解釈で交換しないことに。なんとも横暴なように思えるが、こうしてローカルルールが作られていくのかもしれない。

何はともあれ、3人とも無事ゴール。片付けの途中で銀行役の筆者が5万ドル紙幣があることに気づくドジっぷりを発揮するなど、最後の最後まで笑いが絶えなかった。ゲームに夢中になるあまり、銀行役が疎かになってしまっていたのはここだけの話。

■大人にこそ遊んでほしい「大逆転人生ゲーム」
顔を合わせて話す機会が少なくなっていたここ数年だったが、久しぶりにボードゲームという対面で楽しむゲームができて、なんともいい時間を過ごすことができた。オンラインゲームが蔓延るなか、これだけ顔を合わせてコミュニケーションが取れるゲームも少ないのではないだろうか。みんなで泣き笑い、そして大人だからこそ熱中してしまう楽しさがこのゲームには詰まっている。

まだ「大逆転人生ゲーム」をプレイしたことがないのであれば、ぜひ一度試してみてほしい。少年少女時代の懐かしい記憶だけではなく、「生命保険」「約束手形」「株券」など大人になってから仕組みがわかるルールも多いため、さらに奥深く楽しめること間違いなしだ。今回プレイして思ったのは、「大人になってからプレイしたほうが楽しい」ということだった。

そろそろおうち時間のネタも切れてきた頃。ぜひ家族や友達と人生の大逆転を味わってみて!

取材・文=西脇章太