1881年にフィンランドで誕生した「イッタラ」。シンプルで実用的なデザインは日本でも多くのファンを持ち、ライフスタイルを彩るアイテムとして愛用され続けている。そんなイッタラの140年におよぶ軌跡を450点以上の作品を通して紹介する「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」が、2022年11月10日(木)まで、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されている。

■生活に溶け込む美しさと機能性を併せ持つプロダクト
「イッタラ」はフィンランドを代表するライフスタイルブランド。その歴史は1881年、フィンランド南部にあるイッタラ村から始まった。ここに設立したガラス工場は、アルヴァ・アアルトやカイ・フランクといった、建築家やデザイナーとともに発展。彼らの作品は今なお、「イッタラ」の定番プロダクトとして、世界中で愛され続けている。

今回の展覧会では、「イッタラ」をひとつのブランドとしての存在にとどめず、近代社会の発展をも反映しつつ、フィンランドデザインの象徴となった「イッタラ」の歩みにアプローチ。140年を超える歴史の中で、「イッタラ」でどのようなデザイナーが活躍してきたのか、どのようなプロダクトが生み出されてきたのかを450点以上の作品を通して紹介している。

今やフィンランドのみならず世界中で支持されている「イッタラ」。フィンランドの家庭に溶け込んでいる「イッタラ」の製品は、長い間愛されてきたデザインが多い。数十年も昔に作られたデザインが今なお、高い支持を受けているのだ。その理由はシンプルで飽きのこないデザイン性と機能性の高さといえる。装飾品ではなく日常の生活に寄り添ったデザインだから、フィンランドはもとより世界中で支持され、日本でも多くの家庭で使われている。

日本初となる大規模巡回展ということもあり、約1万2000点にもおよぶ「フィンランド・デザイン・ミュージアム」のイッタラコレクションと、「イッタラ」のアーカイブからの中から貴重な作品を選りすぐって展示。長い歴史の中、さまざまな工場やメーカー企業の合併や統合を経て、ガラスだけでなく陶磁器やより広いインテリアプロダクトの製造を行う企業と統合しながら、「イッタラ」のデザインは技術、素材、コンセプトの点で常に可能性を広げていった。今回の展示では2021年に140年を迎えた「イッタラ」の歩みを俯瞰する。

■フィンランドを代表するデザイナーたちが活躍
「イッタラ」では多くのデザイナーが活躍。本展覧会では「イッタラ」に貢献した多くのデザイナーのうち、代表的な8人に焦点を当てている。まずは建築家であり、家具やガラスオブジェクトのデザイナーとしても知られるアルヴァ・アアルト。

フィンランドの自然を思わせるフォルムの「アアルト ベース」は「イッタラ」を代表する作品となっている。

日本のデザイン界にも大きな影響を与えたカイ・フランク。重ねて収納できる「カルティオ」グラスや、シンプルで使いやすく、日本でも愛用者が多い陶器の「ティーマ」シリーズなど、実用と美を融合したテーブルウェアのデザインを確立した。フィンランドデザインを世界に知らしめたとされる。

亡くなるまで「イッタラ」に留まって活躍したタピオ・ヴィルカラは、40年にわたり400点以上の作品をデザイン。フィンランドのラップランド地方で氷が溶ける様子からインスピレーションを得た「ウルティマ・ツーレ」シリーズなど、自然をモチーフに最新のガラス制作の技術を巧みに取り入れるスタイルで知られる。「ウルティマ・ツーレ」シリーズは、フィンエアーのビジネスクラスでも使われている。

フィンランドのデザイン界で大きな影響力を持ったデザイナーのティモ・サルパネヴァは、彫刻家であり、教育者でもあった。「イッタラ」のシンボルでもある「i」のロゴをデザインしたことでも知られる。ガラスのほかにもテキスタイルや木材、磁器や金属も扱っていた。

そして2019年に他界したオイバ・トイッカ。フィンランドのガラスアートの発展に大きく貢献したデザイナーで、「バード バイ トイッカ」シリーズが有名。ユニークでカラフルな鳥たちはすべてハンドメイドで、世界中にコレクターがいる。日本でも表参道の旗艦店のオープン時に限定デザインが販売されるなど、高い人気を博している。

■13の視点から「イッタラ」の芸術を読み解く
今回の展覧会では、専門家による研究成果をもとに、フィンランド・デザイン・ミュージアムが提案する13の視点から「イッタラ」の芸術を読み解くことを試みる。素材としてのガラス/職人の技/戦後フィンランドの外交とデザイン/リサイクルとサステイナビリティーなど、それぞれの視点から写真や実際の作品を展示。さまざまな視点から「イッタラ」を眺めることができる。

また、「イッタラ」と日本の関係についても触れている。1950〜60年代、カイ・フランクが度々来日し、日本の工芸やデザインに触発された作品を残した。近年は日本のブランドである「イッセイ ミヤケ」や「ミナ ペルホネン」、建築家の隈研吾氏と行われた仕事を通して、「イッタラ」と日本の新たな交流を紹介する。

「イッタラ」の歴史からデザイナー、哲学などを深く知ることができる今回の展覧会では、俳優の小関裕太氏がナビゲーターとして音声ガイドを務める。今回の展覧会で初めて見る作品も多いという人はもちろん、「イッタラ」をよく知る人も音声ガイドとともに会場を回るとより理解が深まるはずだ。

そして、ミュージアムショップには、より深く「イッタラ」やフィンランド文化を読み解くために貴重な資料や豊富な作品図版が掲載された展覧会図録(3000円)をはじめ、展覧会限定アイテムの「アアルト ベース クリア1937」(95ミリ 1万3200円、120ミリ 1万8700円)や、Tシャツ(3800〜4800円 )、トートバッグ(5500円)、ノート(1100円)などを販売。特設ショップは会場内にあるので、展覧会の観賞後に立ち寄ってみよう。

また、会期中、カフェ「ドゥ マゴ パリ」とロビーラウンジで、北欧にちなんだ期間限定メニューを用意。コラボメニューはイッタラの食器を使って提供される。さらにBunkamura 1階にある「フラワーショップ エルベ・シャトラン」では「アアルト ベース クリア1937」を使ったスペシャルディスプレイを実施。展覧会の前後にぜひチェックしてみて。

長い歴史を持つ「イッタラ」のデザイン。なぜこれほどまでに長く、世界中の人を惹きつけ、今なお、ライフスタイルに欠かせないアイテムになっているのか、展覧会をじっくり観賞しながら思いをはせてみてはいかがだろうか。

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