全身14カ所が可動する、キンケシ(キン肉マン消しゴム)の最新モデル「キンケシフルアクションスペシャル」や、ガシャポン自販機のペーパークラフトを制作するなど、ガシャポンの45周年に併せて、さまざまなコンテンツの展開に取り組んでいるバンダイ ベンダー事業部。こちらの部署でさまざまな商品の開発を手掛ける松原大典氏(企画・開発第一チーム マネージャー)と、瀬谷朋子氏(グローバルマーケティングチーム アシスタントマネージャー)に、各コンテンツの開発の経緯や、カプセルトイ市場の盛り上がりについて話をうかがった。

■付属のパーツにもこだわった!全身フル可動のキンケシ新モデル

――このたびリリースされる「キンケシフルアクションスペシャル」について。開発時に苦労された点を教えてください。

【松原】キンケシに関しては、長年、開発に携わってもらっているパートナー企業がありまして。そちらで培われたノウハウを活かす形で製造に取り組んでもらえたので、非常にやりやすかったですね。可動域もしっかり計算して、ガシャポンで売れる価格に落とし込んで商品化するのは、本来なら大変なことですが、今回はこういった経緯もあり、スムーズに開発を進めることができました。これも、長年にわたって築いてきた“パートナー企業との協力体制”があればこそ…ですので、あらためてキンケシという商品の歴史に感じ入っています。

――フル稼働ということで、とくにこだわったポイントはありますか?

【松原】“キン肉バスター”や“キン肉ドライバー”など、各超人のフィニッシュホールドは忠実に再現したかったので、商品ラインナップは「必殺技が映えるキャラクター」という視点から選定させていただきました。

――現在、キンケシは複数のバージョンのモデルが展開していますが、「フルアクションスペシャル」ならではの楽しみ方を挙げるとしたら、どういった点になりますか?

【松原】従来のキンケシですと“集めて飾る”ところまでで、その先の楽しみとなるとなかなか提示しにくかったのですが、「フルアクションスペシャル」の場合、それぞれの技や名シーンを再現できるようになったのが大きいですね。自分だけのストーリーを考えて、写真や動画に撮ってSNSに投稿するなど、これまでとは異なる形でキンケシを楽しんでいただけるのでないかと期待しています。

――こちらのシリーズの今後の展望を教えてください。

【松原】カプセルトイの業界は、シリーズを続けていくのがなかなか大変でして…。どんなに力を入れても、販売がうまくいかないと中止にせざるを得ないんです。まずは人気を維持して、できるだけシリーズを継続させる…ということを意識して、商品開発を進めていきます。まさに“毎回が勝負”という気持ちですね。

――常に最強のラインナップで展開していくわけですね。

【松原】とはいえ毎回、同じ超人ばかりだとおもしろくないので、そこはいろいろと考えさせてもらっています。たとえば「フルアクションスペシャル」の場合、各キンケシには付け替え可能なエクストラパーツを同梱しています。

――具体的にいいますと?

【松原】悪魔将軍ならゴールドマンのマスク、ロビンマスクならアノアロの杖…といった形で、商品に奥行きを持たせる作り方を意識していて。今後も、エクストラパーツには“おもしろ味があること”を重視しながら、第2弾、第3弾を展開していきたく考えています。

■職人の技が随所に光る!ガシャポン自販機のペーパークラフト

――2022年10月に発売された「小学8年生」(12・1月号)に、初代ガシャポン自販機のペーパークラフトが特別付録として同梱されていましたが、非常にクオリティが高いですね。こちらを制作するうえで大変だった点はありますか?

【瀬谷】今年はガシャポン45周年ということで、さまざまな記念プロジェクトを展開していて。そのなかの一企画として小学館さんにご興味を持っていただき、実現に至ったものなんですけど、100%完璧に再現するのは難しく、各部品の比率や、足の角度に微調整を加えるなど、若干アレンジを加える形で再現しました。細かいところを見ると、実機と異なる部分はちらほらあるのですが、ご購入いただいた皆様からは好意的なコメントをたくさんいただいています。

――開発そのものはスムーズに進められたのでしょうか?

【瀬谷】長年にわたり、小学館でペーパークラフト付録の設計・制作をされてきた職人さんにお願いしたので、開発自体は非常にスムーズでした。資料をお見せしたところ、すぐに「こんな感じで」と試作品を作って見せていただけたので、安心してお任せしました。

――今後のガシャポンの展開について、お考えなどを教えていただきたいです。

【瀬谷】フラットガシャポンという平面のアイテムを扱う自販機や、「東京おもちゃショー2022」にも出展した、液晶画面をタッチしていただくタイプのガシャポンも開発しているので、それぞれの特性を活かした商品展開を考えています。こちらもどうぞご期待ください。

■拡大するカプセルトイ市場、バンダイが目指す今後の展望とは!?

――カプセルトイ市場が拡大しているというニュースをよく見かけるのですが、最前線で開発に取り組まれているおふたりは、こうした現状をどのように捉えられているのでしょう?

【松原】カプセルトイの専門店が多数出店するようになったことが、ここ数年におけるいちばん大きな変化ですね。それまでのカプセルトイは、10数台ほどの自販機が並んでいても、ほしい商品がなければ素通りされるのが当たり前でしたが、専門店では数百台規模の自販機がずらりと並んでいるので、立ち寄っていただければ、必ず気になるアイテムが見つかる…といいますか。そうした“見つけ出す楽しみ”も含めて、エンターテインメントとして成立するコンテンツになり得たんじゃないかな、という気がしています。

――最近では子供だけでなく、大人でもカプセルトイに魅力を感じる人が多いみたいですね。

【松原】購買層も大きく広がって、50代や60代の方にも楽しんでいただけています。また、ここ数年で男性だけでなく、女性のお客様も増えてきているように感じます。

――2020年より続くコロナ禍も、商品の売り上げに影響しているのでしょうか?

【瀬谷】緊急事態宣言でどこにも遊びに行けなくなり、身近で楽しめるコンテンツが注目されるようになりましたが、その際、カプセルトイは「遠出しなくても体験できるエンタメ」として、大勢の方に認識してもらえたようで。急激に売り上げが伸びたのは、そのころからですね。

――家にいる時間が長くなったことで、「身のまわりを好きなアイテムで飾りたい」と考える人が増えたのかもしれないですね。

【松原】映画にも行けないし、ライブにもいけない。友だちと食事もできない。でも会社には行けるから、帰りにちょっと専門店に寄って、お酒を飲む代わりに一回だけガシャポンを回そう…みたいな心理があったのかもしれないですね。インバウンドも復活してきているので、これからも大勢の方に手に取っていただける商品を作り出し、ガシャポンを世界に広めていきたいと考えています。

文=ソムタム田井
(C)ゆでたまご・東映アニメーション