2016年の初開催以来、例年大きな盛り上がりを見せる、世界最大級のポップカルチャーイベント「東京コミコン」。2023年5月5日〜7日の3日間、大阪では初となる「大阪コミコン2023」がインテックス大阪にて開催された。

本記事では、国内外ともに人気コンテンツである“ホラー映画”をテーマにした特別ステージ・プログラム「大阪怖コン」から、2日目の5月6日に行われた「人気ホラーキャラベスト10」の結果発表の様子をご紹介。

■さっそくトップ10の発表!1位に輝いたのは…?
結果発表が行われるステージには、アメコミ系ライターの杉山すぴ豊をMCに、映画評論家の氏家譲寿(ナマニク)、映画監督の清水崇、ホラー好きグラビアタレントのRaMu、『DVD&動画配信でーた』編集長の西川亮が登壇。ランクインしたキャラクターに納得の表情や驚いた様子を見せながら楽しんだ。

一挙に公開された10位から6位には、『呪怨』シリーズの俊雄くんや、『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターなど、一度は見聞きしたことのあるキャラクターたちがランクイン。

多くの人にとって想定外の結果だったのか、ステージ・観客席ともにざわつくなか、ベスト5の発表へ。5位は、数年前よりリメイク版が公開されいている『IT/イット』からペニーワイズ。ステージでは「この映画が原因で、ピエロを怖がる子供が増えたらしい」という話で盛り上がる。

4位には『ハロウィン』シリーズのブギーマンが、最新作『ハロウィン THE END』が公開中の影響もありランクイン。ストーカーチックな気持ち悪さがあるため、RaMuは「拗らせたまま大人になるとこうなるんだな、という反面教師ですね(笑)」と語った。

第3位は『チャイルド・プレイ』シリーズのチャッキー。見た目だけでなく、声にも気持ち悪さがあり、時代を超えてインパクトを残したキャラクターだ。

チャッキーが3位に躍り出たことで、ホラー好きなら残り2キャラのだいたいの予想ができる段階に。ここで2位として、ジャパニーズホラーの代表格とも言える『リング』シリーズの貞子の名が挙がり、壇上の5名も驚きながら笑顔を見せた。「海外ホラーにはない、じっとりとしたジャパニーズホラー独特の怖さがある」という特徴から、2位にランクインした。

そして栄えある第1位は、『13日の金曜日』シリーズのジェイソン!どの世代にとっても“ホラーといえばジェイソン”というほど、ホラーアイコンとしても定着しているこのキャラクターに、「ジェイソンは目が黒落ちしていて、何を考えているのかわからなくて怖いんですよね」と清水がコメント。「でもシリーズの『X』は、正直、笑いながら観ていいかなと思います(笑)」とナマニクが付け足した。

最後に、「海外ホラーは暴力を駆使して襲ってくる“物理的な怖さ”がある一方、ジャパニーズホラーは“じめっとした恐怖”がある」という5名の見解が一致し、発表が締めくくられた。

■ホラーコスプレに身を包んだコスプレイヤー軍団が登場!
イベント中盤では、ホラーコスプレイヤーが一挙に登壇。ステージは魑魅魍魎(ちみもうりょう)と化して、登壇者たちもクオリティの高いコスプレの数々に思わず喜びや恐怖の声をあげる。

フォトセッションの時間には、コスプレイヤーもあわせて全員で写真撮影。撮影を終えた清水は、「つくづくホラーから逃れられない人生なんだなと改めて思いました。来年もコミコンがあるなら、『イマジョ』のコスプレをした人がこのステージにいるようにしたいですね」と、2023年6月16日(金)公開の映画『忌怪島/きかいじま』への意気込みを語った。

■これから公開されるおすすめのホラー映画を紹介
最後に、これから日本で公開されるホラー映画の紹介とともに、登壇者がおすすめのホラー映画を紹介。清水は『The Innocents』を挙げ、「子供の純粋さや無邪気さから来る恐ろしさが詰まった映画」と見どころを話す。ナマニクも「一風変わった作品」と、作品への期待が高まるコメントを残した。

そんなナマニクがおすすめしたのが、『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』。デイヴィッド・クローネンバーグ監督による新作映画で、「この作品のテーマが、“手術は最高のセックス”らしいんですよ。ボディホラーを撮りすぎて、すべてをそぎ落とした結果できた作品なんです」と、作品について力強く語った。

「期待というよりも、気になる作品という感じなんですけど」と前置きしたうえでRaMuが紹介したのが、『プー あくまのくまさん』だ。杉山は「これ、ディズニー映画じゃないですからね?(笑)」と付け足し、スクリーンに映画のプロモーション映像が流れると、会場には悲鳴とともに笑い声もちらほら。登壇者たちの総評は「真面目に見ちゃダメ」とのこと。あのキュートなキャラクターがどのような恐ろしい姿に変貌したのか気になるところだ。

続いて、2022年に公開された『X エックス』に登場する殺人老婆・パールが恐ろしい殺人鬼になった経緯をたどる『Pearl パール』を西川が紹介。テクニカラーを駆使した鮮やかなカラーリングの映像はインパクト大だ。西川によると、物語のベースとして『オズの魔法使い』が用いられており、ただ怖いだけではない作品となっているんだとか。「ぜひストーリーにも注目してほしい」と語った。

杉山からは、イベント当日に邦題が発表となった『死霊のはらわた ライジング』が紹介された。こちらはDVD&ブルーレイとして発売予定の作品。『死霊のはらわた』シリーズの新作となり、ホラー映画ファンは要チェックだ。

最後に、清水が監督を務める『ミンナのウタ』のプロモーション映像が流れ、会場はジャパニーズホラーの魅力を見せつけられる。『ミンナのウタ』はカセットテープにまつわる恐怖を描く作品で、「実はまだ仕上げ中なんです」と清水。公開は8月を予定している。「『竜とそばかすの姫』『ONE PIECE FILM RED』に続く、“歌モノ”の日本映画の代表になりそうですね(笑)」という杉山の言葉に、清水も思わず笑みをこぼした。

夏に向け、新作ホラー映画の情報が盛りだくさんのこの時期。ホラー好きの人もそうでない人も、背筋がゾッとするホラー映画に涼を求めてみては?

取材・文=織田繭(にげば企画)
撮影=福羅広幸