和歌山県・白浜。リゾート地としても人気の街に、開園から45年を迎えたテーマパーク「アドベンチャーワールド」がある。ここは“日本一のパンダファミリー・浜家”が暮らすテーマパークとしても知られ、園内には、これまで10頭のジャイアントパンダを出産した良浜(らうひん)という、メスのお母さんパンダがいる。

良浜(らうひん)が、10頭の母になるまでに、どのような物語があったのだろうか―。中国国外の飼育施設で世界一の繁殖実績をあげる「アドベンチャーワールド」。そこで暮らす良浜(らうひん)の命の物語を「パンダのミライー浜家・良浜 いのちの物語ー」と題し、取材をもとに遥那もより氏(@moyoribiyori)の漫画とともにお届けする。

今回のテーマはジャイアントパンダの妊娠事情について。人間の妊娠は、お母さんのお腹が大きくなっていくが、パンダの場合は少し違うみたいで…?

■ジャイアントパンダが妊娠していたかどうかは、出産してみないとわからない?

ジャイアントパンダの妊娠〜出産の大きな流れは人間と似ている。しかし、大きな違いは、人間の妊婦のように、お腹が大きくならず、見た目の変化がないことにある。その理由として、人間の赤ちゃんの平均体重が3000グラムとされるのに対し、パンダの赤ちゃんは100〜200グラムとされているからだ。

では、どのようにして飼育スタッフたちはジャイアントパンダの妊娠を判断しているのだろうか?その判断基準は、毎日の観察にあった。食欲が減り竹を食べる量が少なくなる、寝ている時間が長くなる、尿に排出される(妊娠に関する)ホルモンの数値が上がったりするなどの状態が見られると「妊娠はほぼ確定」とされている。

これでも「ほぼ確定」なのは、ジャイアントパンダには「偽妊娠」があるから。データ上では妊娠と同じ状態であっても、実際には妊娠していなかったということが起こるのだ。この理由は、まだはっきりと明らかになっていない。

しかし、アドベンチャーワールドでは、長年積み重ねてきた膨大な出産のデータで、ジャイアントパンダの妊娠〜出産をサポートしている。その結果、7回の出産を経て、10頭の赤ちゃんパンダを産み育てたのは、日本で良浜(らうひん)だけなのだ。



奥が深い、ジャイアントパンダの出産。今後も、そんな母・良浜(らうひん)の命の物語をつづっていく。