“こたつでミカン”が冬の定番だったのは昭和の話。最近では、暖かい部屋で食べるアイスクリームが人気で、「冬アイス」という言葉もよく使われるようになった。そんななか、森永製菓の定番人気商品「チョコモナカジャンボ」が初の冬限定商品を発売。昨年好評だった「バニラモナカジャンボ<冬限定>」も復活する。

アイスクリームといえば夏。そんなイメージは、もはやなくなっている。アイスクリームは1年中食べるもので、冬に売り上げが高い商品があったり、冬に向けて発売する商品があったりと、近年のアイスクリーム事情は大きく変わってきている。また、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められているアイスクリームの成分規格における「乳固形分15.0パーセント以上」の15という数字から11月15日が「冬アイスの日」と制定されるまでになっている。

■甘くて濃厚な味わいが「冬にはちょうどよい」

そんな盛り上がりを見せる“冬アイス”市場だが、そもそも、なぜ冬限定アイスを作ることになったのか。経緯を森永製菓・ジャンボ担当者の村田あづささんに聞いた。

「今年、『チョコモナカジャンボ<冬限定>』を販売したのは、昨年の『バニラモナカジャンボ<冬限定>』が大変好評だったからです。昨年『バニラモナカジャンボ』で冬限定品を作った経緯としては、バニラはアイスの王道ということもあり、競合商品が多いという現実がありました。シンプルな品質なだけに差別化の切り口が難しいというなかで、“濃厚でリッチな味わい”“乳脂肪分8.0パーセントのアイスクリーム規格”を特長にしていたのが『バニラモナカジャンボ』です。この品質のよさを強調して押し出す方策として、さらにリッチな配合がいいと思い、発売に至りました」。たしかに、濃厚でコクのある、ミルキーな味わいは高級感や満足感も高まる。

しかし、問題はアイスクリームのメインシーズンである“夏”にあると村田さんは語る。「リッチな味わいは夏に食べるには少し甘過ぎます。また、そもそも『バニラモナカジャンボの魅力をもっと多くの方に届けたい』との思いからスタートした改良だったのですが、2019年春から売り上げが好調に転じていたので、これまでの品質を大きく変えることには慎重になりました。そこで、たどり着いたのが<冬限定仕込み>というコンセプトです」と話す。

そうして決まったコンセプトをもとに誕生した「バニラモナカジャンボ<冬限定>」。村田さんいわく「構想から発売まで約1年かかっています。試作している時期はちょうど夏の暑い時期で、甘くて濃厚な味わいがちょっとしつこく感じることもあり、『大丈夫か?』と心配することもありました(笑)。しかし、冬はコクのある味わいが支持されるはずと送り出しました。結果として、冬にはちょうどおいしく感じられる味わいで、売れ行きも大ヒットとなりました」

■「今だけ冬仕込みになった」という特別感が刺さった」

実際、「バニラモナカジャンボ<冬限定>」(140円)は出荷ベースで対前年比200パーセントを超え、アイスクリームとしては“シーズンオフ”にも関わらず、品薄になってしまうという、予想を上回る反響があった。「『今だけ冬仕込みになった』という特別感がお客様に刺さったと思っています。これまで、冬季限定という新商品はたくさんありましたが、既存品の仕込みが変わったということが、お客様にも目新しく、食べてみようという気持ちにつながったと思います。特にSNSでの口コミ効果が大きく、11月の発売から月を追うごとに売り上げが伸びていきました」と村田さんは分析する。

単なる目新しさだけでは、売り上げが伸び続けることはないだろう。「通常品のイメージを損なわない程度に、ミルク感・甘さを微妙に調整し、濃厚な味わいにした」という冬に食べるにふさわしい味わいを作り出したことで、最初に興味本位で購入するだけでなく、さらにリピート購入されるようになったと考えられる。SNSの効果か、とりわけ10代から20代の若年層の伸び率がよかったという。

そして、今年。新たに「チョコモナカジャンボ」(140円)も冬限定品の発売に至った。こちらは、センターのチョコを15パーセント増量し、いつもよりしっかりとチョコの味わいが楽しめる仕様に。モナカ・アイス・チョコの三位一体の絶妙なバランスが、味わいと食感を作り、それが支持されている商品だけに、「チョコを増やしてもこのバランスを崩さないように開発を重ねました」と教えてくれた。

好評な冬限定品だが、通年販売をする予定はないという。「ミルク感やチョコレート感など、クリーミーで濃厚な味覚は多くの人にとって魅力的だと思いますが、同時に『甘過ぎる』『くど過ぎる』という加減が難しい感覚でもあります。ありがたいことに、今回のジャンボ2品においても『冬限定品を通年化してほしい』というご意見も多くいただいておりますが、消費者調査では、飽きずに食べられるバニラアイスの条件として、『さっぱりしていて、しつこくない』ことも重要視されていて、“味覚の季節性”は開発者にとって興味深いテーマです」と村田さんは話す。

冬限定商品の今後について、「『バニラモナカジャンボ<冬限定>』は、昨年かなり好評をいただいたため、昨年と同じ品質のものを今年も販売します。しかし、これが完成形だとは思っていません。通常品との違いを感じてもらいながら、1個食べ終わったときにくど過ぎない、そのバランスを心掛けて、今後もよりおいしい商品を作っていきたいと思っています」と語ってくれた。

冬だからこそおいしい味わいがある。“味覚の季節性”という永遠のテーマに向き合って誕生した「バニラモナカジャンボ<冬限定>」と「チョコモナカジャンボ<冬限定>」が、盛り上がりつつある“冬アイス”市場をさらに盛り上げていくだろう。

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