1月12日から3日間限定でお披露目された上野動物園の双子パンダ、オスの「シャオシャオ」とメスの「レイレイ」。公開は、すでに決まっていた当選者のみ、1人1分程度の観覧時間という制限はあったものの、初公開の様子はニュースやSNSで一気に広まり、双子パンダへの愛情や観ることのできた喜びと興奮が伝わるつぶやきであふれた。現在、上野動物園は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い休園中。双子パンダに会えるのはまだ先なので、再開を待ち望みつつ、これまでの成長の歩みを写真と教育普及課の課長、大橋直哉さんのお話で振り返ってみよう。

■2021年6月23日、双子パンダ誕生!
ジャイアントパンダのシンシンが双子パンダを出産したのは、2021年6月23日。1頭目は1時3分、2頭目が2時32分に生まれた。「小さな命を無事に育てあげる道のりを思うと身が引き締まる思いだった」という大橋さん。

「出産直後、シンシンは2頭ともしっかりと右前肢で抱いていました。ただ、一般的に、双子で生まれた多くの場合、母親は 1 頭しか育てないと言われています。そのため、飼育係が1頭をシンシンから離し、保育器に移しました」

その後「常に1頭を母親に抱かせている状態にして、もう1頭は保育器に入れて世話をしていきました」と大橋さん。1日おきに子供を入れ替え、母親からの母乳と共に、保育器では母親から搾乳した母乳を与えて栄養管理をしたそうだ。

「抱かせている方の授乳を確認したら、タイミングを見計らって保育器の子と入れ替える。そういった作業を獣医師や飼育係が24時間体制で数か月続けたところが、1番大変だったのではないかと思います」

生後約1か月を過ぎたころからだんだんと、目の周りや耳、肩から前肢、後ろ肢などに黒い毛が生え始め、パンダらしく黒い模様がくっきりとしてきた。体重もオスは1164g、メスは1367gに増え、どんどん成長!このころには、母親の元で過ごす入れ替え期間も5日程度になり、シンシンの育児も順調に。しかし、双子パンダにはまだ名前がないのであった。

■生後50日頃には「ンギャー」と鳴いて寝返りの手助けを求めるまでに!
生後50日(約1か月半)ごろ、2頭の体重は2Kgを超え、オス、メスともにうっすらと目が開いてきたことを確認。寝返りを打てるようになってきたものの、ひっくり返って自力で戻れない時もあり「ンギャー」と大音量で鳴いては、助けを求めることも多くなったそうだ。

2021年8月下旬になると、子供の入れ替えも10日程度となり、保育器内のパンダは人工乳で飼育。体重も増えて、前肢で上体を持ち上げることができるようになってきた。

こうして双子パンダは、獣医師や飼育係に24時間体制で見守られながら着実に成長!8月27日に保育器内での飼育を無事終了し、同じ保育室に設置されたサークルの中で飼育されることになった。

■生後3か月、体重も5Kg越え。そして小さな歯が生えた!
手厚い管理と母親シンシンの献身的な育児でどんどん成長していく双子パンダ。「シンシンも、子供が鳴くとそばによって体を温めたり授乳をしたりと落ち着いて世話を行っていました」

そして、9月下旬、2頭の口の中を見ると「オス、メス共に、左下に犬歯が生えていることを確認しました。メスのほうはさらに左上の臼歯も確認できました」

■いよいよ名前が決定!
2021年9月16日からは、人の声に慣れさせるために、日中だけラジオの音を流して、公開に向けての訓練を開始。こうして、成長と共に、一般公開へのステップを確実に進んでいった双子パンダにいよいよ名前が!

8月7日〜20日に募集していた双子パンダの名前が、10月に決定。応募総数19万2712件の中から、オスがシャオシャオ(暁暁)、メスがレイレイ(蕾蕾)と名付けられた。

応募の多かった上位150点を対象に、国内外のパンダと同じ名前や既存キャラクター名などを除き、オス5点・メス6点が名前候補選考委員会で審議された。

「本当に多くの名前をいただきました。命名可能なものを名前候補選考委員会におはかりするまでの調整がとても大変でしたね」と振り返る大橋さん。

その中からもっとも高い評価を得た「シャオシャオ」「レイレイ」を中国側の確認などを経て、最終的に双子の名前に決定。

シャオシャオには「夜明けの光が差して、明るくなっていく」、レイレイには「蕾から美しい花が咲き、未来へ繋がっていく」という意味が込められており、閉塞した時勢に明るい話題を振りまいた。

ちなみに、そのほかの候補はこちら。
オスはジュンジュン(2006件)、ジャンジャン(612件)、ダイダイ(450件)、リョンリョン(249件)、メスはミョンミョン(233件)、ライライ(1751件)、サイサイ(484件)、ウェイウェイ(323件)、ホンホン(247件)。

こうして、名前が決まった双子パンダは、人に慣れる訓練を重ねながら、のびのびと育っていった。

■誕生以来、初めて3頭で過ごす日が到来!
このころになると、母親と保育室との双子入れ替えは10日〜15日程度と少しずつ長くなったが、いよいよ、2021年10月23日に母親と双子パンダの3頭が合流。「シンシンに2頭の子供を一緒に預けました。シンシンが2頭同時に会うのは出産以来初めてのことでしたが、シンシンは驚くこともなく、子供たちを受け入れ、体をなめたり授乳を行うようになりました。これ以降、3頭は一緒に過ごしています」。

10月25日には保育室で、初めてシャオシャオが職員の姿を目で追うことを確認。レイレイにも同じしぐさが見られた。

11月1日にレイレイ、8日にシャオシャオの乳歯がすべて生えそろったことも確認され、タケを噛む様子も見られるようになった。

シャオシャオには、個体を識別するための緑色のマーカーが付けられているが、これをシンシンは気にすることなく、順調に子育てを続けたそうだ。

■シンシンを追いかけて、双子パンダは生まれて初めて屋外に!
順調に3頭で過ごす母子パンダ。シンシンは非公開の屋外と屋外エリアで過ごしていたが、11月10日、シンシンを追いかけた双子パンダが、初めて屋外に出ていった。「約2分ほどでしたが、2頭ともおどろく様子もなく出入り口を散策し、室内へ戻っていきました」

体重もシャオシャオは約9.6kg、レイレイが約9.5kgと抱きかかえるにもひと苦労。やんちゃな動きもたくさんするようになったそうだ。

■双子パンダ、それぞれの個性もくっきり!
生後半年ごろになると、双子パンダにも個性がしっかりと現れるようになった。「シャオシャオは、母親のシンシンにしつこくじゃれついたり、レイレイには強気な態度で取っ組み合いを仕掛けたりする様子がよく見られました」とやんちゃぶりを発揮。一方レイレイは「母親とシャオシャオがじゃれあっていても気にせず、1頭でのんびりタケを噛んだり、水場で遊んだりしていましたね」と大橋さん。

母乳だけでなく追加で与えている人工乳もしっかり飲む双子パンダ。このころには体重が12kgを超えるようになった。

2021年12月18日には、室内展示室に3頭を移動。双子にとっては初めての場所だが、木に登ったり、じゃれあったりと活発に過ごしたそうだ。また、日光浴も兼ねて非公開の屋外へも出られるようにし、お披露目への訓練は着々と進んでいった。

■2022年1月12日、休園中の園内で、双子パンダが公開に
公開寸前まで、繊細に慎重に双子パンダと母シンシンの体調管理をおこなってきた獣医師や飼育係。お披露目まであと少しというところで、新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴い休園が決定してしまった。しかし、すでに抽選済みの当選者のみ3日間限定で公開となった。

お披露目当日まで園内スタッフたちは、自由に動いたり手をふったり声を掛けたりと、観覧者になりきって3頭と接し、人の声や動きに慣れる訓練を行った。だが、皆の心配もなんのその!双子パンダは活発に動き、公開初日の後半には、疲れたのか眠ってしまう姿もうかがえた。

まだまだ先の見えないこの時勢に、名前の通り明るさと未来への希望を見せてくれた双子パンダ。休園の間も上野動物園の公式サイトで飼育記録が更新されるので、チェックしながら再開園を待とう!