アニメが出来上がるまでのコミュニケーションは“生SNS”。アニメーション制作の中でもあまりクローズアップされることのないスタッフ間のやり取りを描いた漫画に「いろんなドラマが」と注目が集まっている。

■情熱あふれるコメントも?修正用紙上の「生リプライ」
月刊ニュータイプで『見原由真の五畳半アニメーター録』を連載中の漫画家・見原由真さん(@ace7kg)は、自身の夫でアニメーターのタッペイさんとの日常やアニメ業界の舞台裏をコミックエッセイとしてSNSに公開している。7月に投稿された「アニメーターの夫の机はタイムライン」では、“修正用紙”を通したアニメ業界のコミュニケーションを切り取っている。

原画をはじめとするアニメのベースは紙に描かれるもの。それらに修正を求める場合、直接もとの紙に書きこんだり画を手直しするのではなく、別紙を重ねる形で修正指示や連絡を記載する。そのために使われるのが「修正用紙」。一つの場面でもさまざまなセクションを経由し、修正用紙に書きこまれたコメントをもとにバトンリレーのように作られているのだ。

いろんな人が情報を記し巡っていく修正用紙を見て、見原さんは「アニメ作品関係者しか見られない鍵アカウントの生SNS」と表現。また、見原さんの夫であるタッペイさんによれば、SNSにたとえた場合、「コメントの内容は絵に対しての反応(リプ)がほとんど」なのだという。


■時には“クソリプ”も…炎上を未然に防ぐ守り手込みのコミュニケーション
その書き方も“リプ”を送る人によってさまざまだそうで、具体的な指示だけでなく、感情のこもった悲痛な叫びや「このキャラかっこいいんですよー!!」と、指示ではなく最早ファンの感想のようなコメントが添えられていることも。修正用紙が増えていくたび、同じアニメを作る中での人間模様や心中がまさにSNSのタイムラインのように積み重なっているのだ。

もちろんいろいろな人間や事情がある中で、とんちんかんな反応や難癖など、SNSにはやはりつきものの“クソリプ”のようなコメントも中にはあるのだとか。そんな時には、各セクション間の受け渡しを担う制作進行が人知れず削除し、つつがなくやり取りが進むよう密かに尽力しているのだという。

1つのスタジオの内部だけでなく、協力会社や外部のフリーアニメーターなど、さまざまな場所や人で作られるアニメ業界ならではの情報伝達の文化が垣間見られる同エピソード。Twitter上での投稿には5300件以上のいいねがつき、「結構皆さん自由にコメント書いてるんですね」「考えてみれば、かなり沢山の事を何人もの人でやるんだよなぁ」と関心のコメントが集まった。

取材協力:見原由真『五畳半アニメーター録』連載中(@ace7kg)