“店員にわざわざ「ありがとう」を言って何になる”。中学生時代、客と店員の関係を徹底的にドライに捉えていた少年。成長してコンビニのバイトをはじめた彼が客から「ありがとう」と言われたら……。
漫画家のぬこー様ちゃん(@nukosama)さんがTwitterに投稿したレジ接客にまつわる絵日記漫画に、5万件を超える「いいね」とともに「めっちゃわかります」「もう共感しかない」と大きな注目を集めている。日々利用するレジでの応対を思わず見つめ直してしまう同エピソードのこぼれ話を、作者のぬこー様ちゃんに聞いた。


■“ドライな方が楽…”そんな考えがコンビニバイトで大逆転!?
『専門学校JK』や『人見知り専門家庭教師 坂もっちゃん』などの作品があるぬこー様ちゃんさんは、自身のTwitterで公開する絵日記漫画でも人気を博すプロの漫画家。話題を呼んだのは、4月に投稿された「一度は接客業を経験したほうがいい理由がこちら」という作品だ。

中学生時代、何事にも斜に構えてしまう、いわゆる“中二病”だったというぬこー様ちゃんさん。立ち寄ったコンビニで、他のお客が会計時に「ありがとう」と伝えているのを見かけた時も、「実にバカバカしい」と冷ややかだった。

店員のことを思うのであれば、とにかくレジの滞在時間ややり取りを減らす「無言即去り」こそがベストだと思っていた当時のぬこー様ちゃんさん。「変に気遣いされるよりお互い徹底的にドライな関係でいた方が楽に決まってる」と、ある種合理的な考えを持っていた。

時は流れ、18歳のぬこー様ちゃんさんはコンビニバイトをはじめていた。情熱を燃やすこともなく淡々とレジをこなしていたぬこー様ちゃんさんに、あるお客が去り際「いつもありがとね〜」と手振りとともにお礼の言葉をかける。

そのお礼に、ぬこー様ちゃんは感情を取り戻したかのように「ありがとうございましたー!!」と最高の笑顔。大人になった現在ではすっかり“「ありがとう」言う派”になった、というエピソードだ。

■「小さな気遣いって本当に嬉しい」接客時の「ありがとう」へ共感やコメント多数
読者からは「お店でありがとうと言われるとホント嬉しい」「接客業体験してから、お礼言われるのすごく嬉しいって分かった」という接客業を経験したユーザーからの同意の声や、「これはめちゃくちゃわかる」「小さな気遣いって本当に嬉しいですよね」「教科書に載せたい話」と共感のコメントが多く集まった。一方、「スタッフ側だけどドライの方が助かる」「無言即去りも正解ではある」という意見もあり、店員と客との時々のベストな距離感を考えさせられる体験談となっている。

こうした反響に「賛同コメントがたくさんあって安心しました。やはりありがとうは世界を救う。そう思いました」と話す作者のぬこー様ちゃんさん。

コンビニバイトをはじめた頃について質問すると、「当初はとにかく楽なバイト先を探してましたので、きっとドライな客を求めてたと思います!」と、実際にお礼を言われる体験をするまでは店員としてもドライなスタンスだったと振り返る。

また、「ありがとう」と声をかけるお客さんの中には、先入観ではとても言わなそうな人もいたといい、「ヤンキーっぽいお客さんやコワモテのおじさんにお礼言われたとき、ギャップで感動しました。人間見た目で判断したらあかんと思いました」とさらなる気付きを語る。

さらに、中学生時代のぬこー様ちゃんさんのようなお客さんには店員の立場からどう感じていたかを質問すると、「無言で去るくらいは全然いいと思うんです」と肯定する一方、「けど、お金の渡し方が雑な人や、タメ口の人はちょっと……と、思うところがあります。せめて対等の関係であってほしいです」と答えてくれた。

取材協力:ぬこー様ちゃん(@nukosama)