トラックも盗難とは無縁じゃない! 積荷やナンバーの盗難も多発していた

この記事をまとめると

■トラックが「車上荒らし」や「車両盗難」の被害に遭うことがある

■トラックのナンバープレートの盗難も増加傾向

■トラックの盗難対策、有効なアイテムについて解説する

近年は海外に持ち出されるケースが多い

 トラックにまつわる盗難事件は、大きくわけて「車上荒らし」と「車両盗難」のふたつがある。前者は一般的に単独犯が多く、現金・財布・かばん・スマホ・クレジットカード(ETCカード)などといった金目のものや、積載荷物・物品などが狙われる。また、トラックの部品やパーツが盗まれることもあり、とくにデコトラではデコレーションパーツが盗られる例も少なくない。

「車上荒らし」のおもな手口は、工具などを使い窓ガラスや鍵を壊すなどして犯行に及ぶというやり方だ。これらに対しては乗用車同様、市販されている警報型盗難防止装置が有効だ。これは、振動・人の接近・車両の傾き・車両の移動といったことを感知し、クラクションなどを使って警報音を発するものである。こういった犯罪は空き巣同様に、時間がかかる・人目がある・音が鳴るなどといったことが、犯人を躊躇させるので防犯に有効だ。

 ただ、近年増加傾向にあるナンバープレートの盗難は少し事情が変わってくる。なぜなら、これは盗んだナンバープレートを次の犯罪に利用することを目的としているので、組織的な犯行である場合が多いからだ。また、ナンバープレートはスパナ程度の手もち工具1本あれば、誰でも簡単に短時間ではずすことができるという課題がある。そこで、専用工具でしかはずせない特殊なボルトでナンバープレートを取り付けるなど、対策をすることが望ましい。

 そして、ナンバープレート以上に、頭が痛いのはトラック車両本体の盗難対策である。被害に遭うと車両の損失はもちろん、損害が仕事にまで及ぶことも多いので性質が悪いといえよう。以前は、犯人が盗難車を自ら使用したり、国内で盗難車が売買されたりすることも少なくなかったので、検挙後に車両が戻ってくることも相当数あったという。しかし、近年は海外に持ち出されるケースが多いため、その可能性が低くなったようだ。

 犯行する側も特殊詐欺と同様に、指示役/窃盗実行役/運搬役/分解・改造・整備役/売却役などにわかれており、組織的に犯罪集団化したパターンが増えている。結果、検挙が末端(実行役)に留まって実態解明が難しくなっているのだ。

簡単に移動できないような工夫を

 こういった組織的な窃盗の場合、短時間で強引に犯行を行うため、少々の対策では防ぐことが難しいことも多い。ポイントになるのは、おもにふたつ。

 1)車両のもち出しに時間がかかる(トラックを動かしにくい状況にするなど)
2)駐車場所がしっかりと監視されている

 といった状況を作り出すことだ。トラックを動かしにくくするには、駐車場に鍵付きの門・シャッター・鎖などを設置するとよい。複数台のトラックがあるときは車両間隔を詰めて駐車をするなど、簡単に移動できないような工夫をすることも大切だ。ハンドルロックやタイヤロックといった、物理的な盗難防止装置を組み合わせて使用するとさらに効果が高まる。

 監視をするには駐車場と事務所が近いことが望ましいが、そうでない場合も多々あるだろう。そこで、駐車場に録画型防犯カメラを取り付けたり、ドラレコを駐車監視型にしたりすると防犯効果が期待できる。また、車両にはGPS追跡装置を取り付けておくとよい。

 これらに共通するのは、設置&取付するだけではなく、必ずステッカーや看板などで「(防犯の仕組みが)ついています」とアピールをすることである。なぜなら、防犯は盗難に遭わないないように対策をすることであって、決して検挙を目的としているわけではないからだ。

 ほかにも、駐車場に砂利を敷く(歩けば音が鳴る)とか、人感センサー付きライトを設置するとか、比較的簡単に実行できる対策も多数ある。年を追うごとに巧妙になるトラック盗難を防ぐには、複数の有効な防犯対策を組み合わせて行い、被害を最小限に抑える努力をしなければならないといえよう。