マイチェンで数字を伸ばしたのになぜ? ホンダがオデッセイを終了させる謎

あまりに意外だったマイチェン直後の生産終了

 ここのところ、ホンダ オデッセイが(レジェンドとクラリティも)生産終了になるとの記事がネットで飛び交っている。メーカーであるホンダの公式発表ではないものの、日本国内における販売台数を見れば、あってもおかしくない話かもしれない。しかし、レジェンドは今年3月に、リースのみではあるが、世界初となる自動運連レベル3を搭載した新型を100台限定生産して新型を世に送り出したばかり。オデッセイにしても、2020年11月に顔つきを大きく変えるマイナーチェンジを行ったばかりなので、このタイミングで生産終了の話が出てくるのは意外性の高い話ともいえ、「なんでこのタイミングにあえて?」という声も大きい。

 ある事情通は、「新型やマイナーチェンジを行ったばかりのタイミングでの生産終了の話がもし本当ならば、ホンダとしては今後も飛躍的な販売増は期待できないので、損切りを行ったのかもしれないですね」と語ってくれた。

 自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計による、2020事業年度(2020年4月から2021年3月)締めでのオデッセイの年間販売台数は1万1941台となっている。

 2020年11月のマイナーチェンジでは、月販目標台数は公表されていないが、2017年11月のマイナーチェンジ時には、月販目標台数1500台とされていたのだが、2020事業年度での月販平均台数は約995台となっており、際立って販売不振にも見えない。ましてや、最新のマイナーチェンジは2020年11月5日に行われているので、11月もフルカウントとし、2021年5月までの7カ月間での累計販売台数は7797台となり、月販平均台数は約1113台と盛り上がりを見せていた。

 一部報道をみると、生産終了の直接的理由はオデッセイなど個々のクルマの事情が主たるものでもないようだが、同じ2020事業年度締めでの年間販売台数で10万台強を販売したアルファードはもはや絶対的な地位を確立しており、ホンダがオデッセイの生産終了を報道のように決めたのならば、アルファードの存在も判断のひとつになったのではないかとの声も多い。

名前はオデッセイだがアメリカ仕様はまったくの別モデル

 このまま日本でのオデッセイの話をしてもシンミリとするだけなので、ここからは世界二大新車販売市場となる、アメリカと中国でのオデッセイの様子を紹介していくことにする。

 まずはアメリカ。そもそもミニバンなるカテゴリーの先駆け的モデルのひとつとされているクライスラーミニバンを排出した国ではあるが、いまではミニバンと呼べるモデルはクライスラー パシフィカ、クライスラー ボイジャー、トヨタ シエナ、起亜セドナ、起亜カーニバル、そしてホンダ オデッセイの6台となっている(さらに一部の州においてダッジ キャラバンが加わっている)。ただし、アメリカのオデッセイと日本のオデッセイはまったくの別物で、アメリカ版オデッセイは、かつては「ラグレイト」の名前で日本にも導入されていたモデルであり、アメリカでは現在もその後継モデルが販売されている。

 お洒落なママたちは、3列シートを有する大型(フルサイズ)クロスオーバーSUVで、お買い物や子どもをサッカー教室へ送迎したりするのがトレンドであり、ハリウッド映画におけるミニバンは、ベタベタなマイホームパパが乗っているなど、生活臭が強すぎる演出で使われることも多く、実際のママたちの多くもミニバンを敬遠している。

 販売状況をみると、2021年第1四半期(2021年1月から3月)では、トップはクライスラー パシフィカで3万4342台、2位がトヨタ シエナで2万6578台、そして3位に2万66台を販売してオデッセイが入っている。月販平均台数は約6688台となる。

 ちなみに、アメリカでは3列シートを持つSUVとしてホンダ パイロットがラインアップされているが、パイロットの2021年第1四半期の販売台数は3万1451台となっている。オデッセイは驚くほど売れているというわけではないが、極端に販売不振というわけでもない。

 街なかで見かけるのも、パシフィカ、シエナ、オデッセイの3台がほとんど。どこまで本当なのかウラはとれていないが、韓国起亜自動車のミニバンを見かけてもレンタカーが多いと、南カリフォルニアあたりではよく聞く。

中国ではお洒落ミニバンのポジションで安定して売れている

 次は世界最大の新車販売市場となる中国。中国では2社あるホンダの合弁会社のうち、広汽本田(広州ホンダ)でオデッセイは生産されている。なお、もうひとつの合弁会社である東風本田では兄弟車となるエリシオンが生産されている。オデッセイ、エリシオンともに2リッター直4エンジンベースのハイブリッド仕様のみとなっている。

 2021年5月の中国国内における販売台数はエリシオンが5022台、オデッセイが3768台。ちなみに日系ブランドのミニバンではエリシオンがもっとも売れていることになる。現地メディアによると、エリシオンはどちらかといえば、アルファード的なクルマなのに対し、オデッセイはお洒落なデザインが特徴となっており、安定した販売台数を維持しているとのことである。ハイブリッドユニットのみというところも好感が持たれているようである。

 ちなみに、2021年5月の中国におけるミニバン販売ナンバー1は、上海通用五菱汽車(通用はGM[ゼネラルモーターズ]の意味)の「五菱宏光プラス」となり、2万533台を販売している。

 そして、中国では上海通用(上海GM)が現地生産している、ビュイックGL8というミニバンが、伝統的にステイタスが高く、ある意味日本でのクラウン並みに特別な高級ミニバンとして位置づけられている。空港から市街地までのリムジンタクシーや、白タクのオジサンまで、「クルマはビュイックGL8だから料金は高いよ」と言ってくるぐらいのステイタスを持っている。

 アルファード&クラウンヴェルファイアは、日本で製造している輸入車となり、価格もアルファードで83.90万元(約1443万円)となり、GL8の約790万円と比べても別世界といってもいい超高級ミニバンとなっている。オデッセイはもっとも高い仕様で32.38万元(約556万円)となっており、現地生産モデルでもあるので、アルファード系とガチンコで絡むことはない。

 ただ、中華系メーカーの間で日本のミニバンを研究したようなモデルが瞬く間に増えてしまった。ある大手中華系メーカー関係者は、「なぜ日本は得意のミニバンで中国に攻勢を仕かけてこなかったのですか? もったいないことをしましたね」と話してくれた。このメーカーのミニバンとなると、48V MHEV(マイルドハイブリッド)ユニットや、PHEV(プラグインハイブリッド車)なども当たり前のようにミニバンに搭載されている。ベンツやBMWのようなデジタル計器盤など、最新トレンドの装備も数多く採用しており、日系ミニバンはどちらかといえば、トレンドが古く見えてしまうのは、あくまで個人的感想なのだろうか?

 とりあえず、アメリカと中国では、日本のように生産終了が話題になるほどの販売不振状況でもなく、安定した人気の基で販売されているようである。