中東カタールで開かれているサッカーの第22回ワールドカップ(W杯)。森保一監督率いる日本代表は11月23日の1次リーグ初戦で、過去4度優勝の強豪ドイツに2-1の逆転勝ちを収め、歴史的な番狂わせとして世界中を驚かせた。27日の2戦目、コスタリカには0−1で敗れ、決勝トーナメントに進出できるかどうかは日本時間12月2日のスペイン戦の結果次第となった。

ドイツへの劇的勝利から一転、コスタリカに惜敗した日本代表。歴史を作るために前を向く(森田直樹/アフロスポーツ)

 日本代表がW杯に出場したのは今回が7大会連続7回目。4年に1度のサッカーの祭典は、日本国内でも国民的関心事としてすっかり定着した。

 1930年に南米ウルグアイで「世界選手権」として産声を上げたW杯は92年の歴史を積み重ねてきた。世界中を熱狂させるW杯だが、その歴史を振り返るとき、日本は後進国に過ぎない。そんな中、今から半世紀以上前からW杯を現地で見続けてきた日本の新聞記者たちがいる。

 日本国内ではまだサッカーが「マイナー競技」で、新聞の扱いも悪く、世界最高峰のW杯といえども決勝の記録を探すのが困難なほど。そうした状況下で、約1カ月にわたるロングランの大会期間中、会社に休暇願を出して現地を飛び回った記者たちだ。

 その代表格といえるのが今回紹介する『取材歴59年の記者が見たW杯「裏表」ヒストリー』(2014年、角川ONEテーマ21新書)の著者、牛木素吉郎さんだ。牛木さんは1932年生まれの90歳。東京大学でア式蹴球部に在籍、卒業後は東京新聞、読売新聞でスポーツ記者として活躍した。

 牛木さんは同書の中で、日本サッカーがなぜ、世界の潮流に乗り遅れたのか、また、同じ世界規模のイベントである五輪との違いなど、幅広いテーマについて長年の取材経験に基づいて話題を提供している。W杯の歴史を知り、サッカーをより楽しむために知っておくべき基礎知識が満載の一冊だ。