今年開催されたジャパン・モビリティ・ショーでは様々な未来のクルマや移動機関が展示されたが、自動運転も含めて今後の日本で最も注目が集まりそうなのが「マイクロ・ユーティリティル・ビークル(MUV)」という分野だ。

 理由はいくつかあるが、そもそも道路が狭く渋滞も多い日本で、中国や米国で行われているような自動運転タクシーが一般化するのは難しい。現在日本で自動運転の実証実験はいくつか行われているが、そのほとんどが低速のシャトルバスやゴルフカートを改良したものだ。自動運転で走行する区間も数キロ程度と非常に短い。

 一方でドライバー不足が叫ばれ、日本固有とも言われるサービスが充実しているのが宅配だ。市街地を比較的低速で走行し、CO2を排出しない、使いやすく小回りのきく小型商用車への需要は非常に高い、と言える。

 今回のモビリティ・ショーでも各社が商用に向けたEVを数多く出展していたが、そのほとんどが軽バンをベースとしたものだった。つまりこれこそが日本の道路事情に合致し、価格面でも導入しやすいモデルと言えるだろう。

 そんな中で軽バンよりもさらに小さく、車検などのコストが低い車として注目されるのが「MUV」なのだ。「METAx」という技術連合が出展した「クロスケ」は、宅配などの中心に躍り出る可能性が十分にある。

 まずMETAxとは何か。これは2022年10月に経産省の認可を受けた超小型EV技術研究組合の名称だ。中心となる車のシステムを担当するのは日産の元社員らが作ったブルースカイテクノロジー社で、車体研究所としてエイチワン社、シャシー研究所として山田製作所と都築製作所が名を連ねる。さらに車体デザインとパンフレットなどの制作には千葉工業大学創造工学部デザイン学科の学生デザインチームも参加している。

(出所)超小型EV技術研究組合

 「クロスケ」という名前の由来だが、本来「Xk」で、クロス・ケーと読ませていたが、より親しみやすい名称ということでクロスケ、となった。塗装なしの樹脂そのままの外板パネルは黒色のため、「まっくろくろすけ」に引っ掛けたネーミングにもなっている。

クロスケ

 車体としては三輪バイクと軽バンの間を取った大きさで、一人乗りで全長2・5メートル、車検は不要だ。この大きさながら50リットルのコンテナが10個搭載できる。

 EVとしてのシステムにはTier 1サプライヤーである仏ヴァレオ社が協力し、着脱式バッテリーを搭載しているため充電に長い時間をかける必要がない。また搭載するバッテリーの数を2個にした場合の航続距離は40〜50キロ、3個なら60〜75キロ、4個なら80〜100キロ、と使用目的に合わせて数を選ぶことも可能だ。

 開発の責任者であるブルースカイテクノロジー社の竹村洋之氏は、日産でEVやFCEV(燃料電池車)の開発にも携わってきたが、「自分の開発研究の集大成としてたどり着いたのがこのクロスケだ」と語る。利用者が求めるものは何か、今日本の物流には何が求められているのか、を考えるとシンプル・イズ・ベストで、コストが安く誰でも気軽に乗りやすい車体が理想、という結論に達した。