ミャンマーの軍事クーデターは犠牲者数の増加に歯止めがかからず、ミャンマー国民による大規模な反発を引き起こしているとともに、国外の反応も予想以上に批判的である。情勢はますます悪化、武装蜂起や内戦が取り沙汰されるようになっている。

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 ミャンマー情勢に関して4月18日のフィナンシャル・タイムズ紙掲載の論説‘Brutality backfires on Myanmar’s secretive junta’(元駐ミャンマー英国大使が書いた)は、クーデターを起こしたミャンマーの将軍たちは、内外の反応を読み違えたようである、と述べている。まず、論説の指摘をいくつか挙げておく。

(1)抵抗の規模と程度。それまでの抗議と異なり不安はミャンマー全土に広がった。全面ストが基本サービスや財の供給を妨げ、国は機能停止の危機にある。

(2)ソーシャル・メディアの発達。軍事政権はインターネットを遮断したが、抗議者はソーシャル・メディアを有効に使い、残虐行為の実態は世界に拡散されている。

(3)海外の反応。将軍たちは、西側諸国がアウンサン・スー・チーに幻滅を感じ、反応は抑制されたものになると考えたが、間違っていた。ASEANからも意見や懸念が出た。中国はミャンマーの不安定化により一帯一路に影響が出ることを嫌い、非常事態とアウンサン・スー・チーなどの拘留への懸念を表明した国連の声明には同意するなどした。

 ミャンマー国内の反応は、クーデターに反対する市民のデモである。デモはミャンマーでの軍事クーデターに起因する騒乱は、収まる気配がない。ここまで国民の抵抗が大規模で、さらに中国やASEANからも批判されるとは、ミャンマーの将軍たちも予測していなかった可能性がある。全土で行われ、国の基本サービスや財の供給を妨げているという。このままでは国が機能不全になる危険すらあるとのことである。クーデターを起こしたミンアウンフライン最高司令官はじめ軍幹部は国民の抵抗の規模と程度がここまでに達するとは予期していなかったと思われる。

 国外の反応は、欧米は当然のこととして、ASEANや中国からも批判的な反応が見られる。4月24日にはミャンマー危機を巡りインドネシアのジャカルタでASEAN首脳会合が行われた。首脳会合声明によると、1)暴力の停止。2)全ての当事者による建設的な対話、3)対話促進のためのASEAN特使の派遣、4)援助の受け入れ、5)特使の受け入れ、この5点で一致した由である。

 中国はミャンマーと経済的関係が深く、抗議デモでその関係に悪影響が出ることを懸念しているという。また、ミャンマーは一帯一路の東南アジアにおける交差路として中国にとって重要であり、全土のデモが長引けば影響を受けるだろう。ミャンマー情勢の好転は、目途が立たず、ASEANも中国も負の影響を受けざるを得ない。

 当然のことながら、日本も影響を受ける。日本とミャンマーとの経済関係は密接である。日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、2020年12月末現在で、ミャンマー日本商工会議所加入の日系企業は433社に上る。ヤンゴン近くのティワラ地区には三菱商事などが工業団地を造営している。ミャンマー情勢の混乱はこれら日本企業の活動を制約することになる。

 ミャンマー情勢で目を離せないのは、やはりアウンサン・スー・チーだろう。ミャンマー国民は、スー・チーが選択肢に含まれれば必ず彼女を選ぶと言われている。軍はスー・チーを受け入れず、スー・チーが再び政治の場に登場する見通しは立たない。これに国民がどう反応するかは、ミャンマー政治の一つの不確定要素と言える。

  
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