民主主義の退潮、政権の独裁化の傾向は最近世界各地に見られる現象である。中米でもその傾向が顕著で、中米7か国中、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアの4カ国では、システムが歪みつつある。

 エコノミスト誌8月28日号の社説‘Democracy is quickly eroding in Central America’は、4か国の様子を次のように報じている。

Rainer Lesniewski / rudall30 / iStock / Getty Images Plus

・エルサルバドル:2019年にポピュリストのブケレ大統領が政権を取ってからは権力の濫用が甚だしい。ブケレは、就任直後、武装した兵士を連れて議会に押しかけ、この5月には、ブケレの与党が多数派となった議会で、検事総長と最高裁憲法審査部判事全員を解任し、その代わりに取り巻きを任命した。6月には、汚職取締まり組織を廃止し、大統領の任期1年延長などの憲法の大幅な改正を提案している。

・グアテマラ:ジャマテイ大統領政権が司法制度を攻撃している。7月23日には、高官を捜査対象としていた汚職取り締まりを担当する検事が、偏向を理由に解雇された。また、麻薬資金も国内に浸透し始め、38人の議員が麻薬密売と関係しているとされる。

・ホンジュラス:麻薬組織が政治のあらゆるレベルに浸透し、国家と犯罪の関係が大きな懸念。エルナンデス大統領は、少なくとも3件の麻薬密売の事件に関与していると言われる。11月の大統領選の有力候補者であるヤニ・ローゼンタールは、マネーロンダリングの罪で米国の刑務所に3年間服役していたことがある。

・ニカラグア:独裁者のオルテガ大統領が、何らの咎めもなく大胆に行動している。この4ヶ月間に、7人の大統領候補者をはじめ、多くの知識人や元閣僚が拘束された。8月6日、選挙管理委員会は、主要野党の選挙参加資格を取消した。12月からは、NGOは「外国人エージェント」として登録しなければならず、また、警察は国内最古の新聞社であるLa Prensaを狙っている。

 その上で、社説は、米国のおひざ元である中米での民主主義の急速な退潮を防ぐために、米国はもっと巧妙にまた効果的に干渉するべきであると示唆している。

 確かに、中米、特にエルサル、ホンジュラス、グアテマラの北の三角地帯は米国への移民流入問題の原因となる地域であり、バイデン政権も根本原因に取り組もうとしている。これは正しい選択であるが、即効的な効果は望めない。