気候変動を担当するジョン・ケリー米大統領特使は、8月31日から9月2日まで、天津市を訪問し、中国のカウンターパートである解振華特使と会談した。両者は、今年11月に英国のグラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、地球温暖化対策として二酸化炭素削減に向けて、意見交換した。

 これについて、9月1日付のニューヨーク・タイムズ紙は、「ケリー特使、中国に気候変動は『地政戦略的兵器ではない』と述べる」と題し、米中両国の気候変動問題特使がバイデン政権発足以来18回も会合を持っているのは米中が気候変動問題で合意を目指している証拠であるという同紙北京支局長Chris Buckley及び同紙気象記者Lisa Friedmanの解説記事を掲載している。

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 気候温暖化は世界にとって深刻な問題となっている。中国と欧州での大規模な洪水、米国南部、東部を襲った激しいハリケーン、米国西海岸での干ばつと火災など、最近世界で起きた大きな災害の多くの原因が気候温暖化にあると見られている。

 米国と中国は温暖化ガスの二大排出国であり、気候温暖化は米中各国および両国の関係で重要な課題となっている。中でも中国は排出の主な源である石炭の消費が、石炭火力発電所をはじめ多く、中国の年間の二酸化炭素排出量は、中国に続き排出量の多い米国、EU、インドの合計に匹敵するという。

 米国と中国は気候温暖化問題で何らかの合意に達するべく、双方の気候変動問題特使はバイデン政権の発足以来すでに18回も会合を開いているとのことである。しかし、合意は容易には達せられない。一つには、中国が気候温暖化問題は米中関係全般と切り離せず、米中関係がウイグルや香港の問題をめぐって対立していることが問題であると指摘していることがある。

 ケリー特使は、気候温暖化問題と米中関係を切り離したいと考えている。ニューヨーク・タイムズの記事の表題はこの点を取り上げたものである。しかし中国政府は両者を関係づけている。一つには気候温暖化問題での協力を梃子に、ウイグルや香港についての米国の不満の表明をけん制しようとする意図があるのかもしれない。

 韓正副総理がケリーに対し、気候変動問題についての米中の協力は「信頼を前提としなければならない」と言ったとのことだが、言外にウイグルや香港についての米国の批判をけん制していると考えられる。