人民解放軍の台湾への軍事侵攻能力をどう見るか、については米国軍指導部のなかにいくつかの異なった見方があり、台湾内部においても同様に異なった見方があるのは、不思議ではない。

 8月31日、台湾国防部が今年度の年次報告書を公表したが、それは中国人民解放軍(PLA)の台湾軍事侵攻能力が高まりつつある、として警戒感を呼び起こす内容のものであり、この報告書は目下、台湾内部で議論を呼んでいる。

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 例えば、9月3日付のTaipei Times社説は、人民解放軍(PLA)の能力についての年次報告書の2021年版が強い警戒を示していることに賛成し、誇張ではないかとする一部の批判に反論している。このTaipei Timesの社説は今年度国防部年次報告書の記述をめぐって、PLAの狙う対台湾侵攻の新しい方策は何か、これまでと比べてどこが新しいかを論じており、興味深いものである。

 昨年までの報告書は、PLAが、台湾に対し、水陸両用作戦による攻撃を行うに十分な輸送整備と兵站能力にはいまだ欠けている、という部分に大きな関心が集まった。しかし、今年の報告書は、PLAはもはや海岸への上陸を主目的とせず、逆に空からの部隊投入能力を向上させている、というところに関心が集中しているようだ。そして、台湾島への海からの上陸よりも、空からの部隊投入能力に対してこそ警戒を一層強めるべきである、と強調している点が注目されている。

 最近、PLAは台湾の防衛識別圏内にはじめて軍用ヘリコプターを侵入させたという。台湾の軍事アナリストたちによれば、PLAが台湾の防衛システム能力を調査し、様々なタイプの台湾の軍用機に如何に対応するかを研究している可能性がある、という。

 今年の年次報告書は、PLAが電磁パルス(EMP)攻撃を行う能力を含む高度な電子戦およびサイバー戦の能力をすでに開発しているか、あるいは開発中であることが証明されている、としたうえで、デジタル時代に近代的な国家対国家の戦闘がどのように展開するのか、誰にもわからないと述べている。