スウェーデンの中道右派の新政権が、北大西洋条約機構(NATO)加盟の早期実現を目指して、国内のクルド人のテロ組織の取締りの強化を要求するトルコに前政権よりも一歩歩み寄る対応をすることに決したことを11月6日付けのフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。主要点は次の通り。

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・スウェーデンのクリステション新首相は、スウェーデンのNATO加盟を支持するようトルコのエルドアン大統領を説得すべく、新しい中道右派政権はクルド人グループに距離を置くと述べた。

・ビルストロム外相は、スウェーデンはシリアのクルド人民兵組織YPG(クルド人民防衛隊)およびその政治組織PYD(クルド民主統一党)に対する見方を変えるだろうと述べた。

・多くの西側諸国はシリアの北東部でISIS(イスラム国)を打倒する上で助力を得たYPGを支持して来た。しかし、トルコはPKK(クルド労働者党)との密接な関係の故にYPGを直接的な脅威と見做している。なお、PKKは欧州連合(EU)および米国にテロ組織に指定されている。

・11月5日、「これらの組織とPKKの間にはあまりに密接な関係があり‐‐‐‐われわれとトルコとの関係にとっては好ましくない」とビルストロム外相は述べた。

・エルドアン大統領の報道官は「我々はこれを非常に積極的なステップと見ている」と述べた。

・11月3日、トルコを訪問したNATOのストルテンベルグ事務総長は「NATOの完全なメンバーとしてフィンランドとスウェーデンを迎え入れる時だ」と述べた。同事務総長との会談後、チャヴシュオール外相は新しいスウェーデン政府の「決意はより強い」と述べた。「しかし、すべての合意された措置が完全に履行されたと言うことは可能でない」と彼は付言した。

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 スウェーデンとフィンランドのNATO加盟議定書は加盟30カ国のうち28カ国が批准を終えており、残すはハンガリーとトルコのみである。ハンガリーについては、オルバンの首席補佐官が、「当てにしてもらっていい。年内に議会が承認する手筈となっている」と最近述べているので、批准に問題はないであろう。しかし、スウェーデンはクルドのテロリストを庇護していると主張するトルコの動向には未だ確たる見通しが立っていない。

 スウェーデンでは9月11日の総選挙の結果、社会民主党率いる中道左派政権が下野し、その後を受けて、10月18日、穏健党のクリステション首相率いる中道右派政権――社会民主党に次いで第二党となった極右のスウェーデン民主党が閣外協力――が発足した。前政権の時代、スウェーデンはフィンランドとともに6月のマドリードのNATO首脳会議に際してトルコとメモランダム(Trilateral Memorandum)に合意したが、そこには「(両国は)YPG/PYDに支持を提供しない」と書かれている。