※本稿は、モダンタイムズ(https://www.moderntimes.tv/)に掲載された記事の抜粋です。DX分野での注目企業を中村航氏が紹介します。

マンチェスター・シティと提携したVRトレーニングプラットフォーム

スポーツ分野のメタバース活用で最近注目を集めた話題といえば、英プレミアリーグのマンチェスター・シティ(以下、マンC)がVRトレーニングプラットフォームのRezzilと提携したという話だ。Rezzilは2017年に英国で創業されたスタートアップで、これまでの調達額こそ250万ドルと小規模だが、プロ選手と一般消費者の両方に向けてVRを活用した様々なプロダクトを提供。ティエリ・アンリやギャリー・ネヴィルなどの有名選手が投資家に名を連ね、NBAのアクセラレータープログラム「NBA Launchpad」にも選出されている。フェイスブックの社名変更の発表イベントの中で、マーク・ザッカーバーグは複数のVRアプリに言及したが、この中の1つであった「Player 22」というアプリはRezzilが一般消費者向けに開発したものだ。同社は現在、このアプリを含めて主に3つのサービスを提供しているが、いずれもスポーツ界のメタバース活用を考える上で興味深いものなので簡単に紹介したい。

・Rezzil Elite
プロのチームやアスリートが試合後の分析やバーチャルトレーニング、リハビリテーションなどに活用できるツール群。リハビリツールでは、選手の回復の程度をモニタリング・追跡もできるという。

・Rezzil Index
バーチャルドリルを通じて選手の技術的正確さや意思決定力、状況認識力といった様々な特徴を数値化。チームはこの分析を選手の比較や起用に活かすことができ、選手も自らの強みと弱みの把握や改善に活用できる。

・Player 22
一般消費者向けにサッカーやバスケット、アメフト、テニスなどのスポーツをベースにしたトレーニングゲームを提供するVRアプリ。たとえば、若年層のヘディングは近年脳へ悪影響を与える懸念から制限する動きが出てきているが、このゲームでは頭に衝撃を与えることなくヘディングの練習ができるという。

これらを見ても分かるとおり、同社のサービスはトレーニングだけでなく、リハビリ、育成、スカウティングまで、スポーツ界におけるメタバース活用の幅広い可能性を感じさせてくれるものだ。

マンCとRezzilの提携では、マンCの本拠地であるエティハド・スタジアムを仮想空間上に再現し、ファンがこの空間でドリルやトレーニングセッションを体験したり、ボールやグローブなど、同クラブの様々なデジタルアイテムを購入したりすることが可能になるという。こちらはどちらかといえばファンエンゲージメントの向上につながるような取り組みで、特になかなかスタジアムを訪れることができない国外のファンなどにとってはたまらないだろう。

トレーニングにメタバースを活用するメリット

スポーツのトレーニングに仮想空間を活用することのメリットの1つは、フィジカルコンタクトがないため怪我の可能性が低いということだろう。当然ながら、新型コロナのような感染症が選手間で広がるといった心配もない。

コンタクトがなければリアルな感覚がないようにも思えるが、Rezzilを含めて多くのVRアプリは触覚フィードバック技術で物体との接触感覚を再現しており、よりリアルな感覚をもたらす「VRグローブ」のようなデバイスも次々に登場している。もちろん、現実の練習を代替できるレベルになるのは遠い将来の話かもしれないが、「Player 22」のヘディング練習のような、特定の技術の習得や改善を目的にしたトレーニングへの利用価値は高いのではないだろうか。

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・中村航氏の記事をもっと読む(https://www.moderntimes.tv/contributors/Wataru-Nakamura/)

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