《野球太郎ストーリーズ》日本ハム2014年ドラフト2位、清水優心。鬼肩と長打力で未来のプロ球界を担える捕手

《野球太郎ストーリーズ》日本ハム2014年ドラフト2位、清水優心。鬼肩と長打力で未来のプロ球界を担える捕手

将来の侍ジャパンの正捕手とも目される「長打を打てる」高校生捕手を日本ハムは2位指名。名将の惚れた逸材が、大谷翔平とバッテリーを組む日も近い!

◎九州大会4番デビュー!

 入学して1カ月も経過していない4月21日のことだった。

 佐賀で開催された春季九州大会で、九州国際大付高の1年生捕手、清水優心が高校野球の表舞台に登場した。背番号はベンチ入りメンバーでもっとも大きな20番を背負っている。しかし、背番号以上にサイズがデカい。当時の大会プログラムには184センチ、83キロとあった(現在は185センチ、88キロ)。とても1カ月前までは中学生だったとは思えない全身のボリューム感が、清水の第一印象だった。

 デビュー戦となった初戦の伊万里農林高戦で、この1年生はいきなり4番打者として先発出場し、初打席で相手投手のスライダーを力強く引っ張ると、これが三塁強襲の適時内野安打となった。

 チームは2回戦で対戦した沖縄尚学高に敗れたが、清水はこの試合でも二塁打を放ちホームを踏んだ。後に清水と強力クリーンアップを形成する古澤勝吾(ソフトバンク3位指名)も2試合に途中出場を果たしたが、この時点での注目度は断然清水が上。
“怪物ルーキー”清水を指して、当時の若生正廣前監督はこんなふうに語っていた。

「捕手として持っているものは、同じ時期の髙城俊人(DeNA)と比べても清水のほうが上かもしれない。とにかく器が大きい」

 一方、大舞台デビューを終えた清水のコメントはこうだ。

「とにかく一生懸命にやるだけです。試合のことはあまり覚えていません。本当に無心だったので」

 経験豊富な若生前監督から「大器」の太鼓判を押された怪物も、さすがに入学直後とあって表情は硬い。幼さの残る顔相をこわばらせながら、取材を受ける清水の代わりに雑用を務める先輩選手の動きばかりを気にしていた。

 それにしても、九州国際大付高はまたしてもとんでもない新人を世に出してきたものだ。

 そんな声が、球場のあちらこちらで飛び交っていた。

◎進化を続けた強打の捕手

 若生前監督は、春季九州大会後の言葉どおりに清水を大きな器の中で育成していく。1年夏の福岡大会は下位を打ったが、同年秋からは常に4番・捕手として起用し続けた。

 2年夏の初戦敗退など苦しい時期もあったが、清水の打棒は日に日に成長。福岡県を制した2年秋には、なんと7試合で4本塁打を記録している。特に飯塚高との4回戦で見せた推定150メートルと言われる満塁本塁打は、北九州市民球場の左翼席をはるかに飛び越えていく驚弾だった。

 また、この頃になると入学当初から課題とされていたリード面でも成長が見られた。タイプの異なる多彩な投手陣を強気に、時には巧みに操り、若生前監督からも「すでに入学当初からの伸び率でも髙城を上回った」と最大級の賛辞を受けることに。

 二塁送球の平均タイムも、2年秋時点で1・8秒を記録。持ち前の強肩にも一段と磨きがかかった。球界全体を見渡してもきわめて希少な“打てる捕手”。その評価を揺るぎないものとしたのだった。

◎恩師の後押し

「野球選手として高みを目指すなら、この監督さんしかいない」

 そう確信した清水は、山口県の周防大島から九州へと渡る。若生前監督の育成力と清水の才能はしっかりと共鳴し合い、清水は日本ハムから2位指名という好評価を得るまでに成長した。また、ハイレベルな攻守の力に加え、抜群のキャプテンシーも培われていった。その結果が今夏、チームに3年ぶりの甲子園出場をもたらすことにもつながったのだ。

「自分にもチームにも、ちょっと行き詰まり感が漂っていた時期がありました。そんな時に、監督さんから『今年の夏でやめる』と告げられたのです。ピンポイントで弱点を指摘してくれる指導が、どれだけ野球選手としての成長を後押ししてくれたかわかりません。また、本人も気づかない眠ったままのポテンシャルを引き出してくれたのも、監督さんでした」

 勇退した指揮官に全国制覇という手土産を持たせることはできなかったが、大谷翔平や有原航平といった次世代エースたちとバッテリーを組むことで、活躍ぶりを若生前監督に届けるつもりだ。
「球団どころか、いずれは日本球界を代表する捕手になれますよ。それだけの器があるもん。入学の2週間後にウチで4番を張った男なんだから」

 そんな若生前監督の後押しを受けて、清水は日本一捕手への階段を駆け上がっていく。
(※本稿は2014年11月発売『野球太郎No.013 2014ドラフト総決算&2015大展望号』に掲載された「30選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、ライター・加来慶祐氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。)


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