【強打の捕手列伝】最強・2000安打捕手四天王のうち3人は兼任監督に。阿部慎之助も同じ道を辿る?

【強打の捕手列伝】最強・2000安打捕手四天王のうち3人は兼任監督に。阿部慎之助も同じ道を辿る?
 プロ野球界に燦然と輝く大記録を打ち立てたレジェンド、はたまた「自分だけの一芸」を武器に鮮やかな印象を残したいぶし銀の選手たち。週刊野球太郎では、そんなプロ野球の歴史に名を残した偉大な者たちの軌跡を追う。第1回は「強打の捕手列伝」。

 野球の守備において、捕手は「現場監督」とも称される。それだけに、「まずは守り」という重要な任務があり、打力は二の次とされがちだ。また、近年は投手と捕手をセットで起用する球団も多く、「レギュラー捕手」というのがそもそも生まれづらくなっている。

 ただ、今も昔も「強打の捕手」がいるチームは強く、常に待望されている。打力も兼備し、攻守に圧倒的な存在感を放った名捕手を振り返っていこう。

◎2000安打の以上の捕手は4人のみ

 長いプロ野球の歴史の中で、「強打の捕手」というカテゴリーのナンバーワンを決めるのは容易ではないが、ある基準をクリアするのは4人しかいない。それが「2000安打以上」だ。

 過去にこの基準を満たした捕手は、野村克也(元南海ほか)、古田敦也(元ヤクルト)、谷繁元信(元中日ほか)、阿部慎之助(巨人)のみ。長く現役として活躍したという点から、この4人を「強打の捕手・四天王」としても、それほど違和感はないだろう。

◎現役時代の成績だけでなく監督としてもすごい

 なかでも、歴代2位の657本塁打、戦後初の三冠王(1965年)など、数々の打撃記録を打ち立てた野村を、史上最高の捕手として推す人は少なくない。

 また、野村は現役引退後、監督として多くの選手を育て上げた功績も大きい。「ID(Important Data)野球」というスタイルを確立し、頭を使って野球をすることの重要性を提唱。日本球界のレベルアップに大きく貢献した。

◎ID野球の継承者は、驚異の強肩を誇る

 その野村の愛弟子ともいえるのが古田だ。1989年のドラフト2位で野村政権時代のヤクルトに入団。ベンチでは野村の隣に座り「ID野球」の純粋培養を受けた。また強肩でも知られ、1993年シーズンの盗塁阻止率.644は、今も破られていない歴代最高記録だ。打撃面でも、現役通算18年で2097安打を放ち、1991年には打率.340で首位打者にも輝いている。

◎「野村超え」の史上最多試合出場

 続いては出場数という観点から谷繁に目を向けたい。野村の出場試合数は3017試合で、達成したのは1980年。3000試合以上の出場は、NPB史上初の偉業だった。そして、この記録を35年ぶりに破ったのが谷繁だ。2015年を終え、谷繁は3021試合出場という、まさに前人未到の大記録を樹立。打撃タイトルこそ獲得していないものの、20代後半から30代前半にかけては、2ケタ本塁打、100安打以上、50打点以上という好成績をコンスタントにマークしており、屈強さも含めて捕手としての総合力は高かった。

◎ONに続く本塁打数を誇る生え抜き捕手

 阿部は、4人のなかでは唯一の現役選手。捕手としての出場は2015年までで、2016年以降は体調面も考慮され一塁手か指名打者、代打といったポジションに就いている。ただ、当然、捕手時代の印象の方が強い。2012年の日本シリーズ第2戦で、サインを間違えた澤村拓一に対し、マウンド上で捕手・阿部が喝を入れたシーンは多くのファンが記憶しているだろう。このように、強烈なリーダシップで投手陣を引っ張った。

 なお、通算本塁打は388本と大台の400本に迫っている。これは生え抜きの巨人の選手としては、王貞治(868本)、長嶋茂雄(444本)に続く数字だ。

 ちなみに、野村、古田、谷繁はいずれも選手兼任監督を経験している。もちろん、本人の資質、実績が第一ではあるが、グラウンド全体を見渡すポジションである捕手として経験を積んできたからこそ、球団からが白羽の矢を立てたのだろう1950年を最後に兼任監督が誕生していない巨人だけに、「阿部慎之助兼任監督」が実現する可能性はかなり薄いが、もし3人に続くようなら大きな話題となることは間違いない。

◎現役では森や會澤、伊藤が目立つ

 現役での強打の捕手といえば、その筆頭格は森友哉(西武)か。首脳陣が変わるたびにマスクを被ったり、脱いだりと翻弄されているが、今季は炭谷銀仁朗や岡田雅利を抑え、捕手として最多出場となっている。ボールを潰さんばかりの強烈なスイングは、現役捕手のなかでは12球団トップクラス。大事なところでは炭谷が捕手で起用されることも多いが、守備の信頼度を高めて、打力のアドバンテージを生かしたい。

 セ・リーグで打撃好調なのが會澤翼(広島)。規定打席数には達していないものの、打率.332とハイアベレージを記録。さらに、四球もしっかり獲得できており、出塁率は.420まで上昇している。下位を打つことが多い會澤だが、好調な広島打線の一角としてしっかり機能している。また、規定試合数以上の捕手のなかで、捕逸1はリーグトップ。守備も安定感抜群だ。

 今季途中にオリックスからDeNAへ移籍した伊藤光も打力を秘める。7月16日に新天地で1軍登録され、その日からスタメン出場。その後もコンスタントに起用され、7月27日までの9試合で打率.310と躍動している。オリックス時代の2013年には1年を通して出場し、打率.285と近年の捕手としては上々の成績を残している。ユニフォームが替わって心機一転、打棒復活なるか。

(※成績は7月27日現在)

文=藤山剣(ふじやま・けん)


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