新庄剛志は「1パーセントの可能性があるなら、もう一回プロ野球選手に」。今オフに響いた言葉たち
 プロ野球はオフシーズン真っ只中。野球に飢えているファンも多いのではないだろうか。とはいえ、2月1日のキャンプインまでは、じっと我慢するよりほかないだろう。

 さて、毎月お届けしている本連載「仕事にも人生にも生かしたい! シチュエーション別・野球人の名言」だが、今回はこのオフの間に話題となった発言から紹介したい。

◎やるべきことを終えた時に

 2019年シーズン限りで現役生活を引退したイチロー。3月に行われた東京ドームでのアスレチックス対マリナーズの試合がラストゲームとなった。試合終了後にはグラウンドを一周し別れを告げている。深夜から行われた記者会見では、試合終了後にも関わらず多くの質問に笑顔で答えていたのが印象深い。

 そのやりとりのなかで出たイチローの言葉。

「後悔などあろうはずがありません」

 これは「思い残すことは」という質問に対しての答えだ。ちなみにNPBが開幕前であり、オフシーズンの話ではない。しかし、この一言が「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたので取り上げた。

 イチローらしい言い回しだ。さらにこう続けている。

「自分なりに頑張ってきたとははっきりと言えるので」

 自分自身がやるべきことを終えたとき、このような気持ちを抱いているだろうか。どこかで妥協していないだろうか。なにかをやり終えたとき、このイチローのようなセリフが言えるかを確認するだけで、あともう少し、なのか、やりきったのかがわかるのではないだろうか。

◎少なくても可能性を信じること

 阪神、メジャーリーグ、そして日本ハムで活躍し、2006年限りで現役を引退した新庄剛志が現役復帰を目指している。11月27日にNPBから自由契約選手として公示されており、復帰に支障はなくなった。

 すでに本格的にトレーニングを始めており、SNSや動画サイトなどで発信をしている。

 その新庄が発したコメントは力強い。

「1%の可能性があれば必ず出来る。今日からトレーニングを始めて、もう一回、プロ野球選手になろうと思います」

 1972年1月生まれの新庄は現在47歳。年が明けてすぐに48歳となる。山本昌(元中日)やフリオ・フランコ(元ロッテほか)のように50歳でもプレーした例はあるが、常識的に考えればNPBでの現役復帰は難しいと言わざるを得ない。

 しかし、年齢を理由にして簡単に諦めないのが新庄である。可能性を信じてメジャーリーグへ移籍し、日本人で初めてワールドシリーズにも出場した新庄である。もしかしたら新庄なら……という期待を持っているファンは多いのではないだろうか。

 新庄はそのキャラクター性もあり、イロモノ扱いされてしまうことが多い。しかし、根っこにある「諦めない気持ち」というものは非常に大事なものだ。生きていれば、たくさんの「これは無理かな?」ということに出くわすことになる。

 そのときにこの新庄の言葉を思い出し、1%でも可能性があれば挑戦する。そんな気持ちを忘れずにいたいものだ。

◎時代に合わせて考え方を変える

 プロ野球の世界に限らず、歳を重ねていくと自分を取り巻く時代の変化を受け入れることができなくなっていく人は多い。どうしても、「最近の若いものは……」などと言ってしまうのである。

 しかし、「世界の王」こと王貞治ソフトバンク球団会長はちがう。名球会総会後にこのようなコメントを残している。

「時代に合った形に変化していかなければいけない。いい方向へ変わっていかなければ」

 現在、名球会は昭和生まれ以降で、NPBでキャリアをスタートさせ日米通算2000本安打、200勝、250セーブを達成することが入会の条件となっている。

 しかし時代が変わり、投手の分業制があたりまえとなったことや大谷翔平(エンゼルス)の二刀流など、従来の枠組みでは収まりきらなくなってきた。そのような状況の中、名球会入りの条件を変更するか否かの話し合いが持たれているわけだ。

 自分たちの時代より緩和されることに面白くない、と思うOBがいてもおかしくはない。しかし、王会長は時代に合わせることを強調したのである。

 人間はだれしもが歳を重ねていく。そのなかで時代に合わせた考え方をできているだろうか。自分の経験や過ごした時代を基準に考えていないだろうか。そうならないためにも、王会長の言葉を胸に刻んでおきたい。

文=勝田聡(かつた・さとし)