戸田(NDソフト)、「世界」へ道開く パラ陸上男子、成長著しい20歳
山形新聞6/20(金)10:36

NDソフトの選手たちと練習する戸田夏輝(手前)=山形市・山形大小白川キャンパス
パラ陸上男子の戸田夏輝(NDソフト)が、今月のジャパンパラ競技大会(仙台市)の男子1500メートル(知的障害)で大会記録、自己ベストをともに更新した。本県女子長距離界をけん引してきた熊坂香織さん(44)が指導に当たり、国内トップ選手と肩を並べるまでに成長した20歳。2028年のロサンゼルスパラリンピックをはじめとする世界大会への出場を目指している。
幼い頃から走ることが好きだった。山形一中時代には3年時まで2年連続で全国中学校駅伝に出場した。上山高等養護学校でも競技継続を希望していたところ、県障がい者スポーツ協会を通じて熊坂さんと出会った。以来、1対1で指導を受けている。
23年には、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)への出場経験がある同社(南陽市)に、初のパラアスリートとして入社。「強いチームに入ることができてうれしかった」と話す。清掃業務などを担いながら、山形市の自宅に程近い山形大小白川キャンパス内グラウンドでトレーニングを積んでいる。昨年の全国障害者スポーツ大会では800メートルと1500メートルの2種目を制した。
序盤で先頭に立ち、自分でペースをつくるのが得意だ。ジャパンパラも同様の戦い方で臨んだ。しかしラスト500メートルで国内トップ級の2選手に先行を許してしまう。ハイペースなレースでこの3人が大会新記録を打ち立てた。戸田も自己ベストの3分52秒84だったが3位に甘んじた。
後半の粘りという課題を克服すべく大会後、同社の選手に協力を仰いだ。今月17日には同グラウンドで一緒に1200メートルのインターバル走に臨んだ。同じメニューを数人で行うことで、最後までやり抜く力を養う狙いがあった。最初は集団に食らい付いたが、終盤で戸田は一時離脱。熊坂さんらの後押しで再び走り出し、最後は全力疾走で締めた。熊坂さんは汗を拭う戸田に「このハングリーさが欲しいんだよ」と鼓舞した。
当初、熊坂さんは「長く競技を続けてくれたらいいな」という思いだったが、戸田の成長はそれだけにとどまらなかった。ジャパンパラで出した記録は、今秋の世界パラ陸上選手権の派遣標準記録を突破。同大会や、ロスパラリンピックの出場にも期待がかかる。「トラックで競い合うことが楽しい。もっと速くなりたい」。上を目指す気持ちが、戸田をここまで押し上げた。




