知床半島の観光名所「知床五湖」(北海道斜里町)で繁殖している外来種・スイレンの除去作業が26、27の両日、市民ボランティアら計約50人が参加して行われた。作業後は、覆われたスイレンのため観光シーズンの夏に見ることが難しかった一湖の「逆さ知床連山」が、湖面に映し出された。

 今回の除去作業は、今年が知床国立公園指定60周年、来年は知床の世界自然遺産登録20周年を迎えるため、環境省や知床財団が記念事業として企画した。

 同省などによると、五湖には1950年代、観光用として園芸スイレンが持ち込まれ定着したとされる。近年は特に一、二、三湖で生い茂るようになり、観光客が集まる一湖は湖面の大部分を覆い、絶滅危惧種・ネムロコウホネなど在来種への影響が懸念されていた。

 昨年、同省などは試験的に除去作業を実施。専門家から、在来種の保護などを考え手作業で葉を除去して光合成を阻止するのが効果的との助言を受けていた。

 2日間の作業では市民らがゴムボートに乗り、湖畔展望台前を中心に、手作業でスイレンの葉を除去した。夫婦で参加した清里町の男性(70)は「逆さ知床連山を眺めるのが楽しみだった。貴重な体験ができた」と話した。

 同省などは、3年をかけ一湖での全面除去を目指すことにしている。