【大田聯合ニュース】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像「観世音菩薩坐像」(同県指定有形文化財)について、所有権を主張する韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)が仏像を保管する韓国政府に引き渡しを求めた訴訟の控訴審が再開されないまま3年目を迎えた。

 原告の浮石寺は、韓国人の窃盗団が2012年に観音寺から盗んで韓国に持ち込んだこの仏像について、数百年前に日本の倭寇(わこう)に略奪されたものだと主張している。17年1月の一審では、仏像の中から見つかった記録などを根拠に「浮石寺の所有と十分に推定できる」として同寺への引き渡しを命じる判決が下され、韓国政府は控訴していた。

 1951年に仏像から見つかった像内納入品の中には、1330年ごろに瑞州(瑞山の高麗時代の名称)にある寺に奉安するため制作されたと読み取れる内容が記録されていたが、政府側の検察は、記録が実際に高麗時代末期に作成されたことを立証する資料がなく、記録の信ぴょう性は高いとは見なせないなどと主張した。

 検察は破損や盗難の恐れがあることなどを理由に、控訴と同時に寺への引き渡しを止めるための強制執行停止を申し立て、認められた。このため仏像は現在、国立文化財研究所に保管されている。

 しかし、特別な理由なく控訴審公判が進んでいないことが確認された。昨年は1月と6月の2回、弁論準備を理由に書類の検討が行われただけだった。

 瑞山市長や忠清南道議会は公判の迅速な進行を求める嘆願書を提出したが、その後も進展はなかった。原告側関係者は「観音像の手や膝の部分にさびが出るなど、損傷が懸念される」と主張する。

 原告の代理人弁護士は「(控訴審が)今春には再開されると予想される」と話している。