【水原聯合ニュース】韓国・ソウル近郊の京畿道広州市に所在する旧日本軍の慰安婦被害者の支援施設「ナヌムの家」が、多額の寄付金を集めた後、被害者のためには直接使わず、その多くを土地購入に使ったり建物建築用に積み上げたりしていたことが分かった。京畿道の官民合同調査団が11日、道庁で記者会見を開き、調査結果を発表した。ナヌムの家の寄付金流用疑惑などを受け、調査団は7月、社会福祉法人としてのナヌムの家と、被害者の共同生活施設としてのナヌムの家、その併設施設に対する調査を実施していた。

 調査団長を務めたソン・ギチュン全北大法学専門大学院教授は、「ナヌムの家は2015年から19年までホームページなどを通じて被害者への寄付を募り、複数の機関にも寄付要請の文書を送り、5年間で約88億ウォン(約7億9000万円)の資金を集めた」と説明した。だが、ナヌムの家の法人と施設は、関係法で定める寄付金募集にあたっての登録を行わず、集めた金額と使途内訳などをきちんと公開しなかった。本来登録すべき官庁による検査も受けなかった。 

 寄付金はナヌムの家の法人の口座に入金された。約88億ウォンのうち、被害者が生活するナヌムの家の施設に送られたのはわずか2.3%の2億ウォンで、それも被害者のための直接経費としてではなく、施設運営用の間接的な支出がほとんどだったという。

 法人は一方で、土地購入やナヌムの家生活館の増築工事、遺物展示館と追悼館の新築費、追悼公園造成費などに約26億ウォンを使用した。残りの寄付金については、理事会の会議録と予算書を見るところ、国際平和人権センターや高齢者施設建設などのための蓄えにしたとみられる。

 また、理事会の議決にも問題が見つかった。法人の定款は、理事本人に関する案件の場合、当該理事が議決に参加しない除斥制度を設けているが、2019年11月の理事会で社外理事3人が自身の理事選任に関する案件の議決に参加した。彼らを除くと定足数に達しないにもかかわらず、会議を進行した。

 施設で暮らす被害者に対しては心理的な虐待があったことが分かった。法人の職員である付添人は「ハルモニ(おばあさん)のこと、捨てに行っちゃうよ」「怒るよ」などと言葉の暴力をふるった。意思疎通や体を自分で動かすことができない重症患者に対しこうした行為が多かったという。

 被害者の暮らしと名誉回復のための活動の記録も放置されていた。ナヌムの家への入居と退去の名簿管理を怠り、被害者の絵や写真、市民からの励ましの手紙などを無造作にビニール袋などに入れてベランダに投げ出していた。この中には国家指定記録物に指定された資料もあった。

 ナヌムの家併設の第1歴史館に展示中の記録物原本は、湿度管理が行われていなかったために破損がみられる。第2歴史館は手抜き工事により床面が浮き上がるなど安全面が懸念される。

 また、付添人は調査団と被害者の面会時の会話を違法に録音していた。

 京畿道は調査団から最終報告を受け取って内容を検討した上で、警察に捜査を依頼する方針だ。社会福祉事業法など関係法違反については行政処分を科す。

 ソン調査団長は「誰も関心を持たなかったころ、ナヌムの家と仏教界が被害者のために献身した」と認める一方で、「法人と施設運営には問題があった」と指摘。専門家や市民などによる官民協議会を構成して再建案を講じ、その通り実施されるよう京畿道と広州市が努力してほしいと述べた。 

 現在、ナヌムの家では5人の被害者が暮らしている。平均年齢は90台半ばだ。