「昭和60年代」となる1985年から88年にかけて6作が製作され、当時の中高生らに支持された映画「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズで、主役コンビの1人「ヒロシ」を演じた清水宏次朗が帰ってきた。元祖シリーズにオマージュをささげた新作映画「ビーバップのおっさん」(旭正嗣監督、全国順次公開中)で、かつて仲村トオル演じる「トオル」の敵役だった「テル」こと白井光浩と組んでダブル主演を果たした清水が、よろず〜ニュースの取材に対して思いを語った。

 本作での清水の役どころは、家庭を持たずに放浪する自由人で、トラブルに悩む人たちを救って謝礼をもらう「解決屋」。仕事と家庭を失い、日雇い労働者となったテルと再会して相棒になり、縁のできた商店街の人たちを困らせる半グレたちと戦う…というストーリーだ。

 清水は「最初は『ビー・バップ』にオマージュをささげた作品という事を聞いていなかったけど、テルが主役としての〝処女作〟にもなるし、兄貴として力になれるのであればと思い、受けました」と明かす。20代前半で高校生という設定を演じ切った元祖シリーズから、50代後半になった今、意識したことは何か。「意識はあまりしていなくて、今の自分なりの姿で、デフォルメする事はしなかった。今、57歳だけど、俺は茶目っ気をテーマにしようと思って演じた。(その想定より)少し茶目っ気が少ないかなとは思ったけど、よいんじゃないかなぁ」と自然体だ。

 本作のヒロシは常にスマートフォンを手にし、SNSを活用することによって物語を動かす。実生活ではツイッターやユーチューブで「清水宏次朗チャンネル」を開設しており、「息子や嫁たちに手伝ってもらいながらボチボチやっています」という。

 そんな新作を踏まえた上で、原点となる元祖シリーズ出演の経緯をたどった。

 81年に竹宏治としてシングル曲「舞・舞・舞」で歌手デビュー。84年に芸名を本名の清水宏次朗に改めた第1弾シングル「ビリー・ジョエルは似合わない」が注目されたが、「ライブツアー継続の危機」に直面し、「映画の主役になればライブツアーが継続できる!」と「ビー・バップ」第1作のオーディションを受けて合格。本人は年齢的に教師役かと思っていたが、まさかの高校生役。読んだことのない原作の漫画本に描かれたヒロシの姿を、プロデューサーの黒沢満氏に見せられた時は「もう最悪でしたよ。だから、マネジャーも詳しく説明しなかったんだって思いました」と回顧する。

 だが、映画の大ヒットによって、歌手と俳優の双方が軌道に乗った。「お客さんがライブにも足を運んでくれるようになって、ライブハウスでは入りきれなくなり、ホールでコンサートができました」。一方で、街を歩いていてケンカを売られることも日常茶飯事に。「(絡まれることが)いっぱいあり過ぎて、一時期はボディガードが10人ほど付いていました」と明かした。

 それから30数年。本作のアクションでは白井が奮闘し、清水はひょうひょうとした笑顔でなごませる。「おっさんの妖精」というイメージが記者の頭に浮かんだ。

 清水は「テーマとしては『おちゃめヒロシ』。気持ちではすごくやりたいアクションも、身体が動かず、できないのでモヤモヤしていたら、テルの『ニコーって笑う宏次朗さんの表情がすごく好きだ』という言葉を思い出して、おちゃめで、いい加減なヒロシを持ってこようと思いました。あと、こいつ(テル)も役者魂が育ってきたなって感じられたことがうれしかった。(一方)今回の撮影2日目で演技の感覚が戻ってきたのに身体がいうことを聞かなくて、すごく悔しかった」と思いを吐露。また、新作の見どころでは「テルと敵対している役の永山たかしくんのアクションのうまさが意外で、こんな役者さんがまだいたのかって、うれしくなった。あと(共演した)杉浦幸が本気で(自分の)頭たたいた(笑)」と脇役陣の演技を挙げることも忘れなかった。

 7月24日に都内で開催された上映イベントには新型コロナウイルス感染のため無念の欠席。現在は回復し、8月11日に大阪・朝日生命ホールで、9月4日には岡山・和気町総合福祉センターで行なわれるイベントに出演予定だ。

 「僕は持病があり、(コロナ)感染したら命に関わると医者から口酸っぱく言われていたので、かなり気を付けていましたが、感染してしまったという申し訳ない気持ち。大阪と岡山のトークイベントではブレイクしたいと思います。楽しみにしていてください。皆さんもコロナに気を付けてください」と呼びかけた。そして、今後に向けて「今の一番は、まず体が元通りとまでいかずとも、もっと動けるようになりたい…の一言です」と前を向いた。

(デイリースポーツ/よろず〜ニュース・北村 泰介)