復興へ「元気」を 能登食祭市場は仮営業、和倉温泉は屋台村

能登半島地震

上田真由美 波絵理子
[PR]

 能登半島地震の被害の爪痕がいまだ色濃い石川県。連休中も、各地で復興への願いを込めたイベントが予定されている。

 能登半島の入り口、七尾市の海沿いにある道の駅「能登食祭市場」には地震後まもなくから「負けないぞ!! 七尾!! 皆(み)んなで支えよう能登半島」の大きな文字が掲げられてきた。

 施設の床には亀裂が入り、周辺は液状化して陥没もある。本格的な営業再開の時期は見通せないが、大型連休限定の仮営業に踏み切った。

 元々あった20店舗の一部と駆け付けたキッチンカーなどがカキの浜焼きや能登牛のローストビーフ丼、イカ団子などを販売する。

 GW前半の4月27日、カニ汁と海鮮焼きそばをテントで販売していたのは食祭市場に店舗があった「鹿渡島(かどしま)定置」。

 カニ汁を家族で味わっていた、横浜市の上村幸夫さん(67)は、2004年の新潟県中越地震で、出身の十日町市はひどいめにあったという。「応援したくて、ずっとネットで再開の時期を調べて待っていた」と話した。

 富山市に住む娘夫婦や孫たちと何度も来たことがあったといい、「おいしいです。味は変わらない」。

 同店は、地震で1月2日に予定されていた初売りができず、店を切り盛りする高橋洋一さん(38)は、仕入れていたブリやカニ汁を、翌3日に中能登町の炊き出しで提供した。

 その後は、県外の震災支援イベントで出店したり、奥能登の避難所運営の裏方をしたりしてきた。「これまでじっと我慢していた方たちに、ぜひおいしいものを食べて楽しんでいただきたい」

 道の駅駅長の村本能久さん(50)は「ここは能登観光の一つの拠点。七尾も被災しているけれど、奥能登はさらにひどい。ここから能登に元気を発信したい」と話す。

 食祭市場は3~6日、午前9時~午後5時に仮営業する。期間中は午前9時から先着100人に日替わりの「ふるまいチケット」を配布。イベントスペースでは3日は七尾市伝統の祝儀唄「七尾まだら」や、4日はでか山を曳(ひ)く際にうたわれる「木遣(きや)り」、5日は香島津太鼓が披露される。

 一方、同市の和倉温泉では、4月28日から「屋台村」がオープンした。温泉郷は大きな被害を受け、21の旅館はすべて休業中だが、一部には復興工事に携わる人やボランティアたちが泊まっている。こうした支援者たちの食事の場をと、同温泉お祭り会館駐車場に、店舗がまだ再開できない飲食店などがキッチンカーやテントで出店する。

 「能登海鮮丼みとね」のキッチンカーを手伝っていた、系列すし店の店長、堀納(ほりのう)信晃さん(49)は「旅館に泊まる工事関係者の方のためにという趣旨で始まったが、地元の方もたくさん来てくれた。ありがたいですね。復興への第一歩にしたい」。

 屋台村は7月末までの予定で午後6~9時。2日は営業するが、3~6日は休み。(上田真由美)

     ◇

 「どうぞ見てってちょーだい」

 大型連休前の4月26日、加賀温泉駅(加賀市)の駅前広場の白いテントに、輪島の海藻や千枚田の米、珠洲の塩などが並んでいた。駅を利用する観光客らが足を止め、能登の売り子と会話しながら買い物していた。

 催しは「能登復興市」(5月12日まで)。地震の復興と加賀の観光を両立しようと開いた。能登の物産を仕入れ、加賀地域への2次避難者らを売り子として雇用。加賀温泉郷協議会が企画し、売り上げは全て仕入れ元に戻す。

 売り子で輪島市の海士(あま)、井上岳登さん(20)は「お客さんから声をかけてもらい、頑張ろうという気持ちになれる。避難中でもガソリン代など出費があるので、収入ができて助かる」と話す。

 兵庫県から訪れた会社員の40代の女性は「復興支援のつもりで旅行に来たんですが、能登へは行けないので、こういう取り組みはいい」と、珠洲の塩を手にし、購入していた。

 同温泉郷協議会の天王寺広隆さん(54)は「予想以上の売れ行きで、仕入れを追加しているほど。能登・加賀どちらの経済も回す企画を今後も考えています」と語った。

 能登復興市は毎日午前10時~午後5時。5日までは輪島市と穴水町、6~12日は七尾市と志賀町の物産を主に扱う予定。(波絵理子)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

能登半島地震

能登半島地震

1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]