「君津の朝めし」で炊飯体験 鶏卵産地の卵 誘客の妙案とは

堤恭太
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 羽釜を使ってご飯を炊く。自分たちで作ったその朝食を食べてから、次の観光地へ向かってもらう。そんな食体験の企画「君津の朝めし」が、千葉県君津市西粟倉の清和地域拠点複合施設「おらがわ」で先月始まった。炊飯器ではできないお焦げ付きご飯に、鶏卵の産地の君津の卵を1人当たり2個つけ、「黄身2(キミツー)」として新鮮な卵かけご飯を楽しんでもらう。

 おらがわは、廃校になった旧秋元小学校を活用しようと、市と住民が話し合って整備した、1月オープンの新施設だ。

 ここに人を呼び込むには、どうしたらいいか。

 山間部で、観光施設のない地域。君津市周辺にあるマザー牧場(富津市)や鴨川シーワールド(鴨川市)といった施設には太刀打ちできない。

 そこで、日中は他の観光地と勝負せず、朝に立ち寄ってもらおうと考えた。

 羽釜での炊飯を体験してもらってから、他の地域に遊びに行ってもらう。ここでおなかいっぱいになれば、混雑する他の観光地での昼食の時間をずらすこともできる。

 先月28日は10組約50人が参加して、満員。火力の強い竹を燃料にし、かまどを使ってご飯を炊いた。初めて経験する人が大半で、経験のある地域のお年寄りが手伝った。

 竹を自分で割ることもできる。ご飯が炊ける間にきな粉作りも体験できる。参加者は「お焦げなんて旅館の朝飯で食べて以来」。子どもたちは「お釜じゃなきゃできないの? 初めて食べたけど、カリカリしておいしい」とはしゃぎ、釜の底にこびりついたお焦げを平らげていた。

 運営するのは市民団体「君津の朝めし」。地域の高齢者ら約20人が集まった。代表の永井直樹さんは「何もない地域。『朝』しか残っていなかった。海外からの旅行者を呼び込むことができるのではないか」と意欲を見せている。

 参加するにはホームページから予約する。手ぶらでも参加可能。炊飯用具一式のレンタル料などが1組2千円。お米の代金が1人400円など。

 春~初夏と秋に開催する。初夏までは、今月12日、同26日、6月2日、同9日の午前9時半から実施する。(堤恭太)

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